工繊大の塚本と申します.

In article <80dd352b-d4eb-4928-895e-fe2dcc208602@c2g2000pra.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 初めまして。
> 測度論で難儀しています。
> 
> 因みに,定義関数列{f_n}の定義は
> 「{f_k}が積分可能なL^1コーシー単関数列,でf_nはfに測度収束)する時,
> {f_k}をfの定義関数列という」

 <fcc1b369-157f-4edf-bd7f-3c9bf9f1ed73@1g2000prd.googlegroups.com>
の方を見ますと, 単関数というのは, 可測集合の定義関数の一次結合で
すね.

> L^1コーシー列の定義は
> 「‖‖を‖f‖:=∫_R|f(x)|dxと定義するとこの‖‖はノルムをなす。
> このノルム‖‖をL^1ノルムと言う。
> 積分可能な単関数列{f_n}が0<∀ε∈R,∃M∈N;M<m,n⇒‖f_m-f_n‖<εを満たす時,
> {f_n}をL^1コーシー列という」

 R は実数全体ですね. この定義は実数全体上での話でないと
意味がありません.

 <fcc1b369-157f-4edf-bd7f-3c9bf9f1ed73@1g2000prd.googlegroups.com>
の方の測度空間 (Ω, Σ, μ) での定義を使いましょう.
 
> 測度収束の定義は
> 「測度空間(Ω,Σ,μ)において,E∈Σでf_n,fはΣ可測でf_nはa.eで有限値をとる。
> 0<∀ε∈R,lim[n→∞]μ({x∈E;|
> f_n(x)-f(x)|≧ε})=0の時,{f_n}はfに測度収束すると言う」

「 {f_n} は E上で f に測度収束する」ですね.

> (Ω,Σ,μ)を任意のσ有限測度空間。fがμ積分可能⇔f_+とf_-はμ積分可能

 f_+ = (1/2)(|f| + f), f_- = (1/2)(|f| - f) ですね.

> σ有限測度の定義は
> 「可測空間(Ω,Σ)でΩ=∪[i=1..∞]Ω_iでΩ_i⊂Ω_i+1で
> 測度μが各iに対してμ(Ω_i)<∞の時,このμをσ有限測度と言う」
> です。
> 
> [問](Ω,Σ,μ)を任意のσ有限測度空間とし,f:Ω→[-∞,∞]はΣ-可測。
> fがμ積分可能⇔f_+とf_-はμ積分可能
> (但し,f_+:=f・1_{Ω^+},f_-:=-f・1_{Ω^-}
> (1_{Ω^+}と1_{Ω^-}とは特性関数の意味)でΩ^+:={f≧0},Ω^-:={f<0}
> 注意:必要性の証明は定義関数列(単関数列)に基づいて示せ)
> 
> という問題です。

「 f がμ積分可能」の定義は何でしょう.
普通は, 非負関数のμ積分可能性の定義を置いた上で,
非負関数 |f| がμ積分可能であることをその定義とする
のですが, <fcc1b369-157f-4edf-bd7f-3c9bf9f1ed73@1g2000prd.googlegroups.com>
を見ると, 違う定義になっているようです.

> [証]
> 必要性の証明は仮定から
> fがμ積分可能だというだからf:Ω→[-∞,∞]で
> 0<∀ε∈R,lim[n→∞]μ({x∈Ω;|f_n(x)-f(x)|>ε})=0なる
> fの定義関数列{f_n}が存在する。

 f に測度収束する, 可積分な L^1 収束する単関数列 f_n の
存在を仮定するのですね.

# そういう遣り方もありましたか.

> そしし
> fはΣ-可測だから,∀r∈R,{x∈Ω;f(x)>r}∈Σ.
> が言える。
> (i) f_+がΣ可測である事を示す。
> ∀r∈R,{x∈Ω;f_+(x)>r}={x∈Ω;f・1_{Ω_+}(x)>r}
> ={x∈Ω;f(x)・1_{Ω_+}(x)>r}
> ここで1_{Ω_+}(x)=0なら
> {x∈Ω;f(x)・1_{Ω_+}(x)>r}={x∈Ω;0>r}={φ,Ω}∈Σ
> 1_{Ω_+}(x)=1なら
> {x∈Ω;f(x)・1_{Ω_+}(x)>r}={x∈Ω;f(x)>r}∈Σ(∵仮定)

これでは未だ { x ∈ Ω ; f_+(x) > r } が可測集合である
所まで到達していません. このように場合分けするのは変ですね.
 r ≧ 0 ならば, { x ∈ Ω ; f_+(x) > r } = { x ∈ Ω ; f(x) > r }
であるから可測集合, r < 0 ならば, { x ∈ Ω ; f_+(x) > r }
 = { x ∈ Ω ; f(x) ≧ 0 } = Ω_+ であるから可測集合.

> (ii) f_-がΣ可測である事を示す。
> ∀r∈R,{x∈Ω;f_-(x)>r}={x∈Ω;f・1_{Ω_-}(x)>r}
> ={x∈Ω;f(x)・1_{Ω_-}(x)>r}
> ここで1_{Ω_-}(x)=0なら
> {x∈Ω;f(x)・1_{Ω_-}(x)>r}={x∈Ω;0>r}={φ,Ω}∈Σ
> 1_{Ω_-}(x)=1なら
> {x∈Ω;f(x)・1_{Ω_-}(x)>r}={x∈Ω;f(x)>r}∈Σ(∵仮定)

こちらも同じことですね.

> (iii) 0<∀ε∈R,lim[n→∞]μ({x∈Ω;|f_n(x)-f_+(x)|>ε})=0なる
> f_+の定義関数列{f_n}が存在する事を示す。
> 
> (iv) 0<∀ε∈R,lim[n→∞]μ({x∈Ω;|f_n(x)-f_-(x)|>ε})=0なる
> f_-の定義関数列{f_n}が存在する事を示す。
> 
> (iii)と(iv)とは定義関数列をどのように取れますでしょうか?

 f について取ったもの f_n の (f_n)_+, (f_n)_- で
良さそうですが, それで良いことはきちんと示さないと
いけません.

> 十分性については
> f=f_+-f_-と書け,明らかにこの時fはΣ可測。
> 0<∀ε∈R,lim[n→∞]μ({x∈Ω;|f_n(x)-f(x)|>ε})=0なる
> fの定義関数列{f_n}としてどんな定義関数列が取れますでしょうか?

こちらも f_+ について (f_+)_n が, f_- について (f_-)_n が
取れるのですから, f_n = (f_+)_n - (f_-)_n とすれば
良さそうですが, やはりきちんと示さないといけません.

何を仮定してよいのか分からないところもありますので,
一応の方針だけを述べておきました.
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp