工繊大の塚本です.

In article <628f8f23-856d-4c8c-9f7c-c1922d2b17d7@r29g2000yqj.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> それはそうですが
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/D1D2theorem1.JPG
> から全く進めません。どのように書けますでしょうか?

 N の素因数分解に現れる素数の中で
 mod 4 で 3 となるものの種類が s (≧ 0) 個である場合について,
  D_1 - D_3
  = \prod_{i=1}^r (e_i + 1)  (if f_1, f_2, ... , f_s are all even)
    0                        (otherwise)

であったとします.
(但し, N = 2^t \prod_{i=1}^r p_i^{e_i} \prod_{j=1}^s q_j^{f_j} で,
 p_i らは互いに異なる mod 4 で 1 となる素数,
 q_j らは互いに異なる mod 4 で 3 となる素数でした.)

 N の素因数分解に現れる素数の中で
 mod 4 で 3 となるものの種類が s + 1 個である場合については,
 N = 2^t \prod_{i=1}^r p_i^{e_i} \prod_{j=1}^s q_j^{f_j} q^f
   = q^f n
と書かれます. ここで q は mod 4 で 3 となる素数で,
 q_j らとは異なるものです.

 N の奇数の約数は, q^g d の形をしています. 但し,
 0 ≦ g ≦ f で, d = \prod_{i=1} p_i^{x_i} \prod q_j^{y_j},
 0 ≦ x_i ≦ e_i, 0 ≦ y_j ≦ f_j です.
 d は n の奇数の約数ですね. n の奇数の約数の中で
 mod 4 で 1 となるものの個数を D'_1,
 mod 4 で 3 となるものの個数を D'_3, とすれば,
 n = 2^t \prod_{i=1}^r p_i^{e_i} \prod_{j=1}^s q_j^{f_j}
ですから, 帰納法の仮定により,
もし f_1, f_2, ... , f_s らが全て偶数であれば
 D'_1 - D'_3 = \prod_{i=1}^r (e_i + 1),
そうでない場合は D'_1 - D'_3 = 0, です.

 d が mod 4 で 1 である場合, q^g d は
 g が偶数なら mod 4 で 1 であり,
 g が奇数なら mod 4 で 3 になります.
 d が mod 4 で 3 である場合, q^g d は
 g が偶数なら mod 4 で 3 であり,
 g が奇数なら mod 4 で 1 になります.

 f が偶数の時, 0 ≦ g ≦ f となる g で
偶数のものは f/2 + 1 個,
奇数のものは f/2 個あります.
 f が奇数の時, 0 ≦ g ≦ f となる g で
偶数のものは (f+1)/2 個,
奇数のものは (f+1)/2 個あります.

 f が偶数の時は,
 N の奇数の約数 q^g d の中で mod 4 で 1 となるものの数 D_1 は,
 d が mod 4 で 1 で, g が偶数のものの数 D'_1 (f/2 + 1) と
 d が mod 4 で 3 で, g が奇数のものの数 D'_3 f/2 の和ですから,
 D_1 = D'_1 (f/2 + 1) + D'_3 f/2 となります.
 mod 4 で 3 となるものの数 D_3 は,
 d が mod 4 で 1 で, g が奇数のものの数 D'_1 f/2 と
 d が mod 4 で 3 で, g が偶数のものの数 D'_3 (f/2 + 1) の和ですから,
 D_3 = D'_1 f/2 + D'_3 (f/2 + 1) となります.
従って,
 D_1 - D_3 
 = (D'_1 (f/2 + 1) + D'_3 f/2) - (D'_1 f/2 + D'_3 (f/2 + 1))
 = D'_1 - D'_3
であり, 残りの f_1, f_2, ... , f_s も全て偶数の時
 \prod_{i=1}^r (e_i + 1) であり,
そうでないときは 0 です.

 f が奇数の時は,
 N の奇数の約数 q^g d の中で mod 4 で 1 となるものの数 D_1 は,
 d が mod 4 で 1 で, g が偶数のものの数 D'_1 (f+1)/2 と
 d が mod 4 で 3 で, g が奇数のものの数 D'_3 (f+1)/2 の和ですから,
 D_1 = (D'_1 + D'_3) (f+1)/2 となります.
 mod 4 で 3 となるものの数 D_3 は,
 d が mod 4 で 1 で, g が奇数のものの数 D'_1 (f+1)/2 と
 d が mod 4 で 3 で, g が偶数のものの数 D'_3 (f+1)/2 の和ですから,
 D_3 = (D'_1 + D'_3) (f+1)/2 となります.
従って, D_1 - D_3 = 0 です.

結局, D_1 - D_3 は
 f_1, f_2, ... , f_s と f が全て偶数の時は
 \prod_{i=1}^s (e_i + 1) であり,
そうでないときは 0 になる
ということが示されましたので,
 mod 4 で 3 になる N の素因数の種類が s + 1 個のときも
 D_1 - D_3 の公式は成立することになります.

これで数学的帰納法が完成したことになります.
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塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp