Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
石崎です。
また、1週間程空けてしまいましたが、
例の妄想第172話(その18)です。
# 先週末の連休を全て妄想に費やしてしまった…^^;;;;
Keita Ishizakiさんの<bnvq06$acm$1@news01dd.so-net.ne.jp>の
フォロー記事にぶらさげる形になっています。
# 本スレッドは「神風怪盗ジャンヌ」のアニメ版第40話から
# 着想を得て書き連ねられている妄想スレッドです。
# そういう2次創作物が嫌いじゃ無い方のみ、以下をどうぞ。
(その1)は<bnvv4r$p9c$1@news01de.so-net.ne.jp>から
(その2)は<bol12s$5cr$1@news01cj.so-net.ne.jp>から
(その3)は<bpanfp$235$1@news01cb.so-net.ne.jp>から
(その4)は<bpsnob$hnq$1@news01cb.so-net.ne.jp>から
(その5)は<bretjg$k62$1@news01dj.so-net.ne.jp>から
(その6)は<budosi$mf3$1@news01dg.so-net.ne.jp>から
(その7)は<bvibt5$6bs$1@news01cb.so-net.ne.jp>から
(その8)は<c05ag2$aqq$1@news01di.so-net.ne.jp>から
(その9)は<c12ghi$g3q$1@news01de.so-net.ne.jp>から
(その10)は<newscache$sfa7uh$klk$1@news01a.so-net.ne.jp>から
(その11)は<newscache$9pfavh$4kg$1@news01a.so-net.ne.jp>から
(その12)は<newscache$t8l1xh$f2h$1@news01d.so-net.ne.jp>から
(その13)は<newscache$d6j5yh$q4j$1@news01e.so-net.ne.jp>から
(その14)は<newscache$sjiiyh$nsj$1@news01d.so-net.ne.jp>から
(その15)は<newscache$vkkgzh$hqd$1@news01b.so-net.ne.jp>から
(その16)は <newscache$mxh60i$oqb$1@news01e.so-net.ne.jp>から
(その17)は<newscache$03mh0i$c1i$1@news01e.so-net.ne.jp>らどうぞ
^L
★神風・愛の劇場第172話『弱き者』(その18)
●水無月ギャラクシーワールド・ジェットコースター『ネプトゥヌス』
レールが無くなったため、車両は海面に向け真っ逆さまに転落して行きました。
「キャアアアア!!!!!!!」
すぐに事態に気づいた乗客達は、それまでとは異なる悲鳴を上げました。
しかし乗客達はやがて気づきます。
直ぐに訪れる筈の最後の瞬間が来ないことに。
「あれ?」
それに真っ先に気づいたのは、まろんでした。
「助かった…のかな?」
「何、これ……」
ジェットコースターはコースの頂点から海面に落下する途中で停止していました。
常識で考えればあり得ない状態。コースターは後ろの車両の一部をコース頂点部分のレ
ール上に残し宙づりになっていたのです。
「キャッ」
後ろからアンの悲鳴がしました。
それとほぼ同時に、ジェットコースターの後ろの方から不気味な音が響くのが聞こえ、
それを聞いて乗客達が悲鳴を上げました。
「みんな動くな! 迂闊に動いたら、コースターは海に落ちてしまうぞ!!」
パニックに陥りかけ、脱出しようとした一部の乗客。
それを制したのはまろん達の二つ後ろに座っていた黒髪の美少女らしい声でした。
その声で、取りあえず乗客達は落ち着きました。
しかし、それで危機が去った訳ではありません。
「まろん…」
不安そうに、隣に座っていた都が話しかけてきました。
「大丈夫、大丈夫だから」
どうしてコースターが海面に落下しないのか。
まろんは既に気づいていました。
「(我ながら、凄い……)」
コースター全体を自分が無意識に作りだした神のバリヤー──障壁が包み込んでいる。
障壁自体は暗がりで良く見えませんが、まろんは確信していました。
何の衝撃も無く、コースターそれ自体を止めてしまったのは流石に謎でしたが、それさ
えも障壁が押さえ込んだのだろう。そのようにまろんは納得することにしました。
「よし。みんな、聞いてくれ。どうしてこうなったのか判らないが、このコースターは奇
跡的にコースに引っかかった状態で宙づりになっている。だから迂闊に動くことは出来な
い。だが、すぐに助けが来るはずだから、そのまま動かずに待っているんだ」
後ろの方から、再び先程の声がしました。
「(私が支えている間に、みんなで脱出してくれると助かるんだけど…)」
少女の言う事は正論だと思うものの、コースターと乗客の重みを一人の精神力で支えな
ければならないまろんにしてみれば、冗談ではありません。
とは言え、真実のところを明かすわけにもいかないのですが。
「君達も聞こえたか?」
「あ…はい!」
呼びかけられ、慌ててまろんは返事をしました。
●水無月ギャラクシーワールド・大観覧車
「何ですの、これは…」
観覧車のキャビンの窓。窓の外には信じられないものが見えました。
暗くなった空。
その中を白い衣装を纏った人影が、金髪をなびかせて飛び去って行きました。
「怪盗ジャンヌ? そんな…!」
信じられない。そんな思いを抱きつつ、弥白はそれの名を口にしました。
「ジャンヌ? どうして…」
弥白の言葉を聞き、ツグミもそれの名を口にしました。
「判らない。だけど、あれは確かに怪盗ジャンヌだったわ」
「また、何かあったのかしら」
「とにかく、ジャンヌが居る以上、ここは危険ね。地上に降りたらすぐに避難しないと」
「そうね」
ツグミと話しながら、ジャンヌが飛び去って行った方向を小型双眼鏡で見ていた弥白。
「コースターが!」
「何!? この悲鳴?」
異変に気づいたのは、二人同時でした。
弥白が見たのは、海面に突き出たジェットコースター『ネプトゥヌス』のコースが海面
に向かって落下して行く姿。
そしてツグミが聞いたのは、その時に観客が上げた声でした。
「ジェットコースターが…」
コースから外れた状態で空中に宙づりになっているコースターが、弥白から見えました。
「大変だわ!」
誰か既に通報していると思いつつも、弥白は携帯電話を取り出し消防署に通報しました。
その直後。ガクンとキャビンが揺れ、電気が消えました。
「どうしたの?」
「停電みたい。これもジャンヌの仕業なのかしら」
「違うと思うわ」
即座に否定したツグミ。
それを聞いて、どうしてそう思うのかと言いたくなった弥白。
ですがもちろん、それを口にすることはありません。
「(貴方も、ですのね…)」
ただ、そう思っただけでした。
携帯電話をしまいかけ、弥白は再び端末のボタンを押しました。
今度は音声通話ではありません。
「これで、よし。と…」
「山茶花さん…」
弥白が何をしているのか判らず、やや不安混じりの声をツグミがかけて来ました。
「大丈夫。あなたは必ず私が守りますわ。…正確には、私たちが、ですけど」
そう言うと、弥白は上を見上げます。
メールを送信したのは今なので、本当は今は何も見えるはずは無いのですが。
「え…」
急速に黒色に染まりつつある空。
頂点に達していたキャビンの一つの扉が開き、その中から背中から翼を生やした少女が
飛び出して来ました。
その後から、黄金色の獣らしきものが空中に出現し、少女と獣が急速に高度を上げ、
『ネプトゥヌス』へ向け飛んで行くのでした。
●水無月ギャラクシーワールド・ジェットコースター・『ネプトゥヌス』
「おい! コースが!」
「車両が宙づりになっているぞ!」
「早く助けに行かないと」
「消防だ! レスキュー隊に連絡を」
コースターの異常は直ぐに従業員達も気づき、駅舎では大騒ぎとなっていました。
直ちに救出に向かおうとして、コースターが宙づりになっている状況に気づきます。
とにかくも、従業員が動き出そうとした時です。
この遊園地の警備員が何人か、彼らの前に現れました。
「どうしました?」
従業員達が状況をあわただしく説明すると、自分たちが取りあえず救出に向かうと告げ、
唖然としている従業員を尻目に事故を起こしたコースターの方へとメンテナンス用の通
路を伝って進み始めました。
その中には女性も一人含まれていて、従業員達を驚かせていました。
●水無月ギャラクシーワールド・ジェットコースター・『マルス』
遊園地の中心部近くに位置する、火星の名を冠するジェットコースター。
そのコースの中心部にでんと立つロシア製ロケットのレプリカ。
その頂点にエリスは立っていました。
「始まったか」
怪盗ジャンヌ──実際には、ミナが変装した姿ですが──が大観覧車の側を跳躍して行
ったのを目撃し、エリスは呟きました。
始まったとは言え、ここでエリスがすべき役目は変わりません。
