遅くなってしまいましたが。

柳楽盛男 wrote:
> 意外です。
> (a^b)^c =a^(bc)の適用できる範囲はどうなるのでしょうか?

元来これは指数法則として、底 a が正の実数の場合に定義されたもので、
実数の範囲でも、すでに a<0 だと一般には成り立ちません。
 -1 = (-1)^1 = (-1)^(2・(1/2)) =?= {(-1)^2}^(1/2) = 1^(1/2) = 1 (??)
一方で:
 -1 = (-1)^((1/2)・2) =?= {(-1)^(1/2)}^2 = i^2 = -1 (?)
とすれば一応成り立っているように見えますが、「複素数は考えない」
ということだと "=?=" の時点で未定義になります。

これらは皆同根で、複素数の場合に累乗根や指数法則を拡張しようとすると、
西澤さんや河野さんが言うように、偏角による周期性(多価性)を
考慮する必要があります。

一般に 1 の偏角は 2nπ(n∈Z)、つまり 1 = exp(2nπi) です。
 # 上で n, π, i はどういう順番で書くべきなんでしょう?

これらの点は複素(数?)平面上ではすべて同一点に重なっています。
そして上記のような実数の範囲の計算では重なったままですが、
 z^(1/2) (簡単のため |z|=1 とします)を「偏角を 1/2 にする演算」と
考えれば、z=exp(2nπi) のとき、n が偶数か奇数かで±1 の場合が生じます。
この場合はまだ、2通りに分かれるだけですが、log(z) を exp(z) の
逆演算とすれば、log(1) = 2nπi (n∈Z)、つまり
 ..., -4πi, -2πi, 0, 2πi, 4πi, ...
と無限に多くの場合が生じます。

河野さん writes:
>> X = exp{log(X)}
>>      = exp{2πi * (log(x)/(2πi))}
>>      = {exp(2πi)}^(log(x)/(2πi))
>>      = 1 ^ (log(x)/(2πi))
>>      = 1
>
> この場合はlogも入っているからなぁ。大きさの差はlogから来るのかな?

log(X) はここでは無関係です。勝手な定数 a に対し:
  exp(a) = exp(2πi * (a/(2πi)))
としたところで議論としては同じです。

上の変形では、最初は exp(2πi) と、偏角を 2π にとっていたのに対し、
1 と書き換えた時点で暗黙に偏角を 0 に置き換えてしまった点が問題です。


1 = exp(2nπi) と書けば、
  exp(2nπi)^(log(x)/(2πi)) = exp(n log(x)) = x^n
となって、元の x と等しくなるのは n=1 の場合だけです。

柳楽さん writes:
> z= r exp(iθ) (r >0)、w = a + bi (a,bは実数)として
>
> z^w = {exp (log(r) +  iθ) }^ (a+bi)
>      =  exp{(a log(r)- bθ) +(aθ + b log(r))i}
>
> として複素数の複素数乗が(a^b)^c = a^(bc)に基づいて定義されていると
> 思っていましたがこれは間違いでしょうか?

それ以前に、z^w がすでに一般には多価関数です。
z, w の偏角に 2nπ の周期性を加えるとどうなるかを調べてみてください。
特に w が整数の場合とそれ以外の場合とを比較してください。

(平賀)