Nakagawa <naka111@silk.plala.or.jp> writes:

> 中川@つくば です

> > パトロン(納税者)の側もそのことは納得している。
> それはおかしい。
> 人間の知的活動のうちで基礎科学にこれだけの公的資金が投入されるのは
> 多くの場合、広い意味で「役に立つ」と考えられているからです。

単に「経済的な意味で役に立つものにのみ税金を投入すべき」というのなら、
日本の納税者はそこまで狭量ではありません。

少し前の新聞記事にもでていましたが、ニュートリノ研究施設への2千億円支
出が決まっており、さらに建設開始を3年早めることが決まったそうです。
この決定に際して日本の国会で反対意見があったとは聞きません。
これと比較して「役に立つ」といわれてきた高速増殖炉の開発では、「もんじゅ」
の事故の後国会での論戦ありましたね。
# 期待はずれの上に安全性も不明確。

欧米に負けるな!ニュートリノ研究施設の着工前倒し
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030823-00000201-yom-soci

=========== 引用 ===========
 日本が世界の最先端を走るニュートリノ研究を推進するため、文部科学省は
22日、茨城県東海村に建設中の大型加速器に付属する、ニュートリノ発生施
設の建設開始を3年早め、来年度に着工する方針を固めた。

 全体で約2000億円を費やす巨大事業だが、1度決まった予算計画の前倒
し変更は極めて異例。

 ニュートリノ物理学で昨年、ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊・東大名
誉教授に続く、同じ分野での日本人ノーベル賞受賞者輩出を後押しする狙いが
ある。
=========== 引用 ===========

> 広い意味での「役に立つ」は、パトロン(納税者)の知的興味であったり、

これには私も同意します。
ただし、その場合は
「役に立つ」
という表現より、
「パトロン(納税者)の知的興味」
を引きつけるものと表現した方が誤解がないでしょう。

> そして、役に立たないと思われていたものが役に立ったりすることです。

この表現自体、自己矛盾含んでませんか?
政策決定の際には
「役に立たないと思われていたもの」
ものですよね。

> > 2. しかし、基礎科学が数世代経ってから発展して役に立つことはある、ただ
> >    しその時点では当初投資したパトロン(納税者)のかなりがもう利益を教
> >    授できない。またはその知識が(数世代後には)広く世界に行き渡ってい
> >    るので投資したパトロン(納税者)が独占的に利益を享受できない。
> 
> 数世代たってから役に立つのは例外中の例外でしょう。
> 十年たって役に立つものですら、
> 役に立つきっかけは再発見であることが多いです。
> その場合は、第一発見者の業績は全く「役に立っていない」。

少数ではあっても、大きなインパクトを与えた例を上げた例はいくつも出せま
す。
レーザーは光通信、CD、DVDで我々の生活の基盤的テクノロジーの一つとなっ
ていますが、その発展を追うと、

アインシュタインの誘導放出(1916)
メーザー(1954)
レーザー(1960)
レーザーの経済的利用 (1970年代後半頃ー)

また、レーザーについて多少とも詳しい本では誘導放出について触れています
ね。
> その場合は、第一発見者の業績は全く「役に立っていない」。
というのはこの場合、どういう意味でしょうか?

「第一発見者」が経済的に利益を受けていない意味では、同意します。
アインシュタインは元より、メーザー、レーザーの開発者のタウンズ、理論的
に量子光学の裏付けをしたバソフ、プロホロフもノーベル賞という名誉はとも
かく、特許料で稼いではいません。

しかし、レーザーの開発の歴史に
> 全く「役に立っていない」
という断定できるほど各業績に因果関係が認められないものでしょうか?
また、各々の業績は、
> 役に立つきっかけは再発見
なのでしょうか?

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Kiyohide NOMURA
Department of Physics,
Kyushu University,
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