ただ、まもなくエリスは自分の能力を使う必要は無くなるはずでした。
何故なら、放っておいても人間の警官達が一般人を神の御子の側から遠ざけてくれる筈
だからです。
ミナは神の御子──日下部まろん──の乗っているジェットコースターのコース上に着
地しました。
ここまでは、エリスも事前のブリーフィングで聞いていたとおり。
「さて、どう出るか…」
そう呟いたエリスは、直後に声にならない叫びを上げました。
再び空中に舞い上がったミナが天使の力でジェットコースターのレールを破壊してしま
ったからです。
「アン!」
コースターが宙づりになっている様子に気づき、小さく叫んだエリス。
しかし、大きく動揺することはありません。
以前とは異なり、アンがどこかに行ってしまうということは無いと確信出来たからです。
それに。
「(ユキ様がいるから、大丈夫)」
ユキのことを信じて、改めて意識を集中したエリス。
自らの領域の周辺部を捜索して、状況の変化に気づきました。
「(何か、こっち来る!)」
魔界の住人達が設置した、極薄い結界の内部に展開した自分の能力の及ぶ“領域”に、
何者かが接近して来ていました。それも空中から。
「(天使? それに…)」
エリスが見たのは一人は背中から翼を生やした少女。
天使にも思えましたが、これほど幼い天使はこの戦場には居ない筈でした。
そしてそれに付き従う羽の生えた黄金色の四つ足の獣。
こんな獣は、魔界では見た事がありません。
人間界にもこんな巨大な空を飛ぶ獣は存在しないはずでした。
「(何者だ? アイツ)」
エリスが可能性について思いを巡らせていると、ポケットに入れていた携帯電話が震え
ました。
「ノイン様?」
「エリスですか。少し、困ったことになりました」
電話の主は警備センターで指揮を執っているはずのノインでした。
「あの天使は一体どこの部隊の者ですか?」
「天使?」
「背中に羽根、生えてますよ? まさか、正統…」
「それはありません。成る程、羽根を生やしましたか…」
「何か知ってるんですか?」
「それは後で。それともう一つ、人間で無い反応があるようですが」
「はい。黄金色の変な四つ足の獣が。空を飛んでいますが、何ですか、アレ?」
「やはり…」
ノインは何かを知っているような口ぶりでした。
「ノイン様。知っているなら早く教えて下さい」
「彼女は、人間の魔法使いですよ。背中の羽根は魔術で出したのでしょう」
「魔法使い?」
「魔術を使える人間の総称です。獣は、使い魔といった所でしょう」
「それで、どうしますか?」
エリスは“彼女”達の様子をちらりと見やりながら言いました。
「もちろん、神の御子に近づけてはいけません」
「つまり、やっつければ良いんですね」
「それともう一つ」
「何ですか!?」
「彼女を傷つけてはいけません」
「は!?」
「魔法使いとは言え、彼女は神の御子と違って普通の人間なのです。うっかり攻撃して、
死んでしまったりしては後で魔王様に叱られることになりますよ?」
「そ、それは…少し嫌かも」
「理解できたら、上手く彼女たちを追い返す方向でよろしく」
「しかし…ノイン様?」
エリスの呼びかけもむなしく、既に電話は切れていました。
「しょうがないな、もう」
電話をポケットの中にしまいなおしたエリスは、能力を使う一方でその人間達を注視し
ていました。
彼女たちは、結界に近づくよりも高度を上げる方を重視している様子で、結界との距離
はさほど詰まっていません。
どうしてこんな無駄なことをするのだろう。
そう考えて、エリスは気づきます。
彼女たちは、他の人間達に自分たちの姿を見られたくないのだと。
しかし、彼女たちはある時点で上昇を止め、今度は降下しつつ前進を始めました。
海面に突き出たジェットコースター『ネプトゥヌス』の方角に。
「ふっ」
エリスの口元に不適な笑みが浮かびます。
その直後、結界が張られていると思われる空域に彼女たちが飛び込みました。
そのまま前進を続けると思われた彼女たち。
しかし突如前進を止めてしまい、結界の外へと出て行きました。
その様子を見て、エリスは安堵します。
神の御子とは違い、彼女は障壁を展開する能力は無い様子でした。
ノイン様が彼女たちを傷つけてはいけないと言った理由がエリスにも理解出来ました。
彼女たちは元来た場所に戻ることは無く、結界の外側辺りで制止していました。
「くすくす」
彼女たちが能力の影響から脱したという訳ではなく、わざわざエリスはそのように感情
を刷り込んでいたのでした。
彼女たちが制止したところで、改めてエリスは彼女たちの様子を注視しました。
「(あんな子どもが…)」
暗がりで視界はやや制限されていますが、その人間は未だ年端も行かぬ少女でした。
少女は人間界の学校に通う娘が良く着ている服を着ていて、それが背中に翼を生やして
ふわふわと飛んでいるのは、エリスの知る人間界に住むヒトに関する知識からすれば冗談
としか思えません。
もちろん、魔界に住む人間は魔術で飛ぶことが出来るため、全くあり得ないとまでは考
えなかったのですが。
そしてその少女に付き従う黄金色の獣。魔界で似た種は思い浮かばなかった上、人間界
ではこの形の獣が空を飛ぶことは出来なかったはずなので、ノインの言う通り、魔術で作
り出された使い魔なのだとエリスは想像します。
ややあって、再び少女達は結界の中へと突き進んで行こうとして、前回同様再び結界の
外に出て来ました。
「くすくす。無駄無駄無駄ぁ」
相手には聞こえないのは承知で、エリスは勝ち誇った声を上げました。
●水無月ギャラクシーワールド・ジェットコースター『ネプトゥヌス』
“怪盗ジャンヌ”の姿に変装したミナは、ジェットコースターを破壊した後、上空で周
辺部を観察していました。
自分がここにやって来たと判るように、目立つようにここまで跳躍を続けて来た甲斐あ
り、遊園地の中に警察が侵入して来ていました。。
若干予定はずれているものの、ここまでは計画は上手く行っている。
ここまでの行動をそう評価していたミナ。
“本当に、これで良いの? レイ”
眼下のレイにミナは心の声で呼びかけました。
もちろん、神の御子の近くで演技に忙しいレイからの返事はありません。
ミナも返事を期待していた訳でもありません。
“そろそろ、次の作戦に移るわよ、レイ。大丈夫、ちゃんとするから”
そう心の声を送ると、ミナは両手を空に掲げます。
「雷よ!」
自分たちの居た世界では滅多に使うことの出来ない術。
影響が広範囲に及ぶからですが、この世界であれば気兼ねなく使うことが出来ました。
最初の言葉は景気づけで、実際の術は心の中で詠唱されています。
詠唱に時間がかかるのは、それだけ大きな呪文であることを意味しますが、周囲に多く
の仲間を配置し、不意打ちを受ける心配だけはありません。
既に暗くなっていた空に黒雲が沸き起こりました。
その様子を見上げていたミナは、無言で右手を振り下ろしました。
一瞬の光。直後に雷鳴。それは、自然界に存在する雷と同様のもの。
自然界のそれと異なるのは、自らの意志で狙いをつけることが出来ること。
狙い過たず、雷は神の御子を直撃していました。
*
「キャアア!」
空に黒雲が広がったと思うと、まろん達を光が包みました。同時に雷鳴。
近いなどというものではありません。ほぼ、直撃している様子でした。
一瞬、雷に気を奪われたたまろん。
途端、自分たちが乗っているコースターの車両が不気味な音を立てました。
「ま、まろん」
その音に気づいた都が、声をかけて来ました。
「静かにして!」
「まろん!?」
集中力を削がれそうになり、声を荒げたまろん。
慌ててこう付け加えます。
「あ、ごめん…。なんか、声を立てると落ちちゃいそうで」
この程度の物を支えるのに、こんなに疲れるなんて。
この前は体育館だって支えたのに、頑張れまろん!
まろんは自分を励まします。
しかし、同時に気づいてもいます。
やはり、変身しなければ出せる力は制限されるのだと。
とは言え、隣に都がいる状態で変身は出来ません。
それ以前に、変身に必要なロザリオは、ロッカーに預けたままでした。
「確かに。もう、じれったいな」
すぐにレスキュー隊が来ると言うものの、今のところその気配はありません。
暗がりの向こうに誰か見えないか、注視したまろん。
その視界が、再び光に包まれました。
再び、乗客達は悲鳴を上げました。
「ちょっと…。今のもかなり近かった」
都がそう呟きました。
「本当に近かったですね」
後席より、アンの声がしました。
これは自然現象を装った、自分への攻撃なのでは無いか。
そう思ったまろんは、真上を見上げました。
「(…いた!)」
自分達の真上に、先程一瞬姿が見えたもう一人の自分が暗闇の空に浮かんでいる。
そのように、まろんには見えました。
「ジャンヌ? やっぱり、このコースターを壊したのはジャンヌなの?」
隣から声がしたので、まろんは都の方を見ました。
都はまろんと上空のジャンヌの方を何度も熱心に見比べていて、その表情は安堵した表
情にも見えました。
もっとも、何故そう見えるのかはまろんには判りません。
「ここからじゃ良く見えないわ。本物じゃ無いかもよ」
何だか自分が非難されているような気がして、思わずまろんは反論しました。
