工繊大の塚本と申します.

In article <4555a683-1ecc-4b94-9ccb-22b81ad5378e@v5g2000pre.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> プリントに載ってました命題
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/prop_first.jpg
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/prop_second.jpg
> で質問です。訳は下記のようになろうかと思います。

  距離空間 (X, d) 上の Borel 測度 μ で, 任意の有限半径の
  距離球の測度が有限となるものが与えられたとき, どんな
   Borel 集合 E と正数 ε に対しても, ある開集合 O と
  閉集合 F で, F ⊂ E ⊂ O であり, μ(O\E) < ε,
   μ(E\F) < ε となるものが存在する.

という命題を証明しようというわけですね.

> 『我々は予備知識が必要である。
> F^*(∪[k=1..∞]F_k),但しF_kは閉集合。
> その時,0<∀εに対して,μ(F^*\F)<εなる閉集合
> F⊂F^*を見つける事ができる。

先ず予備的な考察として,

  閉集合 F_k の無限和 F^* = ∪_{k=1}^∞ F_k と
  任意の正数 ε に対し, F^* に含まれる閉集合 F で
  μ(F^*\F) < ε となるものが存在する.

が示されています. それを認めれば,

> この知識を経て本命題の結論を満たす族をCとしよう。

とした上で,

> したがって我々はCが開集合したがって
> Borel集合を含むσ集合体である事を示した。従って,命題は示された』

となります.

命題の条件を満たすような集合 E, つまり,

  どんな正数 ε に対しても, ある開集合 O と
  閉集合 F で, F ⊂ E ⊂ O であり, μ(O\E) < ε,
   μ(E\F) < ε となるものが存在する

を満たす集合 E の全体を C として, それが
 Borel 集合族を含むことを示せる, というわけです.
実際, それには

  1) 開集合は C に属す.
  2) ある集合 E が C に属すならば, E^c も C に属す.
  3) E_k が C に属すならば, 和集合 ∪_{k=1}^∞ E_k も C に属す.

が示されれば十分ですが, 2) は明らかであるとして,
後は, 3), 1) の順に示されています.

 3), 1) どちらでも予備的考察は使われています.

> つまり,任意のBorel集合Eと任意のεに対して具体的に
> μ(O\E)<ε,μ(E\F)<εでF⊂E⊂Oなる,開集合Oと閉集合Fの採取法を
> どのように述べてあるのでしょうか?

ですから, 任意の Borel 集合 E に対してどのように
 O, F を取るかは, 直接的には述べられておりません.
 E は 1) の開集合から出発して, 2) の補集合を取る操作
や 3) の無限和を取る操作を有限回繰り返して得られている
筈ですから, それについて行えば, O, F は必ず取れる
わけです.
 
訳を見ておきますと, 予備的考察の証明は

> これを証明する為に{F_k}を増加列とする。
> x_0∈Xを固定してB_n:={x;d(x,x_0)<n}(但し,B_0=φ)
> とすると∪[n=1..∞]B_n=Xなので
> 
>   F^*=∪F^*∩(B_n~-B_{n-1})
> 
> となる。
> 
> 今,各nに対して,F^*∩(B_n~-B_{n-1)は増加閉集合列F_k∩(B_n~-B_{n-1})の
> k→∞の時の極限である。そこで
> (B_n~が有限である事を思い起こすと)
> (F^*-F_N(n))∩(B_n~-B_{n-1})がe/2^n未満の測度を持つようなN=N(n)を
> 採る事ができる。もし,
> 
>   F=∪[n=1..∞](F_N(n)∩(B_n~-B_{n-1}))
> 
> とすると,それはF^*\Fの測度がΣ[n=1..∞]ε/2^n=εとなる。
> F∩B_k~は閉集合の有限和なので我々はF∩B_k~が閉集合であることも分かる。
> 従ってF自身は閉.
> 何故なら容易に分かるように
> 全てのkに対して集合F∩B_k~が閉ならばいつでも任意のFは閉集合である。

良いでしょう.

 3) の証明は

> 今,E=∪[k=1..∞]E_k (E_k∈C)と仮定すると
> μ(O_k\E_k)<ε/2^kでO_k⊃E_kなる開集合O_kが存在する。
> しかしながらもし,O=∪[n=1..∞]O_kならO\E⊂∪[k=1..∞](O_k\E_k)で
> しかもμ(O\E)≦Σ[k=1..∞]ε/2^k=ε
> である。
> 
> 次にμ(E_k\F_k)<ε/2^kでF_k⊂E_kなる閉集合が存在する。
> 従ってもし,F^*=∪[k=1..∞]F_kなら我々は以前のように
> μ(E\F^*)<εであることが分かる。
> しかしながらF^*は閉とは限らないのでμ(F^*\F)<εでF⊂F^*なる閉集合を
> 見つけるために我々は予備知識を使う事になる。
> 従って,μ(E\F)<2ε。
> εは任意なのでこれは∪[k=1..∞]E_kがCに属する事を示している。

まあ, 分かります.

 1) の証明は

> ついに任意の開集合がCの中に入っている事に気づく。
> 開集合によって含まれていることに関する性質は直ぐ出てくる。
> μ(O\E)<εであるような閉集合F⊂Oを見つけるために
> F_k:={x∈B_k~;d(x,O^c)≧1/k}.
> その時,F_kが閉集合である事とO=∪[k=1..∞]F_kである事は明らかである。
> 我々はその時,必要とされるFを求める為に再度,
> 予備知識をただ適用することだけを要する。

ちょっと, 訳は不十分ですが, 問題ないでしょう.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp