河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <besu8m$d1e$1@news511.nifty.com>, <kounoike@mbh.nifty.com> writes
> もしよろしかったら,河野さんが「 この手の本はいい加減なことが多い。」
> 判断した根拠を教えて頂きたいのですが。(記事を読む時の参考に
> したいので。)

哲学と量子力学と名がつく本は、どうでもよい内容が多いって話で
すけど。一般的にそうだと思う。量子力学になって新しい視野が
開けたというよりは、昔の哲学を再発掘したような議論になること
が多いみたい。心身問題とかさ。

物理の本でも、少し触れたりするのが普通みたいなんだけど、あま
り深く追求しないことになっているらしい。

フォンノイマンなんかは無限後退みたいな罠にはまってるみたいね。
で、途中で止めちゃう。並木先生の岩波新書とかも、フォンノイマン
に近い(といっても、道筋は全然違うんだけど)。物理の理論の中で
閉じて観測問題とかを議論するのは、ちょっと難しいというか無理
だと思う。

ディラックとかファインマンとかは、観測をより操作的にとらえて
いるようので、より明解な説明になっていると思います。実験器具
みたいなものが観測を可能にするので、その実験器具の考察とかを
丁寧にするんですね。

朝永先生のは、観測問題を避けている本の書き方だと思います。そ
ういうことも可能。

EPR とかベル不等式とかになると、なんとなく議論が発散するよう
に感じます。別に、量子力学でなくても同じような問題はあるのに、
無理に量子力学に特化させているって感じ。

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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus, 
              PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科, 
           科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)