At Thu, 18 Nov 2004 09:13:51 +0900,
in the message, <419BE93F.E371FDE9@ht.sakura.ne.jp>,
IIJIMA Hiromitsu <delmonta@ht.sakura.ne.jp> wrote
>> >なお、ついでに言うと「初めから騙すつもりであった」のでないと詐欺罪には
>> >なりません。
>> 
>> 金利はこれぐらいで...って金集めて結果的にその金利守れなく元本保証も
>> なくなった場合でもOKってことなんですか?
>
>OKですが、実際には立証が面倒なので、無許可で金融業を営んだとして「出資法
>違反」でしょっ引くケースが多いですね。

はい?
何の「立証が面倒」なんですか?
文脈からして、「OK」とは、詐欺罪に「ならない」ということです
(あるいは犯罪にならないという意味かも知れないけれど、それなら今度は、
 出資法違反も何もない。
 それでもなければ一体「OK」とは何のことか?)。
ならば詐欺罪の「立証が面倒」も何もありません。
……だって、詐欺罪じゃないんだから。
出資法違反の立証だとすれば、それが面倒なので「出資法違反で」しょっ引く
というのは論理的に意味不明。

# ちなみに正確には立証の難易の問題ではないのだけど。


それはさておき設例を、
 これこれの事業によりこの程度の利益が見込めるからそのうちこれこれの額
 を配当金として出しますと言って投資家から金を集めて会社を創ったが潰れ
 て出資金もパーになった。
というのに代えてみるとよく判ります。
出資法違反等他罪の点を除けば本質的にまったく同じ。
これが最初から計画倒産でなくて本当に事業として上手くやれるつもりだった
場合でも詐欺罪になると思いますか?と。
それじゃあとても会社は創れないね、と言うか、とても事業なんてできない
ね、と。

それどころか、これが詐欺罪なら「出資を募った時点で実行の着手がある」か
ら、上手く行って倒産しなくても詐欺未遂罪になっちまうわ。
  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
と言うか、出資させた段階で既遂だから金を集めれば即詐欺罪になる。
                  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
既遂に達した以上、その後に上手く行こうが行くまいが犯罪の成否には無関
係。

……というところからも判る通り、
>> 金利はこれぐらいで...って金集めて
その金利をきちんと守って元本もきちんと返した場合も、金を募集した段階で
既に詐欺未遂罪が成立し、それに応じて出資した人が出た段階で詐欺既遂罪
が成立していることになってしまいます。

これは明らかに変。

# 事業計画を示して銀行から借入れをする場合だって同じだよ。
 これだけの収益が見込めるっていう事業計画を示して金を借りたけど失敗し
 て倒産して借入金が焦付いたら、詐欺罪かい?
 (つーか、上に述べたとおり焦付かなくても詐欺罪なんだけど。)
 無論、繰返しになるけど、計画倒産なら詐欺罪にはなりうるよ。

なお、逆に、「元々騙し取るつもりだったけど望外に上手く行ったから還元し
た」としても詐欺罪は成立します
(実際にはまず無いし仮に在ったらまず問題にならないだけでね。)。

……要するに、金を返したとか返せなくなったとかそんなことは詐欺罪の成否
を論じるに当って考慮する必要は「まったく」ないのです
(単なる情状でしかない。)。
(1項)詐欺罪の構成要件要素は、欺罔行為によって財物を「交付」させるこ
とと、騙して財物を交付させるという行為者の意図だけ。

-- 
SUZUKI Wataru
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