工繊大の塚本です.

In article <4a06f53a-16ff-49d6-9e2f-6f2ac344fcce@f37g2000vbf.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> > 違います. 先ず, M を R^d のルベーグ集合体とするとき,
> > M = σ(M_1×M_2)~ になることを示し,
> 
> mがm_1×m_2の完備化という事はともあれ,
> mのσ集合体Mがm_1×m_2の積σ集合体M':=σ({E_1×E_2;E_2∈M_1,E_2∈M_2})を
> 完備化したσ集合体M'~={E∪Z;E∈M',Z⊂F∈M',(m_1×m_2)(F)=0}が
> Mと一致する事をまず言わないといけないのですね。
> 
> > その上で,
> > E ∈ M に対し, m(E) = (m_1×m_2)(E) となることを
> > 示すわけです. 後半よりも前半が重要です.
> 
> なるほど。。
> 
> 
> > (区間の積の上で両者が一致することから, M の上で
> > 一致することは殆んど明らかです.)
> 
> すいません。 区間の積の上で一致って どういうことでしょうか?

 M, M_1, M_2 はいずれも区間の積から生成される σ 集合体の
完備化です. 区間の積 (a_1, b_1]×(a_2, b_2]×…×(a_d, b_d]
 = (a_1, b_2]×…×(a_{d_1}, b_{d_1}]×(a_{d_1+1}, b_{d_1+1}]×…×(a_d, b_d]
の上では

  m((a_1, b_1]×(a_2, b_2]×…×(a_d, b_d])
  = Π_{i=1}^d (b_i - a_i)
  = (m_1×m_2)((a_1, b_1]×(a_2, b_2]×…×(a_d, b_d])
  = m_1((a_1, b_1]×…×(a_{d_1}, b_{d_1}])
    ×m_2((a_{d_1+1}, b_{d_1+1}]×…×(a_d, b_d])
  = Π_{i=1}^d_1 (b_i - a_i)×Π_{j=1}^d_2 (b_{d_1+j} - a_{d_1+j})

で一致するのは明らかですね.
 
> M=M'~を示す。M⊃M'~を示す。

 M' = σ(M_1×M_2) でしたが,

> ∀E∪Z∈M'~(但しE∈M',Z⊂F∈M',(m_1×m_2)(F)=0)を採ると
> M'はR^dでのルベーグ集合体になってるので

先ず, 完備化する前の M' はルベーグ集合体にはなっていません.
# 完備化したら M'~ = M となるというのが示すべきことでした.

> M⊃M',

これを示さないと始まりません.

> そしてZ∈M'(∵ルベーグ空間は完備空間) なので,E∪Z∈M'

 Z は何でしょう.

> よってE∪Z∈M.
> 次にM⊂M'~を示す。。。
> はどうにもできません。
> その明らかな方法をご教示ください。すいません。

 M = σ(M_1×M_2)~ が明らかといったわけではないのですが,
それはさておき,

議論の順番に気をつけなければいけないですね.

 R^{d_1} のボレル集合体を B_1, R^{d_1} のボレル集合体を B_2,
 R^d のボレル集合体を B としましょう.
ボレル集合体は開集合から生成されていると思っても, 区間の積
から生成されていると思っても, どちらでも良いので, ここでは
区間の積から生成されているとします.
区間の積の全体を T_1, T_2, T とすれば, B_1 = σ(T_1),
 B_2 = σ(T_2), B = σ(T) です.

 K_2 ∈ T_2 を任意に固定すると, 任意の K_1 ∈ T_1 について
 K_1×K_2 は T の元ですから, 任意の E_1 ∈ σ(T_1) について,
 E_1×K_2 は σ(T) の元になります. 次に E_1 を固定すると,
任意の K_2 ∈ T_2 について E_1×K_2 が σ(T) の元ですから,
任意の E_2 ∈ σ(T_2) について E_1×E_2 が σ(T) の元に
なります. これで B_1×B_2 ⊂ B が, 従って σ(B_1×B_2) ⊂ B
が示されました.

一方, T の元 E は常に E = E_1×E_2 ∈ T_1×T_2 ⊂ B_1×B_2
となりますから, B = σ(T) ⊂ σ(B_1×B_2) でもあります.

これで B = σ(B_1×B_2) が示されました. 又, この上で,
 m, m_1×m_2 が定義されていて, 一致することも分かります.
# これが明らかな部分.

さて, M は B の完備化ですが, B = σ(B_1×B_2) ⊂ σ(M_1×M_2)
ですから, M ⊂ σ(M_1×M_2)~ となります.
#  G ∈ M とは, ある E, F ∈ B で E ⊂ G ⊂ F かつ m(E) = m(F)
# となるものがとれるものですが,
#  E, F ∈ σ(B_1×B_2) ⊂ σ(M_1×M_2) であり, m_1×m_2 は
#  σ(B_1×B_2) 上では m と一致しているものの拡張ですから,
# 上は正当化できます.
又 G ∈ M について, m(G) = m(E) = (m_1×m_2)(E) = (m_1×m_2)(G)
でもあります.

一方, G ∈ M_1×M_2 とすると, G = G_1×G_2 で,
ある E_1, F_1 ∈ B_1 で E_1 ⊂ G_1 ⊂ F_1, m_1(E_1) = m_1(F_1),
ある E_2, F_2 ∈ B_2 で E_2 ⊂ G_2 ⊂ F_2, m_2(E_2) = m_2(F_1),
となりますから, E_1×E_2 ⊂ G_1×G_2 ⊂ F_1×F_2,
 (m_1×m_2)(E_1×E_2) = m_1(E_1)×m_2(E_2) 
 = m_1(F_1)×m_2(F_2) = (m_1×m_2)(F_1×F_2)
であり, E_1×E_2 ∈ B_1×B_2 ⊂ B, F_1×F_2 ∈ B_1×B_2 ⊂ B
ですから, G ∈ M となります. 従って, M_1×M_2 ⊂ M であり,
 σ(M_1×M_2) ⊂ σ(M) = M, σ(M_1×M_2)~ ⊂ M~ = M, と
なります.
# m(E_1×E_2) = (m_1×m_2)(E_1×E_2),
# m(F_1×F_2) = (m_1×m_2)(F_1×F_2), ですから
# m(G) = (m_1×m_2)(G) でもあります.
# 完備化に使われる測度は一致しています.

これで M = σ(M_1×M_2)~ であり, その上で m = m_1×m_2 で
あることが分かりました.

# 二つの測度が一致する集合の全体がσ集合体をなすことを
# 使っています.
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp