工繊大の塚本です.

In article <e60849e1-cdea-43d0-afc5-757b0f824683@v19g2000yqn.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> [i] 可積な特性関数で定理3.3が成り立つ事を示す。

命題 3.2 で, E: measurable のとき, つまり,
 χ_E が measurable のとき,
 (i) a.e. x_2 について (χ_E)^{(x_2)} が μ_1-measurable で,
 (ii) a.e. x_2 で考えた ∫_{X_1} (χ_E)^{(x_2)}(x_1) dμ_1(x_1) が
 μ_2-measurable であり,
 (iii) ∫_{X_2} (∫_{X_1} (χ_E)^{(x_2)}(x_1) dμ_1(x_1)) dμ_2(x_2)
       = ∫_{X_1×X_2} χ_E(x_1, x_2) d(μ_1×μ_2)(x_1, x_2)
となることは示されているので, 後は
 (μ_1×μ_2)(E) < ∞, つまり, χ_E が (μ_1×μ_2)-integrable のとき,
 (i') (χ_E)^{(x_2)} が μ_1-integrable で,
 (ii') ∫_{X_1} (χ_E)^{(x_2)}(x_1) dμ_1(x_1) が μ_2-integrable
を示せばよいわけですが ((iii) は両辺が < ∞ というだけ),
普通, (iii) から (ii') を示して (i') を導くというのが,
論理的かつ合理的でありましょう.

  ∫_{X_2} (∫_{X_1} (χ_E)^{(x_2)}(x_1) dμ_1(x_1)) dμ_2(x_2) < ∞

というのが ∫_{X_1} (χ_E)^{(x_2)}(x_1) dμ_1(x_1)  (≧ 0, a.e. x_2)
が μ_2-integrable ということですし,
 μ_2-integrable な関数は a.e. x_2 で < ∞ ですから,

  ∫_{X_1} (χ_E)^{(x_2)}(x_1) dμ_1(x_1) < ∞  (a.e. x_2)

より, (χ_E)^{(x_2)}(x_1) は μ_1-integrable (a.e. x_2) です.

もう一度, 命題 3.2 の内容を辿るようなことは,
賢明であるとは言えません.
  
> 従って,上述の通り線形結合で定理3.3は成り立つので
> fが可積な単関数の時も成り立つ。
> 
> 続いて
> [ii] 非負可積関数f(x_1,x_2)においても定理3.3が成り立つ事を示す。
> 0≦f_n↑f<∞なる(X_1×X_2⊃)Eで可積単関数列{f_n}={Σ_{i=1}^{m,n} a_{i,n}χ_{E_{i,n}}とする
> (この時,Eの測度は有限(∵μ可積の定義))。

何を考えているのかはっきりしませんが, f が μ_1×μ_2-integrable
の時に, 0 ≦ f_n ↑ f となる単関数列 {f_n} で,
 f_n = Σ_{i=1}^{N_n} a_{n,i} χ_{E_{n,i}} と canonical に書いた時,
 μ_1×μ_2(E_{n,i}) < ∞ となっているものを取るとして,

> (i)については
> a.e.x_2∈X_2に於いて,f_n^{x_2}はμ_1可積と分かっているので
> f_n^{x_2}はμ_1可測関数(∵μ可積の定義)。
> よってlim_{n→∞}f_n^{x_2}=f^{x_2}もa.e.x_2∈X_2でμ_1可測関数…②'。

これは良いのですが,

> 次に∫_X_1|f^{x_2}(x_1)|dμ_1<∞を示す。

これを最初に示すのはやはり賢明ではありません.

> ∫_X_1|f^{x_2}(x_1)|dμ_1=l∫_X_1f^{x_2}(x_1)dμ_1 (∵仮定0≦f)
> =∫_X_1lim_{n→∞}f_n^{x_2}(x_1)dμ_1
> =lim_{n→∞}∫_X_1f_n^{x_2}(x_1)dμ_1(∵単調収束定理)
> =lim_{n→∞}∫_X_1(Σ_{i=1}^{m,n} a_{i,n}χ_{E_{i,n}^{x_2})(x_1)dμ_1
> =lim_{n→∞}Σ_{i=1}^{m,n} a_{i,n}(μ_1×μ_2)(E_{i,n}^{x_2})
> (∵単関数の積分の定義)
> <∞
> (∵もしa.e.x_2∈X_2において=∞なら
> ∫_{X_1×X_2}f(x_1,x_2)d(μ_1×μ_2)=∞となり仮定に矛盾)
> 
> と苦し紛れですがこれでもいいでしょうか?

それで良いのですが, 同じことを何回も言うことになりますね.

> (ii)については
> [ii]の(i)より(∫_X_1|f^{x_2}(x_1)|dμ_1=)∫_X_1 f^{x_2}(x_1) dμ_1<∞
> が分かったので
> ∫_X_1 f^{x_2}(x_1) dμ_1がμ_1可測である事と
> (∫_X_2(∫_X_1 f^{x_2}(x_1) dμ_1)dμ_2=)∫_X_2|∫_X_1 f^{x_2}(x_1) dμ_1|
> dμ_2<∞を言えばよい。
> 前者については
> ∫_X_1 f^{x_2}(x_1) dμ_1=∫_X_1lim_{n→∞}f_n^{x_2}(x_1) dμ_1
> =lim_{n→∞}∫_X_1f_n^{x_2}(x_1) dμ_1で(∵単調収束定理)
> ∫_X_1f_n^{x_2}(x_1) dμ_1がμ_1可測関数である事は既知なので
> lim_{n→∞}∫_X_1f_n^{x_2}(x_1) dμ_1もμ_1可測関数(∵某命題)
> 即ち,∫_X_1 f^{x_2}(x_1) dμ_1はμ_1可測関数。

こちらは良いです.

> 後者については|∫_X_1 f^{x_2}(x_1) dμ_1|
> <∫_X_1|f^{x_2}(x_1)|dμ_1<∞(∵[ii]の(i)))は
> すぐに言え,

 f^{x_2} ≧ 0 は f ≧ 0 の仮定から明らかですね.

> ∫_X_2(∫_X_1 f^{x_2}(x_1) dμ_1)dμ_2
> =∫_X_2(∫_X_1 lim_{n→∞}f_n^{x_2}(x_1) dμ_1)dμ_2
> =∫_X_2 lim_{n→∞}(∫_X_1f_n^{x_2}(x_1) dμ_1)dμ_2(∵単調収束定理)
> =lim_{n→∞}∫_X_2 (∫_X_1f_n^{x_2}(x_1) dμ_1)dμ_2
> (∵f_n^{x_2}は非負単調増加なので∫_X_1f_n^{x_2}(x_1) dμ_1も非負単調増加
>  (∵単調収束定理))
> <∞
> (∵もしa.e.x_2∈X_2において=∞なら
> ∫_{X_1×X_2}f(x_1,x_2)d(μ_1×μ_2)=∞となり仮定に矛盾)

又, 同じ議論ですから, 良いのですが, 冗長です.

> よって前者・後者が成り立ったので∫_X_1 f^{x_2}(x_1) dμ_1はμ_2可積。
> 
> となったのですが…
> 
> (iii)については
> [ii]の(ii)より∫_X_2(∫_X_1 f^{x_2}(x_1)dμ_1)dμ_2=(μ_1×μ_2)(E)
> (∵命題3.2?)
> =∫_{X_1×X_2}χ_Ed(μ_1×μ_2)(∵特性関数の積分の定義)
> =∫_{X_1×X_2}f(x_1,x_2)d(μ_1×μ_2)(∵fの定義)
> よって(iii)は成り立つ。

何故か f = χ_E になってますが.

示す順番が悪いので, 繰り返しになりますが,
 a.e. x_2 について f^{(x_2)}(x_1) が μ_1-measurable で,
 a.e. x_2 で定義された ∫_{X_1} f^{(x_2)}(x_1) dμ_1(x_1) が
 μ_2-measurable であることが分かっていれば,

  ∫_{X_2} (∫_{X_1} f^{(x_2)}(x_1) dμ_1(x_1)) dμ_2(x_2)
  = ∫_{X_2} (∫_{X_1} (lim_{n→∞} f_n)^{(x_2)}(x_1) dμ_1(x_1)) dμ_2(x_2)
  = ∫_{X_2} (∫_{X_1} (lim_{n→∞} (f_n)^{(x_2)}(x_1)) dμ_1(x_1)) dμ_2(x_2)
  = ∫_{X_2} (lim_{n→∞} ∫_{X_1} (f_n)^{(x_2)}(x_1) dμ_1(x_1)) dμ_2(x_2)
  = lim_{n→∞} ∫_{X_2} (∫_{X_1} (f_n)^{(x_2)}(x_1) dμ_1(x_1)) dμ_2(x_2)
  = lim_{n→∞} ∫_{X_1×X_2} f_n(x_1, x_2) d(μ_1×μ_2)(x_1, x_2)
  = ∫_{X_1×X_2} (lim_{n→∞} f_n(x_1, x_2)) d(μ_1×μ_2)(x_1, x_2)
  = ∫_{X_1×X_2} f(x_1, x_2)) d(μ_1×μ_2)(x_1, x_2)

というだけのことです.

 (i), (ii) の可測性だけを先ず言って, 単調収束定理で (iii) を示し,
その右辺が < ∞を用いて, (ii) の可積分性, (i) の可積分性, と
示すのが効率的です.
 
> [iii] 一般の可積関数fに於いてはf=f^+-f^-と書け,
> f^+とf^-は非負可測関数になるので[iii]より定理3.3の(i),
> (ii),(iii)を満たす。
> 従って,線形結合でも定理3.3は成り立つ事からfに於いても定理3.3は成り立つ。

後は問題ないですね.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp