佐々木将人@函館 です。

>From:mac-in <mac-in@mx8.ttcn.ne.jp>
>Date:2003/10/26 23:43:22 JST
>Message-ID:<3f9bdd8a.1126%mac-in@mx8.ttcn.ne.jp>
>
>ただ、本人が拒否している場合、引き渡す前に拘束する必要が出て
>くると思うのですが、犯罪者でもない日本人を日本国内で拘束でき
>る方策が、あまり思い付けません。

そうするとそもそも本人に対して強制できる根拠がないのに
強制することを外国に対して約束してしまうこと自体が
問題なのです。
国内法を理由に国際法上の義務を免れることはできませんから。

ちなみに規定のはっきりしている方から説明していましょう。

国際法上
B国内にA国が入っていて誰かを連れてくるということは
A国によるB国の主権の侵害になりますから
その誰かの国籍を問わず国際責任を発生させます。
それは北朝鮮が日本から日本人を連れていこうと
韓国が日本から韓国人を連れていこうと変わりません。

次にB国に対しA国がA国内にいる誰かの引き渡しを要求しても
A国はその誰かの国籍を問わず引き渡しに応ずる義務はありません。

しかしその例外として
国家が自ら引き渡し義務を約束した場合があります。
その多くが例えばハイジャック防止条約のような多国間条約であり
日米犯罪人引き渡し条約のような二国間条約ですが
名称は条約となっていない国家間の約束であっても
効力としては変わることはありません。

そして日本には逃亡犯罪人引渡法という法律があって
他国から条約上の義務として犯罪人の引き渡しを要求された場合の
その手順がきちんと定められています。
(外務大臣→法務大臣→東京高検検事長と通知がなされ
 東京高検検事長が東京高裁から仮拘禁許可状をとって執行する。
 そのようにして身柄をおさえたあと
 東京高検が東京高裁に審査請求をし
 それが通れば引渡許可決定が出て
 それに基づき法務大臣が引渡状を出して引き渡すという手順。)

前の投稿で
(ちなみに本人が嫌がれば強制的に引き渡せないという
 一般的な国際法のルールは存在しません。)
と書いたのは
まさにそういう国際法のルールがないことによる訳ですが
その一例として
犯罪人引渡義務が発生した場合には
本人の意思に反して引渡が行われるという点があげられるからです。

そして日本がある人の引渡義務を負ったとしても
それを実現する国内法が存在しないということはいくらでもある訳です。
逃亡犯罪人引渡法が適用にならないと
(日本国内の犯罪を理由に刑事訴訟法が適用にならない限り)
強制的に身柄を確保する手段はたぶんないと思います。
そうなってしまうと

>どういう手段が取れるんでしょうか。

任意の出国を促すしかない、強制的な手段はないということになりますし
任意の出国もかなわなければ
日本は国際法違反を犯してしまうということになります。

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