工繊大の塚本です.

In article <7498d566-936a-4a03-ade9-eacacd6c735b@v6g2000prd.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/topology/transfinite_induction.jpg
> 
> という風に射影の逆像の共通部分が∩_{α∈A}π_α^-1(E_α)がΠ_{α∈A}E_αに
> 等しくなるという事を示したかったのでした。

先ず, 貴方は「直積集合」を正しく定義できていない.
定義できていないものからの写像 π_α について何かを
言明することは無意味です.

貴方の「直積集合」の「定義」が定義になっていないのは,
貴方が正しく超限帰納法を理解していないが為に,
貴方が正しく超限帰納法を使えていないからです.

 n = { 0, 1, 2, ... , n-1 } に対して
 Π_{i ∈ n} E_i が定義できている時に,
 n+1 = { 0, 1, 2, ... , n-1, n } に対して
 Π_{i ∈ n+1} E_i を
 Π_{i ∈ n+1} E_i = (Π_{i ∈ n} E_i) × E_n で
定義することは可能ですが,
# 但し, 二つの集合 A, B に対して, その直積集合 A × B の
# 定義は別に与えてあるものとします.
超限帰納法では,
全ての n について Π_{i ∈ n} E_i が定義できている時に,
 ω = { 0, 1, 2, ... , n, ... } に対して
 Π_{n ∈ ω} E_n が定義できることが要請されます.
 Π_{n ∈ ω} E_n は,
それまでに定義できている Π_{i ∈ n} E_i のどれかと
何かの E_k との直積という形では定義できません.

直積集合は, 正しくは,
「添数集合」A から ∪_{α ∈ A} E_α への写像全体の集合
の部分集合として定義されます. 実は, どんな部分集合か,
というところで, Π_{α ∈ A} E_α = ∩_{α ∈ A} (π_α)^{-1}(E_α)
という式が意味を持つことになります.

だから, 「普通の直積集合の定義」を調べて下さい.
ちゃんと π_α がどう定義されるかを調べて下さいね.

> 確認してみましたがこのように記述されてましたが。。
> 
> 他書には「x,yが集合なら{x,y}なる集合が一意的に存在する」とも記述されてました。

いや, そうですが, 「対の公理」から「順序対」が定義できる
所は良いですが, それで保障されるのは,
順序対 (a_c', a_c) 自身が集合である事までで,
それを「集めたもの」が集合になることは,
別に示す必要があります.
その辺りの切り分けが出来ていないので, 一応心配しておきました.
 
> 他の流儀はどのように定義するのでしょうか?

「最小元に対しては成立する」ということが
条件にあることを明示しておく方が
初学者には親切でしょう.

# 論理的には必要ないにしても.

> 対集合と超限帰納法を使って任意の添数集合の場合の直積集合を定義したいのです。

「対集合は集合である」と「対集合の *ある種の* 集まりは
集合になる」とは違うことには注意して下さい.

超限帰納法では, 「極限基数」のところでどうなるか, が
重要であることに注意して下さい.

> In article <100611125340.M0522224@ras1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > この部分は普通の直積の定義を前提にしているような話と
> > ごっちゃになっているような気がします.
> 
> うーん,任意の添数集合の場合での射影を定義したつもりでしたが
> 何処が間違ってますでしょうか?

ああ, なるほど, 良く読んでみると, 正しい直積集合の
定義については何も知らないと判断して良いようですね.
じゃあ, 添削しておきますね.

In article <5818d685-7801-4fb1-8f3c-ddc90eae79d3@c33g2000yqm.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
% その時,f∈Map(Λ,Map(Π_{λ∈Λ} A_λ, ∪_{λ∈Λ}A_λ));
% Λ∋∀μ→f(μ) such that Π_{λ∈Λ} A_λ∋∀(a_λ) → f(μ)((a_λ)):=a_μと定義する。

最大の問題は, Π_{λ ∈ Λ} A_λ の元がどのように表現される
存在であるか, ということです.
貴方の「定義」では (a_λ) 或いは (a_λ)_{λ ∈ Λ} と
書けるようにはできていません.
精々が何かの順序対ですね.
その順序対から「 μ に対応する『成分』 a_μ 」というのが
どのように取り出されるのか, のアルゴリズムが書かれていない以上,
何を定義したことにもなりません.

先程も言いましたように,
直積集合は「添数集合」Λ から ∪_{λ ∈ Λ} A_λ への写像の全体の
部分集合として定義します. そうしておけば,
直積集合の元 g とは Λ から  ∪_{λ ∈ Λ} A_λ への写像ですから,
 g の「 μ に対応する『成分』 a_μ 」を g(μ) で定義できます.
だから, π_μ(g) = g(μ) が π_μ の定義なのです.

> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/topology/transfinite_induction.jpg
> のように訂正させていただきました。

思うに, 直積集合 Π_{α ∈ A} E_α は
 ∩_{α ∈ A} (π_α)^{-1}(E_α) により「定義される」と
書いてあったのを, 「証明すべきこと」と
誤解したところから始まったことではないでしょうか.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp