安井@東大です。

In <3f12b957$0$8428$44c9b20d@news3.asahi-net.or.jp>, Junya Suzuki wrote:
> 徴兵され、戦争で重い怪我を負って十分な収入を得ることが出来なかった。そのため
> 年金保険料も納められなかった。無年金状態で恩給が以外の収入がない人から恩給を
> 取り上げてまで「見せたい」ものは何でしょう?

障害を負った戦傷病者には、戦傷病者戦没者遺族等援護法によって障害年
金が給付されています。さらに、戦傷病者特別援護法に基づいた医療費全
額国庫負担という措置もとられています。「徴兵され、戦争で重い怪我を
負っ」たことに対する(損失)補償としてはこちらが本筋でしょう。
それに対して旧軍人恩給は、軍での階級に応じて給付額が上がっていく仕
組みになっています。
 # 2003年3月27日の参議院総務委員会における総務省人事・恩給局長の
 # 答弁によれば、現在の恩給年額は、兵が56万8400円なのに対し、少将
 # は331万3500円となっています。約5.8倍の格差です。
また、普通恩給の給付を受けるには12年以上、一時恩給を受け取るには連
続して3年以上、軍に在籍していなければなりません。そのような仕組み
になっている旧軍人恩給を、戦争損害に対する補償としてのみ位置づける
のには無理があるのではないでしょうか。どちらかといえば、軍に奉仕し
たことへの対価として位置づける方が妥当なように思えます。
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*  Freiheit  | 安井宏樹(YASUI Hiroki), jyasui@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp     *
*  Recht     | 東京大学大学院法学政治学研究科・比較法政国際センター      *
*  Einigkeit | (現代ドイツ政治,ヨーロッパ政治史)                        *