「どうしてそんなことがまろんに判るのよ」
「そ、それはほら。ジャンヌは飛べないじゃない」
人間とは思えない程の跳躍力はあるけどね。
まろんは心の中で呟きます。
「どうしてまろんがそんなことを知ってるのよ」
「そ、それはテレビとかで…」
「ふ〜ん」
何故か、疑いのまなざしを向ける都なのでした。
●水無月ギャラクシーワールド・中心部
海の聖母マリア教会に出現した怪盗ジャンヌ。
何故か目標としていた筈の聖母子像は無事だったものの、それで追求を諦めるジャンヌ
特捜班ではありません。
まるで誘うように、遊園地の中へと逃げ込んで行ったジャンヌを追跡し、部下を率いて
氷室は遊園地の中へと突入しました。
「何!? ジェットコースターが?」
ショッピングモールを抜けた頃、ジャンヌが遊園地のジェットコースターを破壊、コー
スターの車両が宙づりになっているとの報告が入りました。
その直後、今度は周辺部で灯りが消えました。
「はい。現場は海沿いにあるジェットコースター『ネプトゥヌス』です」
「レスキュー隊は?」
「既に出動しているそうです」
暗闇の中、春田が報告した時、海の方から雷鳴が轟きました。
見れば、上空に黒雲が立ちこめています。
「今のは近いな」
「はい。『ネプトゥヌス』の方角です」
春田が、海面に突き出たジェットコースターの方を指さすと、再び空が光りました。
「おい!」
「はい。コースターですね」
「急ぐぞ」
「はい」
雷がジェットコースターの上に落ちる様子を見て、それまでも走っていた氷室達は、そ
の足を更に早めました。
●水無月ギャラクシーワールド・ジェットコースター『ネプトゥヌス』
「ミカサ様、大丈夫ですか?」
ジャンヌに化けたミナが放ったと思われる雷。
突然の雷鳴に、ミカサは危うくメインテナンス用通路の階段を踏み外しかけ、ユキに助
けられました。
「大丈夫だ。今のは、ちょっと凄かったね」
「ミナ様の雷撃の術でしょう。正確に神の御子を攻撃していますから、私達の上に落ちる
ことはありません」
「判ってはいるんだけどね…」
二人はこの遊園地の警備員の服に着替えて、コースターの「事故」現場へと向かってい
ました。本来であれば、レスキュー隊に任せるべき事態。しかし、これはただの事故では
ありません。
「ミカサ様。今からでもお戻り下さい。後は私が」
この台詞を言うのはもう何度目になるでしょう。
聞くはずは無いと思いつつも、敢えてユキは進言しました。
本当は、自分一人で行くはずだったのです。
しかし、ミカサはそれを許す条件として、自分と部下の同行を求めました。
「指揮官として、従兵を一人だけ危険な場所に派遣する訳にはいかない」
「しかし…」
「大丈夫。自分の限界は心得ているつもりだ。それまでは、少しは格好をつけたい」
「ミカサ様が臆病者だと思う兵はいません」
「ありがとう。だけど、君は勇敢すぎる。それが心配でね」
「……」
ミカサは、先日アンを救出した時のことを言っていました。
それを言われると、ユキは返す言葉もありません。
「(いざというときは私が身を盾にしてでも…)」
そんな思いを胸に秘め、ユキは車両へ向けての前進を再開しました。
*
「キャアっ!」
再び眩い光がまろん達を包み込み、車両でじっとしている乗客達が悲鳴を上げました。
その声が以前より小さくなっている気がするのは、恐らく慣れて来ているということな
のでしょう。
とは言え、絶対に雷が自分の上に直接落ちることが無いと判っているまろんでさえ、雷
が落ちる度に命が縮む気がするのです。
隣に座っている都は、最早外の様子を伺う余裕など無く、頭を抱えて震えていました。
「大丈夫、アン?」
後部座席に座っているアンにまろんは声をかけました。
「大丈夫、です」
「怖くない?」
「怖いけど…平気です」
アンの返事を聞いて、まろんは意外の念を抱きます。
まろんが知る彼女とは、あまりに違う気がしたからです。
「それにしても、全くしょうがないなぁ」
まろんは、隣で震えている都にそう呼びかけました。
「だって…」
「ほら。もう大丈夫だって」
まろんに言われ、都は顔を上げました。
「あ!」
「どうしたの?」
驚愕の声を上げた都。
何があったのか、問いかけても声も出ない様子。
返事を待たず、都の視線の先を見たまろん。
そしてまろんも声を失いました。
何時の間に接近したのでしょう。
もう一人の自分が目の前にいて、自分を見下ろしていたのですから。
*
ミナが雷の術で何度攻撃を加えても、神の御子の障壁はびくともしませんでした。
とは言え、それは予想の範囲。
