議論の本質からは実は外れているので
細かく突っ込むのは止めようかとも思ったんですが……

#「組織かどうか」という観点を悪用して
#「MLと同報メールの質的な差異」を捏造しようと
#していることが問題なんですから

In article <et38rg$okd$1@newsL.dti.ne.jp> toy@ops.dti.ne.jp writes:
>> まあ、「MLが組織そのもの」である場合が無いわけじゃないですけどね。
>  その直前まで選管MLについて話していたので省略した側面と、戸田さん
>と wacky氏の会話の中で「MLは組織そのもの」などの表現が何度も出てき
>たことを受けて引用した側面と、両方から上記のような表現をとりました。
>  MLそのものが組織になる場合といえば、MLを解散したことによって消滅
>する組織がある場合でしょうね(趣味系のMLなど)。
その場合でも「MLが組織そのもの」「MLそのものが組織」という表現は
適切とは言えないでしょうね。

人間社会について論じている場合(医学用語とかで無い場合)の
「組織」という概念の本質は「人の集団」だと思います。
ただ、単に「集団」ではダメで、一定の構造を有している必要がある。
それゆえ、その構造自体を指し示す概念や、
その構造を作るというサ変動詞としても「組織」という言葉が使われるわけです。
それが、wacky氏が挙げた辞書の記述における
“集団の全体”“仕組み”“組み立ること”という3つの用法に対応します。

ただ、wacky氏が挙げた辞書の記述では、
“仕組み”絡みで少々説明不足があるわけです。
この記述では、集団を組織として維持するために使っている
具体的な個々の手段のことを
“仕組み”と呼んでいるようにも読めてしまうのですが、
「組織」という語彙は、実際にはそういう意味には使われません。
個々の手段ではなく、その手段を組み上げて
作り上げた「構造」のことを「組織」と呼ぶのです。

ですから、丸山さんが挙げた例についても、
MLは「個々の手段」として必須な存在で代替性が無いものではありますが、
ML自体が「組織」ではありません。
MLは「組織の必須アイテム」に過ぎないのです。

># 10年くらい前は、Niftyの会議室(や今でいうmixiのコミュニティ)に相当
># する巨大組織として「ML」という物があり、その中にサブカテゴリとし
># て個々のMLが存在する、と思っていた人もいたらしくて、トラブルに発
># 展した話もあったと聞いていますが(伝聞調)。
この事例は、むしろ「ML」という語彙の語義の問題ですね。
「ML」というのが「組織」の一種であると誤解していたという事例で、
そのように誤解している人の言語体系では「MLは組織そのもの」でしょう。
しかし、それは我々が議論の対象としている「ML」とは別のモノなわけです。

                                戸田 孝@滋賀県立琵琶湖博物館
                                 toda@lbm.go.jp