佐々木将人@函館 です。

法律論しかしないつもりなので
フォロー先はfj.soc.law限定。

まさか、こんなところで誤解する読者がそういるとは思えないけど……。
(誤解を解こうとしない読者はいるけどさ。)
念のため書いておきます。

>From:solsys <solsys@bu.iij4u.or.jp>
>Date:2005/05/01 19:42:32 JST
>Message-ID:<d52bqh$2gmd$1@nntp.tiki.ne.jp>
>
>fjが記事を(勝手に)削除等する行為が、法律的に見た時憲法違反と
>なるかどうかということについて、特に過去の判例や通説から
>判断するとどうなるかというのが私の一番の論点です。

憲法違反になる訳がありません。
ちなみにキャンセルを流したのはfjではありません。
あくまで個人です。
……fjって法律上自然人と同様に扱われる1つの集団なんですか?
  違いますね。

><d4ntiu$134t$1@nntp.tiki.ne.jp> (これが私の最初の投稿)
>> fjが検閲の主体となり得るという法律(判例・慣例)的な根拠というのは
>> 何なのでしょう?

上で書いたとおりそもそも事実認定が間違い。

ちなみに憲法21条2項の検閲が
「公権力が外に発表されるべき思想の内容をあらかじめ審査し、
 不適当と認めるときは、その発表を禁止する行為」
である点はおそらく鉄板(=異説なし)。
(例えば芦部信喜「憲法」新版だとp177以下。)
「公権力」「事前審査」がポイント。
キャンセルを流すのは「公権力」でなければ
「事前審査」でもない。
(投稿した後でキャンセルですから「事後審査」です。)
さらに判例は検閲を「行政権によるもの」に限定しています。
(有名なのは北方ジャーナル事件だあな。)

余談
モデレーター付きのニュースグループで
モデレーターが判断するのは
これは事前審査ですよ。
だけどモデレーターが公権力でない以上
やはり憲法21条2項の検閲にはあたらない。
余談終了

><d51i89$269f$1@nntp.tiki.ne.jp>
>> 似たような事件の
>> 判例等を示していただけないでしょうか

事前差止だから判例はいくらでもあるけど
読めば読むほど「fjでキャンセルを流すこと」には
程遠い事案ばかりだということがよくわかります。

><d52261$2co1$1@nntp.tiki.ne.jp>
>> 過去の判例や通説として挙げられる根拠は
>> ない、ということでいいですか?

だって「検閲」じゃないからなあ……。

蛇足だけど
通信の秘密の問題でもない……。
fjに限らずネットニュースは憲法21条2項の通信にあたらない……。
(例えば芦部信喜「憲法」新版だとp199以下。)
……「特定人の間のコミュニケイションの内容」かもしれないが
  「他に知られないように」しているメディアじゃ全くない。
  つながせてくれるニュースサーバーと
  自分が使えるニュースリーダーを用意して
  所定の手順を踏めば誰でも読める。

※
憲法論で私人間の問題なのに私人間効力の議論を念頭に置かない議論は論外。
表現の自由に対する規制において
事前抑制と事後抑制を区別しない議論も論外。

余談
例の本を持っている人はp153〜p155を参照せよ(笑)

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cal@nn.iij4u.or.jp  佐々木将人
(This address is for NetNews.)
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ルフィミア「函館で桜の開花宣言だそうですよ。(5/1)」
まさと「あんなに雪多かったのにね〜。」