工繊大の塚本です.

In article <05081483-3c0a-429e-95d0-85e97043ebba@o20g2000vbh.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> AもBも可算の場合はAもBもN(:自然数全体)に対等だから
> ∃f:A→N:全単射, ∃g:N→B:全単射だから
> gf:A→B:単射が採れお仕舞い。

この命題は, 濃度と言う概念を定める準備として考えられて
いる筈です. 集合が可算であるとかないとかは, 無論, この
命題とは別に定義することは出来ますが, この命題が示せて
初めて意味を持つようになります.

> Aが非可算でBが可算の場合は#A=アレフ1,#B=アレフ0で

非可算だからアレフ1だとか, 実数全体に対等だとか, は
滅茶苦茶です. 因みに, 可算濃度の次に大きい濃度である
アレフ1が実数の濃度と等しいかどうかは「連続体仮説」
であり, その正否は定まりません.
 
> AはR(:実数全体)に対等だから∃f:R→A:全単射,
> BはN(:自然数全体)に対等だから∃g:B→N:全単射,
> h:N→RをN∋∀b→h(b):=b∈Rとすればこのfも全単射なので(∵選択公理)

 h: N → R の存在は, 具体的に構成されているので,
選択公理とは無関係です.

> B→Aの単射としてfhgが採れるお仕舞い。

 A が実数全体との間に全単射がある集合で,
 B が自然数全体との間に全単射がある集合であれば,
確かに正しいですが, そんな遣り方で, 任意の集合
同士の場合を証明するには日が暮れます.

> これはAとBが非可算集合の場合ですよね。
> #A=#B=アレフ1ならAとBとR(:実数全体)は対等なので(∵非可算集合の定義),
> AとR,BとRには全単射が存在する。従って,AとBにも全単射が存在する。
> 
> #A=アレフ2,#B=アレフ1ならAは2^Rと対等(∵アレフ2の定義)だから

そんなアレフ2の定義は無いでしょう.

> ∃f:2^R→A:全単射, ∃g:B→R:全単射.
> そこでh:R→2^R;R∋∀r→{r}∈2^Rとすればこのhは単射である。
> 従って,fhg:B→Aは単射となる。
> 
> あと,#A=アレフ2,#B=アレフ2や#A=アレフ1,#B=アレフ2の場合とかも同様。

全然同様にはならないでしょうが, それはさておき.
 
> とかしてみたのですが。

無限集合の濃度が比較可能であることにこの命題は
関わっていますから, 比較可能であることを基にした
証明では役に立ちません.

> ZornのLemmaとは「順序集合Xでその任意の鎖
> (Xの部分集合Aで全順序集合になっているもの)
> が上界を持てばXは少なくとも一つの極大要素がある

そうですが,

> (つまり,{x∈X;{a∈X;x<a}=φ}≠φ)」

これは意味不明.

> ですね。これをどのように利用するのでしょうか?

 A の部分集合 A' と B の部分集合 B' との間の
全単射は, 積集合 A×B のある部分集合 C のことだと
考えられます. A×B の部分集合 C で, ある A' ⊂ A と
ある B' ⊂ B の間の全単射を表すものの全体は
包含関係について順序集合となります.
この命題はこの順序集合に極大元が存在することから
証明されます.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp