工繊大の塚本と申します.

 1 を持つ可換環の準同型としては「単位的」なものを考える
ことが多いようですが, それはサテオキ.

In article <61c04dbb.0306091212.6192966@posting.google.com>
?´?V <yosida@parkcity.ne.jp> writes:
> 後者については両辺に「f(a)」の逆元を

 f(a) が 0 でないからといって, その(乗法)逆元があるとは
限りませんね.

 R, R' を 1 を持つ可換環とし, その直和 R + R' を考えます.
即ち, R + R' の元 (a, b) と (a', b') の和と積を

  (a, b) + (a', b') = (a + a', b + b'),
  (a, b) * (a', b') = (a * a', b * b'),

で与えたものを考えると, やはり, 1 を持つ可換環になります.
 R + R' の自己準同型 f: R + R' → R + R' を

  f(a, b) = (a, 0)

で定義すると, f による 1 = (1, 1) の像は (1, 0) という
零因子になります.

よくある例としては, R = Z/6Z で f([a]) = [3a] としたもの
がそうです.

一般に, f(1) = f(1*1) = f(1)*f(1) より f(1)*(1-f(1)) = 0
ですが, f(1) が 0 でも 1 でもなく, 零因子になっている場合,
そのような自己準同型を持つ 1 を持つ可換環 R はどんなものか,
は, 演習問題です.
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塚本千秋@応用数学.高分子学科.繊維学部.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@ipc.kit.ac.jp