まずは「保証規定」を読んでみましょう。
大概の保証規定には、「純正部品または指定油脂類以外の使用に起因する不具
合は保証しない」旨書いてあります。

At Mon, 22 Mar 2004 13:09:45 +0900,
in the message, <405E6709.6D149FF8@sp8sun.spring8.or.jp>,
Masahiko_KODERA <kodera@sp8sun.spring8.or.jp> wrote
>> その上で、「メーカーは、特別な場合を除き社外品の取り付けによって'自社
>> 製品の'(当り前だから前回は書かなかったんですが。)動作に問題が生じな
>> いとは請合っていない」のが普通でしょう。
>
>規格品を使用する限りは通常、請合っているようだ(全メーカー網羅した経験な
>んぞまるで無いので、数社の経験で推測してます_o_)というのが、前記事で言
>いたかったポイントでした。

使用するのが規格品でも「規格品ならいいと言っていると解せられる特別の事
情がなければ駄目」です。
大概、保証規定には「純正部品または指定油脂類以外の使用による異常は保
証しない」旨明示してあります。

特にホイールの場合、「規格に合せたとしても当然に取り付けできることを意
味しない」以上、規格品だろうが何だろうが「保証しない」です
(そもそもそういうのを「規格」と言うのか?という疑問はあるが。
 ホイールのサイズには規格など存在しなくてサイズの「表示方法に」規格が
 存在するだけ、じゃないの?)。

例えば、7Jx16 5-100 +55 60.1というホイールがあるとします。
これが純正と全く同じ諸元であるとして、リム部またはディスク部(スポー
ク)が剛性を上げるために肉厚になっていてブレーキキャリパーと干渉して装
着できないということは絶対にないと言えると思いますか?

>#というか、(正常動作)阻害方向にちょっとでも外すと駄目というのが肝心な
>#部分だったんですが... それを言うなら純正品以外全て駄目になってしまう
>#と仰られた訳ですよね?

いいえ。
「純正品以外は基本的に駄目」だと言っているのです。

油脂類はただの例外(と言うより埒外。)です。

>> >#分かり安い事例としては、取説に有る規格の範囲なら、純正オイルなどを
>> >#使用せずともエンジンに関する補償は原則有効だとかそういう話です。
>> 
>> # この場合「保証」でしょう?
>>  「補償」では意味が解らん。
>>  「保証」があれば壊れたときに「補償」としてただで直してもらえるけど。
>
>いえ。オイルに関しては多くのスレッドに噛んでますけど、使ってる車両メー
>カーのディーラーや顧客相談窓口(つーてもe-mail)には相談の上、判断して
>新車にも社外品を用いつつ、記事にもしてるんですが。いわゆるエンジンクレー
>ムの場合でですね。他顧客の実例ともなると口を割ってくれるのはせいぜいディー
>ラーなんですが(^^;、クレーム修理になるようなケースによってはメーカー戻
>しになって油脂と燃料は調べられると言う話がありまして。
>でもって、油脂類なんぞそもそも規格で指定してるようなとこしか知りませんけ
>ど、まともに入っていて、客のせいだとして「補償」しなかったケースは思い当
>たらないということです。って書くと当然、皆無の証明になっていないので突っ
>込まれそうですが。修理費を補償しなかった明確な事例としては、むしろ入って
>いた油の銘柄より、オイルが干上がったような状態になっていて、問うても点検
>・交換履歴など示せないような(客責任の整備不良)ケースとかのようで。

# 引用が長いのは勘弁。

そういうのは、「補償が有効」とは日本語では言わないのですよ。
「補償が有効」と言うなら、それは「補償をし'た'ことについて当該補償を正
当化する根拠がある」言い換えれば「後で取消したりできない」という意味。
だけど、上の話で有効性が問題になっているのはあくまでも「保証」であって
「補償」はその結果にすぎません。

それはともかく、指定油脂類の使用かどうかが「保証」の効力に影響するのだ
から調べるのは当然のことです。
そして指定油脂類を使用しているのであれば、他に保証外となる原因がない限
り補償するのは当り前です。