ミナも未だ本気を出している訳ではありません。
あくまでも、神の御子の精神を消耗させるのが目的でした。
何度目かの攻撃を放った後、ミナは首を回して周囲の様子を伺いました。
エリスが邪魔者を排除しているとはいえ、神の御子の仲間達──その中には自分の友人
も含まれています──が、いつの間にか接近していないとも限りません。
「(何か来る!?)」
ミナは、大観覧車の方角から何者かがこちらに向かって飛行して来るのを視覚と五感以
外の感覚で探知しました。
一瞬緊張したミナはすぐに安堵します。
ある一定の線を超えて、その「何か」が接近して来る様子が無いからです。
それを確認すると、ミナはその「何か」に関心を払うのを止めました。
とは言え、安心しきった訳ではありません。
「(邪魔が入らないうちに、片を付けなくちゃ)」
ミナは再び雷の術を放つと、それに神の御子が目を奪われている隙に、神の御子のすぐ
側へと急降下しました。
忽ち神の御子の側にまで降下すると、御子の周囲を観察します。
ジェットコースターの先頭車両には神の御子とその友人。
一つ後ろの車両にはアン。そしてその後ろにはレイが居ました。
やがて御子の友人が自分の存在に気づき、驚きの表情を見せました。
続いて、御子も自分の方を見て驚きの表情を浮かべました。
「(どう? 私の怪盗ジャンヌの変装は?)」
ミナは神の御子──まろんに心の中で呼びかけました。
まろんが唖然としている間に、レイは行動を起こしていました。
前席に座っているアンを背後から持ち上げ、自分の横へと移動させたのです。
もちろんその前に、心得たアンもハーネスとシートベルトを自ら外しています。
それを確認すると、ミナは神の御子へと更に接近しました。
程なく、見えない壁が自分を阻もうとしているのを感じました。
そこで、一端ミナは停止して、そして呼びかけました。
「私が用があるのは、日下部まろん。貴方だけなの。入れてくれないかしら?」
*
もう一人の自分は、自分に用があると言いました。
ジャンヌが自分の前に現れたその瞬間から魔界の刺客だと確信していたものの、白昼堂
々、人混みの中で自分を襲撃して来ることだけは予想の外でした。
「(そうでも無いか)」
しかし、まろんは直ぐに考えを修正します。
新体操の個人戦でも団体戦でも、彼(女)らは白昼堂々まろんを襲って来たのです。
今日ここで、襲撃を受けても不思議では無いはずでした。
「ジャンヌがまろんに何の用!?」
どう返事をしようか。
まろんが逡巡している間に、都の方が先にジャンヌの姿をした何かに叫びました。
「貴方には、用は無いの」
「ジャンヌには無くてもあたしにはあるのよ。このジャンヌ特捜班の東大寺氷室の娘、東
大寺都にはね」
「ああ。そう言えばそうだったわね。情報ではそうなっていた」
「情報? あなた、一体……」
「日下部まろんから離れなさい。東大寺都。さもないと、あなたを危険に巻き込む…」
「嫌。そんなこと、出来るわけ無いじゃない」
皆まで言わせず、都は即座に拒否しました。
「都。ここはジャンヌの言う通りにして」
「嫌」
「お願いだから! 都!」
都の気持ちはとても嬉しかったまろん。
だからこそ、危険に巻き込むことは出来ませんでした。
もっとも、これまでも十分すぎる程に危険に巻き込んでしまっているのですが。
「…やっぱり駄目。私はここを動かない」
「都…」
こうなったら、都はテコでも動かないことをまろんは知っています。
「そうか。ならば仕方無い」
更に接近して来たジャンヌの姿をした者。
まろんは気づきます。
それは怪盗ジャンヌに姿形は良く似ているものの、背中に翼が生えていることに。
空間が淡い光を発しました。
まろんはそれが自分が無意識に──今は意識して──展開している障壁に、何かが接触
した時に出る光だと気づいていました。
この壁がある限り、自分も都も安全。──当面は。
これまでの経験から、まろんはそう確信していました。
一端停止した偽ジャンヌは、片手を上げました。
その右手が淡い緑色に光ったかと思うと、その身体の周囲が光に包まれます。
「(神のバリヤー?)」
偽ジャンヌは右手を上げたまま、ゆっくりとまろんの方に向けて前進して来ました。
「嘘…」
まろんの周囲の空間が、やはり同じ色に光り始め、それは宙づりになったコースター全
体を包み込みます。しかし、それも一瞬で、すぐに光は消えました。
その光が消えると、偽ジャンヌはまろん達の乗車している車両の先頭に立っていました。
「どうやって中に…」
「あなた達の言葉で言えば、企業秘密」
偽ジャンヌはその手に、本物のジャンヌと同じように新体操のリボンに似た武器を携え
ていました。
そのリボンは、自分の操るそれと同じように、新体操で用いるそれとは異なる、まるで
生きているかのような動きを示していました。
間髪入れず、偽ジャンヌはリボンのスティック部分を巧みに操ると、それはまろんに向
けて突き進んできました。
「ぐっ…」
神のバリヤーの存在を意識して以降、特に最近はその存在に自信すら抱いていたまろん。
しかし、その限界ももちろん承知していました。
「やはり、ね。二重には展開出来ないか」
偽ジャンヌのリボンはまろんの首に絡み付き、絞め上げていました。
「う…」
「まろん!」
隣の席の都は、上から身体を拘束していたハーネスを強引に外し、上半身を伸ばしてま
ろんの首に絡み付いたリボンを解こうとしました。
「邪魔よ!」
偽ジャンヌが叫ぶと、見えない力により都は吹き飛ばされました。
シートベルトをしていなければ、海に落ちていたことでしょう。
「都!」
叫んで、都の側に寄ろうとしたまろん。
その首をリボンが強く締め上げ、行動の自由を奪っていました。
「安心して。手向かわない限り、彼女には傷一つつけないわ。それから貴方」
偽ジャンヌは、都の方を向いて言いました。
「あたしならまろんの側を離れないわよ」
「そう…。なら、眠っていて貰いましょうか」
偽ジャンヌが都の目を見つめると、直後に都はその場に崩れ落ちました。
「都…」
首を締め上げられたままのまろんは、叫ぶことすら出来ません。
「苦しい?」
「…あな…たは…フィンの……仲間……」
まろんは巻き付いたリボンに手をかけ、何とか外そうとしましたが、首にぴたりと巻き
付いているリボンに指をかけることすら出来ません。
「あなただけなら、助かる方法があるわ」
まろんの問いかけを肯くことで肯定した偽ジャンヌ。
偽ジャンヌは、まろんに顔を近づけて、こう囁きました。
「障壁を自分のためだけに使いなさい。そうすれば、私達は貴方に手を出せない」
まろんは目を見開きました。
そうすれば良いのは判っているのに、絶対に出来ないでいたこと。
「そんな…こと……」
「なら、今ここで死ぬのね。そしてあなたが死ねば、今周りにいるみんなも死ぬ」
「そんな…」
「一つ提案があるわ。あなたも、あなたの大切な人も守ることが出来る方法」
偽ジャンヌがそう言うと、まろんの首に巻かれたリボンが緩みました。
首への締め付けから解放され、まろんは咳き込みました。
それが落ち着くのを待っていたのでしょう。
漸く普通に息が出来るようになったまろんに、偽ジャンヌは囁きました。
「まず最初に、後ろをご覧なさい」
「え?」
そのままでは後ろを上手く見られないので、ハーネスを外したまろん。
そうしてから背後を振り返ると、アンが眠っているようでした。
「眠ってるの? もしかしてみんな?」
「そう。だから、今の会話は誰にも聞かれることは無い」
「それで、提案って何?」
「あなたが私達の仲間になるのなら、もうあなたを狙うことも無い。もちろん、あなたの
大切な人たちも傷つくことは無い」
「嫌だと言ったら?」
「そうなった時の未来を貴方は見たはずよ」
偽ジャンヌは、正面からまろんの目を見据えました。
近くから見ると、もう一人の自分と似たようで、まるで違う少女の表情がありました。
「(あ、良い線。けど、どこかで…)」
こんな時でも、女の子のチェックを怠らなかったまろん。
しかし、直ぐに返事を返します。
「私に、魔界に行けと言うこと? フィンは、そう言ってたけど」
「そう言う事。ただ、一つだけ違いがある」
「それは?」
「今すぐ返事を貰いたいの。さもなくば、私はあなたを倒さねばならない」
ジャンヌの姿を偽った金髪の少女は、そう言いました。
その碧き瞳はどこまでも真剣で、嘘偽りの色はありません。
フィンを別にすれば、それまで出会った魔界の者とは異なる印象を受けました。
「私は……」
私は、どうしたいのだろう。
ツグミさんは、私がどうしたいのかを考えてと言った。
私はそれに賛成するからと。
「私は……」
どうすれば楽かは判る。
フィンも言っていることだから、間違ってもいないのかもしれない。
だけど。
「(流されちゃ、駄目だよね。ツグミさん)」
心は決めたものの、その先についての考えはまろんにはありませんでした。
とは言え、返事をしない訳にもいきません。
「ごめんなさい。私、あなたの言うことを聞くことは出来ない」
「そう…。残念ね」
「だけど、フィンの言う事なら、聞くことが出来るかもしれない。だから…」
彼女はフィンの仲間だと言った。
それならば、フィンのいない間に私を殺すことが出来るだろうか?
この前戦ったエリスだって、私を殺そうとはしなかったじゃない。
「時間稼ぎね」
目の前の少女は、まろんの幼稚な駆け引きを切って捨てました。
「フィンは、私達にあなたを消去する許可を与えているわ」
「嘘!?」
「ただ、その前にあなたに投降するか、確認するようにと言われているけど」
「フィンが……」
「もう一度確認するわ。投降して私達の仲間になる?」
「……」
こうなったら、一か八か。やるしか無い。
まろんは目を閉じ、意識を集中しました。
*
まろんに提案を拒否され、ミナの微かな希望は打ち砕かれました。
直後、まろんは目を閉じました。
ミナは五感以外の感覚で、力の集中を感じます。
「(何をするつもりなの?)」
まろんの背中の方で、寝ていたはずのレイが身体を起き上がりました。
彼女も同じ波を感じていたのでしょう。
心の声を届けるまでもありません。
ミナの大切な人は、既に行動を開始していました。
*
神のバリヤーを自分のために使うと、コースターが海面に落下してしまう。
かといって、コースターを支えるために自分を犠牲にしたとしても、自分の力を失えば
やはりコースターは海の中。
ミナの言うように、投降することがみんなを救う確実な道だったのかもしれません。
しかし、既に賽は投げられました。
今は、自分に出来ることをするしかありません。
「てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
自分の身体の周囲が光り輝くのが判りました。
身体のあちこちが悲鳴を上げていますが、今はそれを堪えます。
一瞬の後、まろんは賭けに勝ったことを知りました。
「何!?」
まろんは渾身の力を振り絞り、神のバリヤーを自分の意志で操り、車両全体を出来るだ
け水平に近い状態に持ち上げながら、車両を元来た方向に押し戻そうとしていました。
静止状態から急に動き出したため、車両の上に立っていたジャンヌの姿を纏った少女は
バランスを失い車両から転落していました。
「(よし、行ける!)」
まろんの推測では、車両の半分程がレール上に戻ったようでした。
その段階で、まろんは勝利を確信していました。
思えば、それが良くなかったのかもしれません。
「まろん! 後ろ!」
眠っていたはずの都の声がして、まろんは心臓が止まりそうになりました。
「この、離せ!」
「きゃあっ!」
「都!?」
今度は都の悲鳴が後ろで響きます。
横を見ると、ついさっきまでいた都の姿がありません。
まさか、シートベルトまで外したの?
驚いてまろんが振り向くと、二つ後ろの席に座っていた筈の黒髪の少女が目の前に居て、
もの凄い形相で光の剣を突き出して来るのが見えました。
その剣はまろんの座っていたシートに深々と突き刺さりました。
「ちっ」
まろんの後ろの席に黒髪の少女は立っていました。
その背中には翼が生えていて、彼女が人外の者であることを明らかにしていました。
「きゃあああああ!!!!」
都の絶叫が下から響いたのはその瞬間。
慌ててまろんが、コースターの車両の横から下を覗き込むと、都は海面へと落下しつつ
ありました。
「(いけない! 今の攻撃で!)」
瞬時に、状況を悟ったまろん。
きっと、あの魔界の刺客の攻撃で、無意識に自分だけを神のバリヤーが守ったんだ。
さっきの悲鳴と、今の都の悲鳴に時間差があったのは、一瞬だけバリヤーに都が引っか
かっていたため。
でもそれなら、さっきの偽者のジャンヌの攻撃でそうなってもおかしく無かった筈。
そんな疑問はコンマ1秒以下で消え去りました。
元のコースを逆走しつつあったコースターが再び、海面に落下しそうになったからです。
「(都を助けに行きたい。でも、アン達を助ける方が先!)」
まろんは再び神のバリヤーで車両を支えつつ、都も助けようとしました。
しかし、まろんの第六感はそれが失敗に終わったことを告げています。
やはり、変身前の力では以前体育館を支えた時のようには行かないようでした。
「都! すぐ行くから!!」
都にそう呼びかけ、まろんはコースターの車両を持ち上げることに集中します。
都を海に落とした魔界からの刺客への怒りに身を震わせながら。
「覚悟!」
剣を座席から引き抜いた黒髪の少女が、再び剣で突きを入れて来ました。
まろんは神のバリヤーを使うことなく、上半身だけでその一撃を回避します。
シートを突き抜け光の剣が現れ、そして消えました。
「(あの娘の方が、もっと速かった!)」
まろんにはそんなことを考える余裕すらありました。
「ぐっ!」
再び、首にリボンが絡み付きました。
偽ジャンヌの攻撃でしょう。
「(後…少し!)」
逝ってしまいそうな感覚。
それを何とか耐え凌ぎ、自分の乗る先頭車両もレールに戻ったのが判りました。
そうなれば、最早遠慮は要りません。
「はぁぁっ!」
まろんは自分の意志でコースターを支えていたバリヤーを消し去り、そのバリヤーを自
分の身体に纏うように展開しました。
そのようなバリヤーの使い方があるとは以前は知りませんでしたが、この前の戦いでト
キが無意識に展開していたそれを教えてくれました。
自分の首の回りにまとわりついていたリボンは、瞬時に蒸発。
まろんは自由を回復しました。
その間、コースターの車両は先程駆け上がった急斜面を逆に下っていました。
車両が斜面を下り終わり、一瞬水平になったその瞬間。
シートベルトを外したまろんは、唖然としている魔界の刺客達を尻目に、海面へと自ら
身を踊らせるのでした。
(第172話・つづく)
後1,000行程書きためてありますが、それは黒ミサ準備期間中の連載用ということで。
では、また。
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Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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