加藤@ODNです.

In article <cg53ev$mcb$1@pin3.tky.plala.or.jp>, Nakagawa wrote:
>中川@つくば です
>
>"Hideki Kato" <katoh@pop12.odn.ne.jp> wrote in message
>news:4122cc98.6979%katoh@pop12.odn.ne.jp...
>> 加藤@ODNです.
>>
>> >"Kenji Kobayashi" <kenji@nasuinfo.or.jp> wrote in message
>> >news:cf71us$2934$1@news.jaipa.or.jp...
>> >> 量子コンピュータは、デジタル・コンピュータというよりアナログ・コン
>ピュータ
>> >> に近いものです。アナログ・コンピュータの適用範囲は限られます。
>> >
>> In article <cft7rp$due$1@pin3.tky.plala.or.jp>, Nakagawa wrote:
>> >昔のパリティに、電子波デバイスがらみで辛口の評論があり、
>> >干渉を利用するデバイスは、スイッチングデバイスとして不適、と書かれていま
>し
>> >た。
>>
>"Hideki Kato" <katoh@pop12.odn.ne.jp> wrote in message
>news:4122cc98.6979%katoh@pop12.odn.ne.jp...
>> スイッチングデバイスじゃなくても情報処理は可能ですよね?
>
>ただ、アナログコンピュータへの応用を目指すには、
>シリコンアナログコンピュータですら絶滅に近いという事実を
>覆す必要があります。

う〜ん,事実を覆すのは神様でもない限り無理です :-)
アナログコンピュータの最大の欠点は汎用性の無さと精度が上げられない点
でしょうか? これは数値計算によるシミュレーション用途には非常に不利
ですが,逆にデジタルコンピュータの限界というのもあります.ご承知のこ
ととは思いますが,本来連続のものを離散化する時点で,世界が変わってし
まいます.現状,計算精度を上げる(正確には,色々な刻みを細かくする)
事で補っていますが,近似には違いありません.このやり方でどこまで行け
るかは unknown です.

>トランジスタ一個の一時点の特性を計算するのに、
>スイッチングトランジスタを
>延べ一億回以上動作させる方法が主流であるという事実は、
>アナログとデジタルのギャップの大きさを示しています。

高速化と大容量化によって補っていますが,3次元以上では限界は早晩やっ
てきます.

上の疑問に対する答えとしては,単に技術のトレンドとの絡みでアナコンが
デジコンに負けた,とも言えます.シリコン以外のデバイスや非フォンノイ
マンアーキテクチャが負けた様に.であれば,今後復活する可能性は否定で
きません.

>アナログ応用を考えるならば、
>最近の微細構造形成技術と、昔からの相似則活用技術を駆使して、
>巨大な単一問題シミュレータを構築するのは楽しそうですね。
>たとえば、球殻形の巨大三次元回路を作って、
>それに光を当てると、「エルニーニョ」とか「台風」とかが
>シミュレートできるとか…

ペイするなら誰かが作るでしょう(マジ.

#デジコンでどこまで可能なのかは未だに unknown だから...
#計算量の観点(NP)とか不完全性定理とか...
##昔よく同僚と議論したものです(私の専門は人工知能).

>> >おなじ評論に、どうして研究者は根源的な問題点を一番後回しにするのか、とも
>書か
>> >れていました。
>>
>> その手の議論をする時は,どういう意味(視点)で根源的なのか,が先に問
>> われなければなりません.
>
>数年前の知識で書きますが、量子コンピュータならば
>・qbitが一次元(または二次元)に整列している時、
> 隣接qbitの相互作用だけでコンピュータは作れるか
>・そもそもこのような空間配列型qbitで良いのか
>・コヒーレンス持続時間と、相互作用時間の比に
> 原理的な限界はあるのか
>・演算を行うための相互作用源(プローブ)と
> qbitがエンタングルしても、動作に影響はないのか。
>・量子誤り訂正の手順では、系は外部とエンタングルしないのか
>・演算結果を「読み出す」方法にはどのようなものがあるのか
>・原理的に、結果が読み出せる問題は、どのような計算クラスなのか
>みたいな事ではないでしょうか。
>これらの問題は解決済みなのかな?

まぁ,難しい問題より易しい問題から手を付けるというのは工学の基本で
すから.そうこうしてる間に研究が進んで,難しくなくなるという可能性も
ありますし(笑.

上に書いた様に,デジコンの限界もまだ明らかじゃないんだから,量子コン
ピュータにそれを期待するのは流石に無理筋でしょう.

#人工知能だって,知能が工学的に実現できるか否かという根本的な問題の
#答えは出てないわけで,研究しなきゃ答えは得られないんだから,まずは
#出来ると思い込んで研究を進めるのが真っ当な方法論だと思います.

>qbitを3個、4個、5個と増やしていっても、
>qbit100個には絶対到達できない技術的断絶があります。
>だから、少数のqbitで量子コンピュータの動作を確認する実験は、
>「量子コンピュータ開発へのステップ」として見る限り、
>私にはナンセンスに思えます。

そうでしょうか? その技術的断絶を定量的に明らかにするためにも,順々
に増やしていくのが正しいように,私には,思えます.
#他にどういうアプローチがあるのでしょうか?
-- 
Hideki Kato <mailto:katoh@pop12.odn.ne.jp>