>最近よく話題になる、オイル交換時期の通常・シビアコンディションの解釈につ
>いて話した時も言ってましたが、相当数の車が取説で通常15,000kmとしている
>が、これに関してはギリギリというか厳格に見ると言ってました。量販店の3,000km
>推奨はやり過ぎだろうけど、こっちは保証ギリギリと考えて欲しいみたいですね。

# これは本論とは別の話です。

基本的には、自社の品質基準上保証できる範囲なのだから当然です。
その範囲では保証できる品質で造っているけれどそれ以上は品質上保証できな
いからこそ「そこまでは保証する」ってわざわざ明示するもの。
でなければ、何のために保証範囲を明示しているのか。
1kmくらい、って言いだしたらキリがありません。
どこかで明確な線引きをする必要があるから線引きをしているのであって、そ
れを等閑にするなら何のための線引きか、と。

ただ、「実際に15000kmで交換しないと直ちに壊れるのか」と言えば、多く壊
れはしないでしょう。
多少性能が落ちることもあるかも知れませんが
(聞いた話では、「最近燃費が悪い」と言っていた人の車が50000kmオイル
 交換をしていなくて、換えたらそれだけで劇的にエンジンの回転が良くなっ
 て燃費も良くなってびっくりという笑えない話もあります。)。

>> 取説で純正以外を使用してもいいと言っていますか?
>
>オイルに関してはウチの2台・2社とも規格で指定しています。国産の方はご丁寧
>に純正の該当銘柄も表示しています。
>
>> 言っているなら「特別な場合」です。
>
>特別かの判断は避けますが、消耗品の内、もとの話にからみそうなところでは
>タイヤなんかもサイズ、荷重指数、スピードレンジの指定ですね。同銘柄・同
>型番でも、工場装着のタイヤはスペシャルチューン(?)という割りには銘柄が
>出てきません。電球などはまったく規格のみ(^^;

「特別な場合」というのは、'わたしの言う'「特別な場合」です。
'わたしの言う'「特別な場合」と言うのは、「非純正品を使用しても正常に動
作することを保証していると解せられる事情がある場合」のことです。

そして、「純正品を特に指定しないで使用すべき規格のみを示している」ので
あれば、あるいは「純正品の指定が単なる参考あるいは例示であると考えられ
る」のであれば、それは「常識的合理的に考えれば、純正品でなければ使用す
るなと言っているとは解せない」です。
つまり、裏返せば「非純正品でも正常動作を保証していると解せられる事情が
ある」のです。
よって「特別な場合」に該当します。

もっとも、油脂類の場合は普通はそんなことを言うまでもなく「指定油脂類」
と書いてあると思いますけど。
だから「例外というより埒外」と。

>> 言っていないなら(他に何らかの事情がない限り)、純正以外のオイルを使用
>> した場合にも問題は生じないという「保証」をメーカーはしていません
>> (大概は、純正品の使用を推奨します程度なので、その裏返しとして、純正以
>>  外でも使用していいと言っていると考えていいでしょう。)。
>
>いえ、純正品を使って欲しいなぁな表現をしていますけど、規格品の使用を
>定めている裏返し(?)で、あれはセールスなんだなぁというか(^^; 保証書
>では指定品と定めてるはずで、指定が示す先が規格だったりする訳で。

それは結局、常識的合理的に考えれば「使用していいと言っている」のであっ
て「特別な事情」があります。

もっとも普通は「指定油脂類」と書いてあると思いますけど。

>> 社外品を付けても「本体に」問題が生じないという保証は特別な場合を除きし
>> ない、と言っているだけです。
>
>規格(荷重に対する自主表示も含む)に合致する社外品ホイールを付けました、
>と。これがJAWAの表示と裏腹にあっけなく割れやがってなんてケースが起き
>たら本体にも影響が出そうですが、これは本体に関するメーカー保証が効きそ
>うに有りません。

# これは本論とは別の話です。

っていうかそれはもはや、「不良品あるいは欠陥品」では?
(ここでの使い分けは、たまたま特定の個体あるいはロットだけが本来充すべ
 き品質基準を充していない場合が「不良」で、設計あるいは基準通りの製造
 方法自体に問題があって品質基準を充しているかどうかに関係なくすべての
 個体に生じる不具合が「欠陥」。)
社外品の不良または欠陥による補償などメーカーがするわけがありません。

>ホイールがらみでいいたとえが浮かばないんでちょっと無理有りますが、ハブ
>ベアリングの異常摩耗とか出て、見たら社外品ホイール履いてるじゃないか。
>完全にサイズも規格も合致してるけど、車両メーカーはオラ知らねぇ...とは
>ならないだろうという事です。

# これは本論とは別の話です。

それは保証していることを意味しません。

「異常が社外品のホイールのせいではない」のであれば保証は利きます。
そして、社外品のホイールでも適合車種にきちんと装着した場合異常が出るこ
とは滅多にありませんから、異常が出たのがホイールのせいでない可能性は大
いにあります。
ならば、社外品のホイールのせいかどうかをまず調べるために相当の対応をす
るという意味で「オラ知らねぇ...とはならない」と言うのなら、そりゃ十分
あり得ます。
しかし、それは、単に原因を特定するために調べるというだけのことです。
また、調査の結果原因がホイールのせいではなく本体側にあれば当然保証が利
きます。
しかし、これは「社外品の取り付けに'よって'問題が生じないことを保証す
る」ということではありません。

今問題にしているのは、「社外品の取り付けに'よって'本体に問題が生じない
ことをメーカーが保証していない」ということです。
「社外品が付いていたらそれが無関係な異常も保証外」などということは誰も
言っていませんし、「社外品が付いていたら、直ちに異常の原因を社外品とし
て、一切何もしない」などとも言っていません。

>#交渉というのは... たとえば、アフターマーケットに互換製品も無いラン
>#フラットタイヤの異常摩耗というのが、行き付けで揉めた事例だそうなんで
>#すけど(高いんで、客も乗り方じゃないよーと強行だったと)。アライメント
>#などチェックし、タイヤメーカーも首を捻り、結局客の持ち出しが無い方向
>#での処理になったそうなんですが。車両メーカーとタイヤメーカーの負担比
>#率などは分からんと。
>##そうでなくとも2万km程度以内でタイヤ寿命が来ると、客としては「クレー
>##ム」をいう事がまま有るそうで。本当にクレーム事例なのか、その車種の
>##工場装着はそんなものだとするかの境を判断するのが大変みたい。

# これは本論とは関係ない話です。

争う手間暇と今後のことを考えたら客の言い分に従っておいた方がいいという
のは「保証」とは関係がありません。
ですから、「補償」したからと言って直ちに「保証」内だったということを意
味しません。

もっとも単に、原因が自分のところにないと断定できないから下手に客を刺激
できない、というだけのことでしょう。
つまり、「保証対象かどうか判断できなかった場合に保証対象であることにし
て揉め事を回避した」(要するに客の粘り勝ち。)だけのことだと思いますけ
ど。


ちなみに、本体メーカーとOEM品のメーカーとの補償の負担割合などは、本体
メーカーとOEM品メーカーの問題であって、客との関係では全くどうでもいい
ことです。
元々、OEM品のメーカーは客に対して保証に基づく直接の責任を負いません。

>> 問題が生じるかどうかを論じるのはメーカーの自社製品である「本体」の方に
>> 決ってます。
>
>たとえにしろ話を逸すなと怒られるのを覚悟で油脂の話を持ち出しましたので
>すけど、非純正の使用が直ちに保証を無効にするかというところで見解が全然
>違う事が分かりました。そこまで見解が異なるか分からなかったので、まさか
>そっちの話では有るまいと念を押したつもりなんですが。

保証規定を読みましょう。

常識的に言っても、「非純正品によって起ることを何から何まで面倒を見られ
るわけがない」です。
「規格品なら非純正品でも保証する」とか「指定品なら非純正品でも保証す
る」とかいう明示または黙示の表示がある例外の場合を除き、非純正品による
不具合の面倒を見る謂れなどありません。

>> いずれにしてもホイールの諸元が純正と全く同じであってもオプション等の特
>> 別な事情がない社外品についは、その取り付けに際し自動車メーカーは、社外
>> 品のホイールは勿論、自社製品である本体の動作・耐久性などについても普通
>> は何の保証もしません。
>
>普通...なんでしょうかね?

普通ですよ。
そんなものまで保証していたらキリがありませんから。
自分たちの与り知らないところで造られている代物に起因することまで面倒見
る義務など全くありません。
これは別に自動車に限りません。

>流行りのディーラーカスタムで車体の保証が無効になるなんて説明は(する気の
>無い客が聞いても)平気ですよの一言で片付けられますが。「特別な事情」に含
>んでいるおつもりなのでしょうけど、

含んでませんよ。
大体そのような場合普通はメーカー保証が利きません
(いわゆるコンプリートカーの中にはメーカー製と同等の扱いになっている例
 外的な物も一部ありますが。
 例えば、GC/GFインプレッサの初代STi Ver.など。
 トヨタのモデリスタシリーズもそうかも知れない。
 まあ、これは要するにメーカーのお墨付きを貰っているわけですが。
 だけど、コンプリートカーで使っている部品を普通の車両に付けてもそ
 れはやっぱり保証外。
 あくまで完成車としてお墨付きを貰っているだけであって、部品単位で
 貰っているわけではない。
 だから、当該部品はオプションにはないし、補修部品としてもそのベースと
 なっている車種とかグレードとかではなくて「そのモデル」専用と断ってい
 るのが普通。)。

その「平気」と言うのは、本当に「メーカーの保証が利く」という意味なんで
すか?
「平気ですよ」ってのは単に「異常は出ませんよ」と言っているだけであって
「異常が出ても'メーカーが'きちんと保証しますから平気ですよ」という意味
ではないんじゃないですか?
あるいは、せいぜいが「メーカーは保証しませんけどうち(=ディーラー)で
保証するので平気ですよ」までじゃないんですか?

# まあディーラーの言うことなんざ話半分に聞いておいた方がいいと思います
 けどね。
 商品知識のないセールスマン多いぞ。
 ……自動車に限った話ではないけど。

例えばスバルのやっているScLaBoというディーラー取扱のカスタマイズについ
ては、カタログに「スバル純正及びスバル用品以外の商品につきまして、取り
付けたことによる直接的または、間接的に発生した不具合に対する商品または
車両等の保証はいたしかねます」「取り付けたことによる直接的または、間接
的に発生しうる車両等の不具合に対しまして、富士重工業(株)の車両クレー
ム保証の対象からはずれます」ときちんと書いてあります
(そういう部品は、わざわざご注文確認書なんて念書を取ることにまでなって
 いる。)。

子会社のSTiのパーツですらGenome以外の取り付けの場合は保証外です
(STi Genomeは純正と同じ扱いのパーツのためのブランドなのだろう。
 確かSTiと富士重工の共同開発だったと思う。
 こういう「例外」
 (と言うよりそもそも純正品扱いだから本件の埒外)
 を勝手に一般化しているだけじゃないですか?)。
ホイールも例外ではなく同様に保証外になっています。
ただのフェンダーマーカー代替のカーボンパネルですら保証外
(まあこれはただ単に線引きが面倒だから画一的にやっているだけなんでしょ
 うが。
 って言うか、そもそもどう考えても問題が起らないような部品は、事実上保
 証が問題にならないから保証外だろうがそうでなかろうがどうでもいいとい
 うのが実際のところ。)。

ということで、ディーラーカスタムだろうがなんだろうがカスタムパーツが純
正扱いの商品でない場合、「それでもメーカーが保証すると言っているなど特
別な事情がある」場合を除きメーカーは保証などしません。
つまり原則として「メーカー保証外」です。

>それこそ「ディーラースペシャル」や、
>正規販売店でイジったものは保証外からさらに除外なんてややこしい項目も無い
>ですけど。

当然です。
それは原則通り「メーカー保証外」ですから。

除外であることをメーカーが言っていない限り原則通り「保証外」であって一
般的に除外する必要自体がありません。
除外の必要がないんだから「ややこしい項目」など要りません。

# まさか「ディーラースペシャル」というのは、「ディーラー特選'純正品'装
 着」じゃないでしょうね?

メーカーの責任において製造販売していない物をメーカーが原則として保証し
ないのは理の当然であって、正規販売店だろうがなんだろうがそんなことは関
係ありません。
正規販売店のやることは何でもメーカー保証が利くと考える方が勝手な思いこ
みに過ぎません。

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp