新城@筑波大学情報です。こんにちは。

fjの「非営利」とか「実名(不特定多数排除)」は、JUNET時代の
考え方を引き継いだものです。原点を見るのも面白いでしょう。

> From: kusumoto@etlcom.etl.JUNET (Hiroyuki Kusumoto)
> Newsgroups: fj.guide.general
> Subject: 1 JUNET
> Message-ID: <TEBIKI88257719572@etlcom.etl.JUNET>
> Date: 2 Feb 88 13:26:54 GMT
>  JUNETの参加組織は、 JUNETを営利目的に使用してはいけません。さらに JUNET
> の利用者として不特定多数の参加は認められていません。これは JUNETに参加し
> ている組織のホストに正式にログインアカウントを持っている人に利用者は限ら
> れるという意味です。どんなに多くの人数でもこれは特定多数であると解釈され
> ます。ちなみに端末を道端に置いて道行く人に使わせるというのは特定多数には
> ならないのでいけません。

この記述は、fj/JUNETの存亡に関わっていた記述です。これが満た
されないと、郵政省(当時)からオトリツブシがかかりかねないとい
う状態でした。つまり、fj/JUNET が流行って、第2種通信事業者
(VAN業者)の商売にさしさわる可能性があったわけです。それは郵
政省としては絶対に避けなければいけないことです。電子メールが
はびこって普通の郵便物が減ることも。それで上のような話で手を
打ったということなんだと思います。私は当事者ではないので、詳
しくはわかりません。ですが、郵政省のインターネットに対する冷
遇ぶりは今となっては想像できないほどのものはありましたから、
私はかなり真実に近いと確信しています。郵政省はOSI推進でしたし。

当時は、「非営利」で十分通じたんだけど、今、言葉が通じない人
がいるわけです。時代背景とかわからないと、完全には分からない
んだろうね。

時代は過ぎて郵政省もインターネット行け行け状態になったので、
「非営利」はもう大丈夫なんでしょう。実際、fj の記事が増えた
方が、通信事業者としても利益が増える方向に動きますし。

「実名」の方は、犯罪予防の観点から残した方がよい特性だと思い
ます。つまり、著作権法違反とか恐喝とかそういう違法行為が出て
きても追跡出ますよという状態にすることで、犯罪を抑止しようと
いうことです。犯罪が横行してくると、警察の介入を招きません。
いちいち警察が出てくる fj よりは出てこないでも済む今の状態が
いいでしょ。

JUNET利用の手引き全文は、こちらにあります。

http://www.is.tsukuba.ac.jp/~yas/fj/junet-tebiki/

JUNET開始が1984年10月と書いてあるから、20周年ですね。fjも最
初から動いていたんですかね。それだとfjも20周年なんだけど。

\\ 新城 靖 (しんじょう やすし) \\
\\ 筑波大学 電子・情報       \\

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Path: gama!etlcom!kusumoto
From: kusumoto@etlcom.etl.JUNET (Hiroyuki Kusumoto)
Newsgroups: fj.guide.general
Subject: 1 JUNET
Message-ID: <TEBIKI88257719572@etlcom.etl.JUNET>
Date: 2 Feb 88 13:26:54 GMT
Expires: 28 Feb 88 00:00:00 GMT
Sender: kusumoto@etlcom.etl.junet
Reply-To: kusumoto@etlcom.etl.junet
Followup-To: fj.junet
Distribution: fj
Organization: Electrotechnical Laboratory, Tsukuba Science City
Lines: 184
Approved: fjnews@junet
Posted:  Tue Feb 2 13:33:42 GMT 1988



「JUNET利用の手引」の第1章です。
junet.texというファイルをjlatextxtで変換して、jfold -72を
通したものです。
latexを知っている人にはわかると思いますが、
\label, \verb, \footnote のところがうまく変換できていません。
他にもおかしいところが少しありります。
現在対策を考えている最中です。

楠本

-----------><8-----------><8------------
[whatis-junet]



<1> JUNETの背景



科学技術の多くの分野、特に計算機科学の分野に携わる研究者にとって、コンピ
ュ−タシステムは研究環境としての重要な役割を果たすようになってきました。
研究者間の情報交換は研究環境としてのコンピュ−タを結合したネットワークを
用いて実現することが可能となりました。このようなネットワークとしては、米
国国防総省のARPAネットワーク、UNIXを中心とした USENET 、米国NSFのCSNet、
オーストラリアのACSNETなど数多くのネットワークが実現されています。これら
のネットワークは、「アカデミックネットワーク」などと呼ばれ、電子メール、
電子ニュースなどのメッセ−ジ交換機能を中心に、研究情報の交換に役立ってい
ます。このようなネットワークは、コンピュータネットワークの研究者が研究の
テストベッドとして使用しているという点に特徴があり、ネットワーク管理、ネ
ットワークの応用機能、プロトコルなどを始めとする多くのネットワーク技術が
、実際的な運用のもとに生まれています。また、世界中のアカデミックネットワ
ークは、本質的に相互に接続されるべきなので、ネットワーク間の接続に関する
努力も活発に行われています。

一方、わが国の研究環境には、大学の計算機センターのメインフレームを結合す
るN-1 ネットワークが運用されていますが、N-1は独自のプロトコルによる効率
を重視した通信機能を用いて、仮想端末とファイル転送の機能を提供し大型計算
機能力の共有を実現していて、同ネットワークにおいては、現状ではメッセ−ジ
交換機能は提供されていません。したがって JUNETは、実際に運用され国際接続
を実現することにより、コンピュータネットワークの技術と文化の発展に貢献す
ることを目的として構築が開始されました。



<2> JUNETの歴史



わが国において、メッセ−ジ交換を基調としたアカデミックネットワークは、主
に次の2つの理由からその発展を妨げられていました。1つは、柔軟な解放型のネ
ットワークを構築しやすいコンピュ−タシステムが研究基盤として十分に一般化
されていなかったこと。もう1つは、公衆電話回線の使用上の制限が強かったこ
とです。しかし、1983年以来UNIXオペレーティングシステムが研究者の間で一般
的となり、高機能パーソナルコンピュ−タが発達し、同時に公衆電話回線を用い
た通信に対する環境が向上するにしたがい、公衆回線上でUUCPプロトコルを用い
たネットワ−クを構築する状況が整ってきました。

こうした状況の中で、 JUNETの実験は、共にUNIXオペレ−ティングシステムが稼
働していた3つのロ−カルエリアネットワ−クのゲートウェイ、即ち東京工業大
学、慶応義塾大学、東京大学を結合して1984年10月に開始されました。

3大学間でのネットワ−クの実験開始とともに、電子メールと電子ニュースのサ
ービスを開始し、実際に運用を行いながら、ネットワーク管理、日本語メッセ−
ジの取り扱い、ネットワーク間結合などに関する検討を開始しました。日本語メ
ッセ−ジに関しては、暫定的な取り扱いにより実現し、名前管理、経路制御など
に関する研究の成果として、1985年5月に階層的なドメインに基づく名前管理を
実現するシステムが導入されました。

これに先駆け1985年1月には、国際電信電話株式会社研究所において、USENETと
の国際結合の実験が開始され、 JUNETとUSENETのネットワーク間結合が実現され
ました。1986年1月には 東京大学がCSNETと JUNET のゲートウェイとしての運用
を開始しました。CSNET や USENET はすでにいくつかのアカデミックネットワー
クとのネットワーク間結合が実現されているので、間接的にこれらのネットワー
クとの情報交換も実現されました。



<3> JUNETの現状



 JUNETは1987年11月の時点で約110組織が参加し、約1000のシステムと電子メー
ルの交換が行うことができます。これらの組織は大学、国立研究機関、計算機メ
ーカーの研究所、電話会社の研究所、ソフトウェア会社の研究開発部門等であり
、ボランティアとして参加しています。現在、組織間の結合には、電話回線や公
衆パケット交換網を用いたUUCPプロトコルが主に用いられており、通信には2400
bpsまたは、9600bpsのモデムが用いられており、これらは、CCITTのV22bisとかT
elebit社TrailBlazerやMicrocom社 MNP Class 6 の規格に基づいています。

 JUNETは本質的には、参加各組織のロ−カルエリアネットワ−クを結合すること
で成立しているネットワークです。メッセ−ジ交換のアドレス管理、経路制御、
メッセ−ジ交換関係の各種応用機能を提供し、他のネットワークとのネットワー
ク間結合に基づいたゲ−トウェイ機能を提供しています。実際の通信は主に公衆
電話回線や公衆パケット交換網を用いたUNIX上のUUCPプロトコルを用いて行って
いますが、TCP/IP のプロトコル体系の実験も開始されています。

各組織のローカルネットワークを結合しているわけですから、ネットワ−クを構
成するシステムはゲ−トウェイとその他のシステムの2種類に分類されます。ゲ
−トウェイとはその大学・研究所外のシステムとの間に結合が存在するシステム
のことをいいます。ゲ−トウェイ以外のシステムはこのゲ−トウェイとの間に局
所結合を持つことで、 JUNET内の全てのシステムとの通信を行なうことが可能と
なります。

先に述べた様に、ゲ−トウェイ間は主に公衆電話回線や公衆パケット交換網上の
UUCPリンクで結合されています。これに対し組織内におけるシステム間の結合に
は、内線電話回線、直接結合、Ethernet等の様々な媒体が用いられています。こ
れらのローカルネットワーク内で使用されるプロトコルやアドレス方式の違いな
どは、ゲートウェイによって吸収されています。



<4> JUNETの機能



 JUNETの機能の中で主なものは、メッセ−ジ交換の応用機能、すなわち、電子メ
ールと電子ニュ−スです。これらは、DARPAインターネットのメッセージ形式の
規格であるRFC822 に準拠しています。これらのメッセ−ジ交換機能に関しては
、日本語の使用に対しての要求が強いことから、ASCIIコードだけでなく、JIS漢
字コードを使用することも可能にしています。しかしメッセ−ジ内に漢字コ−ド
が存在する場合、漢字コ−ドを処理出来ないシステムでは混乱が生じる可能性が
あるので、 JUNETではこの問題に対しメッセ−ジのヘッダのSubject部に使用コ
−ドを示すことで暫定的に解決を行っています。例えば、Subject: next meetin
g (In Kanji)ただしこのような使用されるコードの表現に関しては、ヘッダ部へ
の正確な表現を取り決める方向で検討されています。RFC822によるもの。

メッセ−ジ交換のための各ユーザのアドレスと名前を管理するための名前管理の
技術は、利用者インタ−フェ−スの質を左右するのみならず、経路制御、通信の
信頼性などにかかわる重要な技術です。このために JUNETが提供している名前管
理システムには、次のような点が考慮され実現されています。



 階層的なドメイン構造に基づく名前管理を行っている
 そのための sendmailルールを生成するシステムが開発されている




<5> JUNETの管理と運用





 JUNETは全体的管理者(junet-admin@junet)および各ドメインの管理者の集合
体(postmasters@junet)、つまり各組織内の最上位ドメインの管理者の両者に
よって運営されています。したがって全員が責任を負っているわけです。JUSが
運営しているとかどこかの大学が運営しているとか書いてある文書もあるみたい
ですがそれは間違いです。前者は根も葉もない話ですし、後者についてはたしか
に一部の大学は JUNETの主要参加組織であり運営に関与しているといえるかもし
れませんが、その大学だけで運営しているわけではありません、また INETClub 
と JUNETを混同している文書もあるようですが、やはり間違いです。 INETClub 
はこの手引にもあるように( 参照 [inetclub])、海外とのメールのやり取りをす
るための同好会的組織です。 JUNETはあくまで国内のネットワークです。

したがって、これらの運営母体によって正しく認識されていないシステムは JUN
ETのノードではありません。また JUNETのアドレス表現で正しくメッセージを交
換できないノードは JUNETのノードではありません。具体的には JUNETの最上位
のノードに位置する東京工業大のホスト titcca.cc.titech.JUNETまたは東京大
学のホスト ccut.cc.u-tokyo.junet とそのノードとの間で JUNETのアドレス表
現を用いてメールのやり取りができるかということで判断されます。

 JUNETの参加組織は、 JUNETを営利目的に使用してはいけません。さらに JUNET
の利用者として不特定多数の参加は認められていません。これは JUNETに参加し
ている組織のホストに正式にログインアカウントを持っている人に利用者は限ら
れるという意味です。どんなに多くの人数でもこれは特定多数であると解釈され
ます。ちなみに端末を道端に置いて道行く人に使わせるというのは特定多数には
ならないのでいけません。

 JUNETはボランティアネットワークですから。参加している以上はそれに応じた
義務を負います。例えばメール、ニュースを隣接サイトへ正しく送る等です。各
ドメインの管理者はこの手引を熟読し、それに沿った運営を行うことが要求され
ています。またシステムのトラブル等に関しても自分で解決することが原則です
。もちろん主要組織、全体管理者からの、またニュースシステムを通じてのボラ
ンティアによる応援はあります。けれども主要組織がサポートするのは当然とい
う態度はよくありません。各組織の管理者の人は、自分自身も JUNETの一部を担
っているのだということを自覚しましょう。もちろん各ホストの技術力、計算機
資源は大きく異なります。しかし色々な努力することは可能です。 JUNETに参加
する以上はなんらかの貢献をするように努力することが大切です。 JUNETは商用
ネットワークではないのですから。建設的に JUNETに参加し、より良いものにし
ていきましょう。