工繊大の塚本と申します.

In article <fcc1b369-157f-4edf-bd7f-3c9bf9f1ed73@1g2000prd.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 再度の質問をお許しください。
> 測度論で難儀しています。
> 
> 測度空間(R,B(R),μ)を考えよ(B(R)はボレル集合体)。
> (但しμ=5δ_1+δ_3,
> δ_x:B(R)→{0,1}で
> B(R)∋Eに対し,δ_x(E)=0(x∈Eでない時),1(x∈Eの時))
> 
> (1) μは有限測度?
> (2) μ([-2,3))を計算せよ。
> (3) もしf(x)=x^2なら∫_R fdμ (但し,Rは実数体)を計算せよ。
> (4) もしg=1_Q (但し1_Qは特性関数,x∈Qなら1,x∈Qでないなら0)の時,
> ∫_R gdμを計算せよ。
> 
> (1)の解
> 有限測度の定義はμ(R)<∞ですからμ(R)=(5δ_1+δ_3)(R)
> =5δ_1(R)+δ_3(R)=5・1+1(∵1,3∈Rなのでδ_xの定義) <∞
> よってμは有限測度。
> 
> (2)の解
> μ([-2,3))=(5δ_1+δ_3)([-2,3))
> =5δ_1([-2,3))+δ_3([-2,3))
> =5・1+0 (∵1∈[-2,3),3は[-2,3)に含まれない)
> =5

ここまでは良いですね.
 
> (3)の解
> ルベーグ積分の定義から
> ∫_R x^2dμ=lim[k→∞]∫_R {f_k}dμ
> {f_k}はx^2の定義関数列(detemining sequence)
> と書けるだと思います。
> {f_k}はどのようにして見つければいいのでしょうか?

 k に関わらず,

  f_k = (1)^2 1_{{1}} + (3)^2 1_{{3}}

とすれば十分です. 1_{{1}} は {1} という集合の定義関数,
 1_{{3}} は {3} という集合の定義関数です. ε > 0 について
 { x ∈ R ; |f(x) - f_k(x)| ≧ ε } ⊂ R \ {1, 3} の
測度は 0 です. 従って, f_k は f に測度収束します.

> (4)の解
> ルベーグ積分の定義から
> ∫_R 1_Qdμ=lim[k→∞]∫_R {f_k}dμ
> {f_k}は1_Qの定義関数列(detemining sequence)
> と書けるだと思います。
> {f_k}はどのようにして見つければいいのでしょうか?

k に関わらず,

  f_k = g = 1_Q

とすれば十分です.

> 因みに,
> 
> 測度収束の定義は
> 「測度空間(Ω,Σ,μ)において, E∈Σで f_n, f は
> Σ可測関数でf_nはa.eで有限値をとる。
> 0<∀ε∈R, lim[n→∞]μ({x∈E;| f_n(x)-f(x)|≧ε})=0の時,
> {f_n}はfに測度収束すると言う」
> 
> 単関数の積分の定義は
> 「測度空間(Ω,Σ,μ)でE∈Σとし, f = Σ[i=1..n] a_i 1_{E_i}
> (但し,a_i∈R,E_1,E_2,…,E_nは互いに素, 1_E_iは特性関数,
> つまり 1_E_i(x) = 1 (x∈E_iの時), 0 (x∈E_iでない時))
> という形に表される時, ∫_E f(x) dμ = Σ[i=1..n] a_i μ(E_i) で定義する」
> 
> L^1コーシー列の定義は
> 「測度空間(Ω,Σ,μ)でE∈Σとし,
> ‖‖を‖f‖:=∫_E |f(x)| dμ (ただしfは単関数)と定義すると
> この‖‖はノルムをなす。
> このノルム‖‖をL^1ノルムと言う。
> 積分可能な単関数列{f_n}が 0<∀ε∈R,∃M∈N;M<m,n⇒‖f_m-f_n‖<εを満たす時,
> {f_n}をL^1コーシー列という」
> 
> 定義関数列{f_n}の定義は
> 「{f_k}が積分可能なL^1コーシー単関数列,でf_nはfに測度収束)する時,
> {f_k}をfの定義関数列という」

この定義だと ‖f_n‖ はコーシー列になりますから,
その極限は存在することになりますね. 定義関数列が
存在すれば f は可積分だとして, f の積分を ‖f_n‖ の
極限で定義するわけですか. 了解致しました.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp