工繊大の塚本です.

In article <59a27332-0d12-4c64-83a0-6f6486b9ccab@h23g2000vbc.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 別の定義とはどのようなものでしょうか?

いや, 普通に自然数全体と1対1の対応があるもの,
とするところにはこの命題は要りませんから.

> In article <090602181404.M0307642@cs1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > この命題が示せて
> > 初めて意味を持つようになります.
> 
> つまり,「任意の二つの集合 A,B について、A から B への単射があるか、
> または B から A への単射がある」
> という命題を示す際には可算集合とかは考慮されていないのですね。

勿論です.

> うーん,それではどのようにして証明を進めればいいのでしょうか?

だから, 方針を示したではないですか.

> > これは意味不明.

これは失礼. まさか「極大要素がある」ということだけを
言い換えるとは思いませんでした.

> > A の部分集合 A' と B の部分集合 B' との間の
> > 全単射は, 積集合 A×B のある部分集合 C のことだと
> > 考えられます.
> > A×B の部分集合 C で, ある A' ⊂ A と
> > ある B' ⊂ B の間の全単射を表すものの全体は
> > 包含関係について順序集合となります.
> 
> つまり, {f;f:A'→B'は全単射}は
> ψ(A',B'):={{(a,b)∈A'×B'};#{(a,b)∈A'×B'}=#A'#B'}と表せますね。

ちゃんと言えば, A' ⊂ A, B' ⊂ B, f: A' → B' が全単射,
なる組 (A', B', f) に対して,

  C = ψ(A', B', f) = { (a, b) ∈ A×B | a ∈ A', b = f(a) ∈ B' } ⊂ A×B

という A×B の部分集合を対応させます. 逆に, C ⊂ A×B で,

  (1). (a, b) ∈ C, (a, b') ∈ C ⇒ b = b'.
  (2). (a, b) ∈ C, (a', b) ∈ C ⇒ a = a'.

が成立する集合は, A' = { a ∈ A | ∃b ∈ B, (a, b) ∈ C },
 B' = { b ∈ B | ∃a ∈ A, (a, b) ∈ C } とし,
 a ∈ A' に対して, (a, b) ∈ C となる唯一つの b を f(a) と
することにより, 全単射 f: A' → B' に対応します.

> そしてψ(A',B')≦ψ(A'',B'') ⇔(def) ψ(A',B')⊂ψ(A'',B'') と
> 定義するのですね。

 A', B' だけでは f: A' → B' は決まりませんから,
 ψ(A', B') という書き方は全く駄目です.

ともあれ, (1), (2) を満たす C, C' ⊂ A×B に対して,

  C ≦ C' ⇔ C ⊂ C'

とするのはその通り.

> この時, ∀A'×B'⊂A×Bに対して

だから, A'×B' では意味がない.

> (i) 反射律 ψ(A',B')≦ψ(A',B')
> (ii) 反対称律 ψ(A',B')≦ψ(A'',B'') 且つ ψ(A',B')≧ψ(A'',B'') ならば
> ψ(A',B')=ψ(A'',B'')
> (iii) 推移律 ψ(A',B')≦ψ(A'',B'')且つψ(A'',B'')≦ψ(A''',B''') ならば
> ψ(A',B')≦ψ(A''',B''')
> は明らかに成り立ちますね。

集合の包含関係ですからね.

> > この命題はこの順序集合に極大元が存在することから
> > 証明されます.
> 
> すいません。どのように証明するのでしょうか?

まず為すべきことは, (1), (2) を満たす C ⊂ A×B 全体の
成す順序集合の全順序部分集合は A×B の中に上界を持つ,
を示すことです.

次に示すべきことは, Zorn's lemma で存在が保証される
極大元 C_0 について, A_0 = { a ∈ A | ∃b ∈ B, (a, b) ∈ C_0 },
 B_0 = { b ∈ B | ∃a ∈ A, (a, b) ∈ C_0 } とすると,
 A_0 = A 又は B_0 = B が成り立つことを示すことです.

 a_0 ∈ A\A_0, b_0 ∈ B\B_0 が存在すれば, C_0 が
極大ではないことから, 後者は簡単に示せます.
前者も容易です.
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp