工繊大の塚本です.

In article <1101b478-c515-4884-83e8-27ab0419fc33@z5g2000yqb.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> うーんとつまり,ζ関数はζ∈Map(C,C∪{∞})のものと
> ζ∈Map({s∈C;Re(s)>1},C)の2通りがあるのですね。

違います.
ゼータ関数の元になっている関数は,
 Re(s) > 1 で定義された \sum_{n=1}^\infty 1/n^s で
これは Re(s) > 1 での正則関数.
ゼータ関数を全複素数平面 C 上の有理型関数と見れば,
 C から C と {\infty} を合わせた所への正則関数と
考えて良い.
ゼータ関数を普通に C に値を取る関数と考えるなら,
 C から s = 1 を除いたところで定義され, そこで
正則な関数で, s = 1 を 1 位の極として持つ.

> s=1の時は確かにΣ_{n=1}^∞1=∞と無限大を取りますね。

その計算には意味がありません.
 
> 因みに複素数平面全体でζを考えた時のζの終集合はC∪{∞}になるのですね。

有理型関数としてはね.
 
> ところで有理形関数としては複素数平面全体で
> ζ関数を考える事ができるとはどういうことでしょうか?
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/definition1955.JPG
> が有理形関数の定義かと思います。

その定義が間違っていることは別に述べました.

> 有理形とは正則な領域のみで定義される関数ですよね。
> 無限大を許すとはs=1でも微分可能と見做すという意味なのでしょうか?

有理型関数は, 領域から集積点を持たない集合を除いたところで
定義されていてそこで正則な関数であり,
領域から集積点を持たない集合を除いても領域ですから,
その領域で正則な関数というのは正しいですが,
肝心なのは, 元の領域から除かれた各点は孤立特異点であり,
そこで高々極であるということが仮定されているところです.
 s_0 が f の n_0 位の極であれば,
 f(s) = (s - s_0)^{-n_0} g(s) \xE3^A\xA8
 s = s_0 のまわりでは表示できます.
ここで, g は, g(s_0) が 0 でない,
 s_0 の近傍で定義された正則関数です.
このとき, 1/f(s) = (s - s_0)^{n_0} (1/g(s)) は
 s_0 の近傍で正則な関数です.
 w = 1/z という変換で, 無限大を 0 に写したとき,
 f(s_0) は無限大になりますが, 1/f(s) として,
その無限大が 0 に写るようにしたおいたとき,
正則になるということで,
 f(s) は C に無限大を合わせたものを値域とする関数として
 s = s_0 でも正則です.

> えっ? ∀s∈Dにて微分可能とは限らないのでしょうか?

だから, D = C \setminus {1} ですよ.
 \sum_{n=1}^\infty 1/n^s という表式が使えるところでは
ありません. ちなみに,

> d/dsΣ_{n=1}^∞1/n^s=Σ_{n=1}^∞d/ds(1/n^s) (∵Σ_{n=1}^∞1/n^sはD内で一様収束?)
> =Σ_{n=1}^∞-sn^{s-1}/n^{2s}=Σ_{n=1}^∞-s/n^{s+1})
> =-sΣ_{n=1}^∞ 1/n^{s+1})∈C
> (∵今,Re(s)>1なので勿論Re(s+1)>1。従ってΣ_{n=1}^∞ 1/n^{s+1})もζ関数)
> としてみたのですがダメでしょうか?

又, (d/ds)(1/n^s) を間違えていますね.
 (d/ds)(1/n^s) = - (\log n)/n^s です.
全然ダメです.
 
> それでは一体どうすれば、、、

それは参考文献を挙げました.
 
> それぞれの積分表示とは
> Γ(s)=∫_[0..∞] x^{s-1}e^-x dx
> ζ(s)=1/((e^{2πis}-1)Γ(s))∫_c z^{s-1}/(e^z-1) dz
> =1/((e^{2πis}-1)∫_[0..∞] x^{s-1}e^-x dx)∫_c z^{s-1}/(e^z-1) dz
> ですね。

ちゃんと意味が, 特に下の方の意味が分かっていますか.
下の方がどのように導かれるか, 理解していますか.

# 積分路 c が指定されていないので, 係数が正しいかどうか.
 
> つまり,全複素平面上でζが解析接続である事を示すには
> ∫_[0..∞] x^{s-1}e^-x dx
> =1/((e^{2πis}-1)∫_[0..∞] x^{s-1}e^-x dx)∫_c z^{s-1}/(e^z-1) dz
> が成り立つ事を示さねばならないのですね。

そんな式は成り立ちませんよ.

# 左辺が \Gamma(s) の積分表示で,
# 右辺が \zeta(s) の積分表示であるのに,
# どうして一致すると思うのですか.

> すいません。これはどのようにして示すのでしょうか?

先ず, どのように \zeta(s) の積分表示が
(\Gamma(s) の積分表示の助けを借りて)導かれるか,
を理解しましょう.
それが理解できれば, その積分表示で表される関数が,
 Re(s) > 1 では \sum_{s=1}^\infty 1/n^s に一致する
ことが分かるでしょう.

次に, その積分表示で表される関数が, 全複素平面 C 上の
有理型関数になることを理解しましょう.

ともあれ, 参考文献を良く読んで見て下さい.
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塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp