河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <eqt497$qmk$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>, "GON" <gon@mocha.freemail.ne.jp> writes
> まぁ、コンピューター畑で物理学の教育をほとんど受けていないんじゃ
> ”物理をする”ということがどういうことか理解できないのもうなずけますが

物理学を勉強すると言うことは、

 感覚的な世界観を捨てて、科学的なものの見方を身につける

ということです。それが目的です。

君はハミルトニアンを特別な抽象的な概念だと思っているかも知れませんが、
繰り返し書くけど、

 力学系は、初期位置と初期速度で運動が決定する

という観測事実に対応した法則を表現したものに過ぎません。そこから、
どんな事実が予測できるのか、運動を決定している法則(=ハミルトニアン
の形)を、どうやって調べるのか。それを勉強させることが中学生、
高校生にとって重要だって話。

> 「高校の物理と数学自体を、ハミルトニアンを理解するために再構成するべき
> だと僕は思う。」
> 
> と主張していますが、まず、高校生に対して身近でない抽象的な概念から入って
> 力学的な現象の物理を理解させるにはかなり無理があるということ。基本的に
> 中学生や高校生は身近な体験から認知できるもの(つまり、”力”と感じるもの)を
> 手掛かりにしてそこから無理なく理解できる関係(特に比例の関係など)を通して
> 数式として現象を理解するのが自然です。

だから、ここが根本的に間違っている。「感じるもの」と、科学の基本である
「再現性のある実験による帰納推論」には、大きな距離があります。

> また、高校時代にニュートン流の考え方に慣れたからといって大学に入ってから
> 解析力学を学んで理解できなくなることはほとんどありません。

そんなところに文句をつけているのではなくて、

 力を基本にする導入では科学的な理解は不可能だ

って言っているわけ。例えば、

 抗力を測定する実験 (例えば抗力が斜面に垂直なことを実測する)

とかってありえないです。(なぜか?)

> それとハミルトニアンがえらいお気に入りのようですが、ハミルトニアンで扱えない
> ような現象だって世の中には多々あって散逸系などは保存系ではありませんから
> 運動方程式に立脚した確率過程で取り扱うしか方法のないものだってあるわけで
> その意味では先に保存系にしか通用しないような解析手法を教えるのでなく
> どちらにも応用の利いて歴史的な順序をも踏まえてニュートン力学から教える
> のが自然だと思います。

摩擦のある場合とかですよね。

ホロホニックでない系として扱う方法はいくらもありますが、それが
お嫌いってことですか?

> > ニュートン力学が破綻しないのは、反作用のような見掛けの力を入
> > れているから。あぁ、やだやだ「見掛けの力」だって。最低だね。
> 
> その意味が汲み取れない君は余程のアホなんだろうね。(笑)

それを理解する必要がないものだってことを認識するまでは、どう
してわからないんだと悩んでました。マッハ力学とかは、そういう
人には特効薬ですね。

> 力というのは素粒子論的には力を伝えるゲージ粒子が担っているわけ
> なんだけど、それをボールのキャッチボールに例えて仮想的な時間の中で
> エネルギーの保存しない過程(ファインマンダイアグラムによって表現される
> ような過程)を介して物質粒子に伝えられると考えるのが最も根本的に
> 考えた場合の力というものですね。

伝わっている(交換されている)のはエネルギーであって、力ではあ
りません。そもそも、仮想である必要ないし。エネルギーだと考え
れば、保存が破れているところはなくなります。その方が自然です
ね。

> で、素粒子論が対象とするようなミクロの世界の現象と台車が斜面を
> 滑り落ちるようなマクロな世界での現象をごっちゃにして考えている
> 時点で、私が先の投稿で言った”物事を区別して考えることができない”
> と言っているわけです。これができないからものの理解の曖昧で
> 自分よがりな何を言わんとしているかさっぱりわからん文章に
> なっちゃうんだよね。

そこがつながって考えられないようでは、力学の最も重要な部分である、
ミクロとマクロの関係を見落としていることになります。

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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科