佐々木将人@函館 です。

まあせっかくですからさらに解説しましょう。

>From:Fuhito Inagawa <fuhito@za.ztv.ne.jp>
>Date:2004/02/07 18:30:45 JST
>Message-ID:<4024B045.4010409@za.ztv.ne.jp>
>
>矛盾があると思えるのは、法解釈以前に日本語の読解力が
>いまいちだからでしょう。
>
><bvtkqe$gl6$1@newsl.dti.ne.jp> で長島さんが
>
>日本国の裁判権に服させられない(つまり手続法の問題)ってことですよね。
>
>と仰ってるんですが、ちゃんと読みました?

ちなみに法解釈としてもだめだめです。

まず刑法とは
「何が犯罪にあたるか。犯罪にあたる場合どういう刑罰を科すか。」
を定めた法律です。
(この種のものを実体法と言います。
 刑法で言うなら「犯罪」そのもの、
 犯罪の実体について定めた法ですから。)

しかし実際にある人に対し裁判をして有罪判決をとって
検察庁が刑の執行を指揮し、それに基づいて刑務所がその人を収容する
そういう具体的な動き
(この場合は刑罰権の発動)
について定めたのは刑法ではありません。
それは刑事訴訟法です。
(刑事手続について定めた法ですから手続法と言います。)

刑事訴訟法は刑事手続について定めていますが
その中でどういう人について刑罰権を発動するかも書いてあります。
そしてその中には天皇について書かれていません。
……まあ刑事訴訟法は一般法ですから……。

そして等しく法律であるところの皇室典範では
摂政について明文で定めています。
また天皇についても解釈によって適用があるとされています。
刑事訴訟法は限定がないし
皇室典範のこの条項は天皇と摂政に限定されますから
刑事手続については刑事訴訟法が一般法
皇室典範が特別法にあたります。
一般法と特別法では特別法が優先しますから
皇室典範の規定が適用になって「天皇は訴追されない」
という結論が出ます。

ちなみに皇室典範の当該条文を実際に見ました?
摂政不訴追の規定は21条本文な訳ですが
同条但書には
「但し、これがため、訴追の権利は、害されない」
とあります。
これは要するに
「在任中は訴追できないけど、
 そのことで例えば訴追権の時効消滅はしないよ。」
ってことを意味します。
……訴追の権利が害されないってことはだ
  前提としてもし天皇・摂政の地位から下りれば
  訴追可能になるということです。
  そして裁判で有罪になれば……。
すなわちある人のやったある行為が犯罪になるかどうかの議論と
「もし犯罪だとした時に」刑事手続にのせることが可能かどうかの議論は
全く別だということなのです。
別なものが矛盾する訳がありません。

>刑法より皇室典範が上位であることになります。

なりません。

よって
>皇室典範が上位であるということはどこかに書かれているので
>しょうか?
前提が誤った質問です。

仮に問題が正しいとしても
>憲法と皇室典範にはそれらしき文はなかったと思うの
>ですが...
というのは疑問を持つ根拠になっていません。

効力について何も書かれていない時に
・後法は前法に優先する
・特別法は一般法に優先する
というのは法解釈学における常識であり前提です。
・上位規範は下位規範に優先する
というのも国内法に限り同様。

余談だけど某ネットにこんな長いの書いていいのかい?(笑)

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