In article <3fb78d3d_1@127.0.0.1>, Shintaro Ishihara wrote:

>  さて、現実には憲法九条を意識しつつ、現時点における日米
> 二国間の軍事同盟に基づいた、集団的自衛権の行使の問題をい
> かに扱うかという事が問題となります。集団的自衛権は、元来
> 主権国家に保障された権利の一つです。それ故に、何も日本自
> らそれを返上する必要は無いのです。現在の政府が憲法九条の
> 従来の解釈を変更しないと言う事なのであれば、憲法改正も己
> むを得ないという事です。
> 

集団的自衛権が国家に保障された権利であるという説をぼくは否定します。各国
が軍事同盟に基づく集団的自衛権を行使することにより、世界はまず軍事力の多
極化にむかうと思います。そして、お互いの利益を確保するために同盟を結び直
すことにより、結局は軍事力の二極化にいたると思います。過去にあった冷戦構
造の世界に逆戻りするだけです。国際的協調の無い集団的自衛権の行使の未来に
あるものは、おそらく、世界大戦です。第二次大戦以前の状況に戻ろうというの
でしょうか?

>  非常に理想主義的です。究極の軍隊と言うものは恐らく国家
> に帰属しない、例えば「世界政府」(なるものが誕生した暁に)
> の様なものに属する事になるのでしょう。現在の国連は各国の
> 利害が対立し尚且つ、官僚制度の悪弊蔓延る首無しの巨大組織
> と化しています。特に安保理が世界政府の大役を果たす等とは
> 無謀と言わざるを得ません。それゆえに日本はかやうな組織に
> 主権の一部でも明け渡す事は、絶対にあってはならないのです。

国際連合は世界の政治権力の分散と協調のための外交機構として必要なものであ
ると考えています。国際連合は軍事力の使用をできるだけ避けるための制御機構
です。その機能を改善することは今の段階でも可能なはずです。世界政府を樹立
して権力を一極集中させてしまうという考え方はもはや時代遅れです。権力を複
数に分散させることにより、一つの権力の失政が起こす被害を最小限にとどめる
ことができます。安全性が高まるのです。現時点で必要なのは国際的協調を拒否
しようとしている組織への対応をどうすればよいかという議論だと思います。実
行力を国際連合に持たせるにはどうすればよいかという議論も必要だと思います。
各国が集団的自衛権を行使しなくてもよいように国際連合を改革していくことが
必要なのだと思います。

-- 
Jun Shirakura <mailto:sirakura@osa.att.ne.jp>