Re: 「戦場のピアニスト」
工繊大の塚本と申します.
この映画は上映されていたときに見ました. その週末どうもショパンが
聴きたくなったものですから.
In article <20031130150459.EF4E.KIWI@do-z.net>
Kiwi <Kiwi@do-z.net> writes:
> 特に、ポリャンスキー監督生涯のモチーフであるシュールレアリスム映
> 像を、詳細かつリアルに描き出した歴史ドラマの中に違和感なく納める
> よう演出された「戦場でのピアノ演奏シーン」の出来は秀逸、映画史に
> 残る名シーンと言うほかなしです。そのシーンで演奏される"ショパン
> のバラード第一番"のすばらしさに絶句。アシュケナージを思わせる繊
> 細な全体描写とホロビッツの力強いタッチが同居する極めて華やかでド
> ラマティックな演奏。かつて演奏された優れたバラード一番の列に列す
> るのは間違いなしと思いました。
映画の最後のアンダンテ・スピアナート抜きの華麗なる大ポロネーズの
ように, これもノーカットで演奏して欲しかった. ま, そうすると音楽
映画になってしまうでしょうが.
実はこれはこの映画最大のフィクションですね. 原作にちゃんと書いて
あるように, 実際に演奏されたのはノクターン嬰ハ短調だった訳です.
大体, いくらイメージ・トレイニング的なものは出来ていたにせよ, 二
年半の間全く練習も出来ず, 爪の手入れさえなされていない状態で, そ
ういう選曲になる筈がない.
# もっとも, 原作でのノクターン嬰ハ短調の持つ意味からするとそれで
# あることが必然となり過ぎる, ということから, 原作もこの点でフィ
# クションを含んでいると議論することも可能かも知れませんが, 私は
# その真実性を信じます.
> 淡々としていながら、身近な生活から非常にリアルな残酷さに変質して
> いく"ユダヤ人迫害"の状況描写もおぞましく、ナチスドイツの大量殺戮
> を描いた歴史作品としてもポリャンスキーは後世に名を残す仕事をした、
> と評しても大げさではないでしょう。
例えば「平家物語」が歴史作品であるというのと同じ意味においては,
同感です.
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塚本千秋@応用数学.高分子学科.繊維学部.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@ipc.kit.ac.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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