工繊大の塚本です.

In article <7671913b-4b74-4f29-8bc6-9526f943007b@a29g2000pra.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> > 実はこの問題は
> > (i) 全f_nがL^1(μ):={f;fはΣ可測,∫_Ω|f_n(x)|dμ<∞}の場合
> > と
> > (ii) 全てのf_nがL^1(μ)の元とは限らない(例えば∫_Ω|f(x)|dμ=∞)場合
> > とに分けて両方の場合でも定理が成立する事を示さないといけないらしいのです。

まあ, その方が丁寧ですが, f_n ≧ 0 が L^1(μ) に入らない
のなら, それは ∫_Ω f_n dμ = ∞ ということですから,
 0 ≦ f_n ≦ Σ f_n = f についても ∫_Ω f dμ = ∞ で,
 Σ ∫_Ω f_n dμ = ∞ と等しくなるのは当たり前だと思います.

> (i)の場合は前記事での証明で良いかと思います。
> (ii)の場合について考察してみます。
> 
> f(x)=Σ[n=1..∞]f_k(x)と置くと,∀m∈Nに対して,f(x)≧Σ[n=1..m]f_k(x)で
> (∵{f_k}は非負可測関数列)
> ∃k_0∈N;∫_Ωf_k_0(x)=∞と仮定してみると,
> ∫_Ωf(x)dμ=∞,Σ[n=1..m]∫_Ωf_k(x)=∞なので
> ∫_Ωf(x)dμ≧Σ[n=1..m]∫_Ωf_k(x)と言えなくもない。
> =Σ[k=1..m]∫_Ωf_k(x)dμ,∀m∈N.
> よって,∫_Ωf(x)dμ≧Σ[k=1..∞]∫_Ωf_k(x)dμ
> 即ち,∫_ΩΣ[k=1..∞]f_k(x)dμ≧Σ[k=1..∞]∫_Ωf_k(x)dμ.

これで右辺が ∞ だから, 等号は自明です.

> 一方,lim[j→∞]f_k^j(x)=f_k(x) …① なる
> 非負な単調増加の可測単関数列{f_k^j}が採れる(∵ご紹介頂いた命題)
> そこで,s_j(x):=Σ[k=1..j]f_k^j(x) …②とすると,
> s_jは単調増加な非負単関数となる。
> 
> この時,lim[j→∞]s_j(x)=f(x)となる
> 
> (∵∀j∈Nに対し,s_j(x)≦f(x)なのでlim[j→∞]s_j(x)≦f(x).
> 他方,∀m∈Nに対し,lim[j→∞]s_j(x)≧lim[j→∞]Σ[k=1..m]f_k^j(x)
> (∵jを十分大きくすればいずれj>m)
> =Σ[k=1..m]f_k(x)(∵①).
> 故に lim[m→∞]lim[j→∞]s_j(x)≧lim[m→∞]Σ[k=1..m]f_k(x)ならば
> lim[j→∞]s_j(x)≧f(x))
> 
> よって定理10.20が使えて,lim[j→∞]∫_Ωs_j(x)dμ=∫_Ωf(x)dμ …③.
> そして∀j∈Nに対して,Σ[k=1..j]f_k(x)≧s_j(x) …④ なので(∵②)
> Σ[k=1..∞]∫_Ωf_k(x)dμ=lim[j→∞]Σ[k=1..j]∫_Ωf_k(x)dμ
> =lim[j→∞]∫_ΩΣ[k=1..j]f_k(x)dμ≧lim[j→∞]∫_Ωs_j(x)dμ(∵④)
> =∫_Ωf(x)dμ(∵③) =∫_ΩΣ[n=1..∞]f_ndμ
> 
> ,,,と特に注意しなければならないところは無いようですが…。。。

そうですね.

 f ≧ 0 の積分を f ≧ s となる単関数 s の積分の上限で定義するなら,
 f_{k0} に収束する単関数の列 f_{k0}^j について f ≧ f_{k0}^j で,
 lim_{j→∞} ∫_Ω f_{k0}^j dμ = ∫_Ω f_{k0} dμ = ∞ だから,
 ∫_Ω f dμ = ∞, というだけで十分, という意味で, こちらは
やさしい場合だということです.
 
> 如何でしょうか?

結構だと思います.
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp