Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
石崎です。
例の妄想第172話最終章です。
# 投稿が闇に呑まれたみたいなので再送信しています。
予告通り(?)例の妄想第172話の最終章をお送りします。
全部で2,000行程あるので、その22〜24の三分割で投稿します。
この記事は(その24・最終)です。
Keita Ishizakiさんの<bnvq06$acm$1@news01dd.so-net.ne.jp>の
フォロー記事にぶらさげる形になっています。
# 本スレッドは「神風怪盗ジャンヌ」のアニメ版第40話から
# 着想を得て書き連ねられている妄想スレッドです。
# そういう2次創作物が嫌いじゃ無い方のみ、以下をどうぞ。
(その1)は<bnvv4r$p9c$1@news01de.so-net.ne.jp>から
(その2)は<bol12s$5cr$1@news01cj.so-net.ne.jp>から
(その3)は<bpanfp$235$1@news01cb.so-net.ne.jp>から
(その4)は<bpsnob$hnq$1@news01cb.so-net.ne.jp>から
(その5)は<bretjg$k62$1@news01dj.so-net.ne.jp>から
(その6)は<budosi$mf3$1@news01dg.so-net.ne.jp>から
(その7)は<bvibt5$6bs$1@news01cb.so-net.ne.jp>から
(その8)は<c05ag2$aqq$1@news01di.so-net.ne.jp>から
(その9)は<c12ghi$g3q$1@news01de.so-net.ne.jp>から
(その10)は<newscache$sfa7uh$klk$1@news01a.so-net.ne.jp>から
(その11)は<newscache$9pfavh$4kg$1@news01a.so-net.ne.jp>から
(その12)は<newscache$t8l1xh$f2h$1@news01d.so-net.ne.jp>から
(その13)は<newscache$d6j5yh$q4j$1@news01e.so-net.ne.jp>から
(その14)は<newscache$sjiiyh$nsj$1@news01d.so-net.ne.jp>から
(その15)は<newscache$vkkgzh$hqd$1@news01b.so-net.ne.jp>から
(その16)は <newscache$mxh60i$oqb$1@news01e.so-net.ne.jp>から
(その17)は<newscache$03mh0i$c1i$1@news01e.so-net.ne.jp>から
(その18)は<newscache$n8rc1i$7l8$1@news01e.so-net.ne.jp>から
(その19)は<newscache$bmku2i$ss9$1@news01e.so-net.ne.jp>から
(その20)は<newscache$utnv3i$3mc$1@news01e.so-net.ne.jp>から
(その21)は<newscache$xvgx3i$zjj$1@news01e.so-net.ne.jp>から
(その22)は<newscache$8c5l4i$42a$1@news01b.so-net.ne.jp>から
(その23)は<newscache$mu7l4i$4d5$1@news01a.so-net.ne.jp>からどうぞ
^L
★神風・愛の劇場第172話『弱き者』(その24)
●マリアージュホテル濱坂
ホテルの宿泊とセットで予約されていたホテルの中のレストランで、フランス料理の
コースに舌鼓を打ったまろん達。
流石にラウンジでカクテルを…という年齢でも無かったので、予めチェックインを済ま
せてあったホテルの部屋に直行となりました。
都が予約していた部屋は、スイートルームという程ではありませんが、日本のホテルに
してはそれなりに広い部屋。
ベッドが二つあるのを見て、何故かまろんはほっとします。
「今日は、楽しかったね。途中でジャンヌが現れたのを除けば、だけど」
部屋の窓側にあるソファに腰を落ち着け、まろんは言いました。
「そうね」
都は、部屋の中を見回しながら言いました。
荷物を下ろし、上着を脱いだ都はまろんの前に腰を下ろします。
それきり、何も言わなかった都。
何か話をしなくちゃ。
そんなプレッシャーを感じる関係でも無いので、まろんはテレビを点けました。
すると、もう一人の自分の顔がテレビに映っていました。
“昨日の枇杷高校に引き続き、今日は開園したばかりの遊園地で、怪盗ジャンヌが大暴れ
です”
“本日午後5時45分頃、怪盗ジャンヌが濱坂市の「海の聖母マリア」教会に出現しました。
怪盗ジャンヌからの予告状を受け、待機していた警察の活躍により、ジャンヌは何も盗ま
ずに逃走。ジャンヌは現場に隣接して本日オープンした遊園地、水無月ギャラクシーワー
ルド内に侵入。ジェットコースター『ネプトゥヌス』を破壊しました”
ちょっと待って。枇杷高校に引き続き?
まろんは思わず驚愕の表情を浮かべかけ、それを抑えます。
そこで事件が起きていたのは事実ですが、まろんは怪盗ジャンヌとして活動はしていま
せん。しかし、そちらの事件の方は残念ながらテレビでは報じてはくれず、後で調べるし
か無さそうでした。
都の方を見ると、あまり関心が無さそうに見えます。
“では、現場の橋本より中継です”
“水無月ギャラクシーワールドのジェットコースター『ネプトゥヌス』です! コースの
各所が崩落しているのが見えますでしょうか。警察の発表では、怪盗ジャンヌが破壊した
とのことです。ジャンヌが出現した時、走行中のコースターが取り残され、一時現場は騒
然となったそうです。乗り合わせた目撃者の方にもインタビューしていますので、まずは
こちらをご覧下さい”
そう言えば、目撃者なのに何も言わずに帰ってしまって良かったのだろうか。
そんなことをまろんは考えました。
もっとも、事情聴取を受けても何を話して良いのか困ってしまいますが。
「あ、アンだ」
「え!?」
慌ててテレビを観ると、アンが流暢な日本語でインタビューに答えていました。
帰るとか言っていたけど、途中でテレビ局に捕まっていたんだろうか。
そう、まろんは思います。
アンの証言は、ジャンヌが現れてからすぐに気を失っていたというものでした。
その証言を聞いて、まろんは気が付きます。
そう言えば、都はどこまでこの事件のことを覚えているんだろう。
偽物のジャンヌが私の名前を呼んだのを都は聞いていた。
それに、あわや海に転落死しかけた。
なのに、どうしてそのことを都は言わないのだろう。
誰か、記憶を消してくれたのだろうか?
確かめなければならない。
そう思いつつ確かめていなかったことをまろんは思い出します。
「あのさ」
「つまんないわね」
まろんが都に声をかけようとした時。
都はリモコンを手にしてテレビを消しました。
都会の喧噪は窓で遮られていて、部屋を静寂が包みます。
「そ、そうだね」
そうだ。取りあえず今は嫌なことは考えないようにしよう。
都のことは、明日さり気なく聞けば良い。
「ちょっと早いけど、もう寝ようか。都、先にお風呂に入って来たら?」
何気なく、まろんは言いました。
すると、都はまろんを睨みました。
「え?」
何か拙い事を言ったのだろうか。まろんはちょっと慌てます。
都は立ち上がり、まろんの肩に手を置きました。
「嫌だったら嫌って言ってよね。遠慮する仲じゃ無いんだし」
そう言うと、都はまろんに顔を近づけます。
何も言わず、目を閉じたまろん。
最初はそっと。
次は強く。
最後は絡み付くように。
息苦しくなるまで、二人はそのままでいました。
*
「なー稚空」
「何だ、アクセス?」
「俺たち、何時までこうしていれば良いんだ?」
「明日の朝、まろん達がここをチェックアウトするまで」
「えー」
先程までセルシア達が身を潜めていたホテルの屋上。
そこに今度は、稚空──シンドバットの姿ですが──とアクセスが身を潜めていました。
弥白からのメールにより怪盗ジャンヌの出現を知り、大慌てで遊園地に向かった稚空で
したが、電車で現場近くに到着した時には既に事件は終わった後。
その時になって漸く連絡が取れたトキとセルシアと合流した稚空。
続いて彼らの前に、アクセスが姿を現しました。土まみれの姿で。
どうしてそんな姿になったのか、稚空達はあえて尋ねませんでした。
アクセスもその事には触れたくないらしく、何も話しませんでした。
ヘリに乗って屋敷に帰る弥白の護衛をセルシア達に任せ、まろん達を影ながら護衛する
ことにした稚空達。
近くのホテルに向かった時には食事でもするのだろうと思っていると、終電の時間はま
だ先なのに、二人はチェックインの手続きをしていました。
仕方無く、この場でまろん達を護衛すべく留まっていたのですが……。
「二人は今頃、何してるんだろうな」
アクセスが言いました。
「風呂入って寝てんじゃないの?」
興味ない。そんな態度を見せつつ稚空は言いました。
「お楽しみの最中かもしれないぜ」
「二人はただの幼なじみ」
「幼なじみ、ねぇ」
「何だよ」
稚空を見つめ、アクセスは意味ありげな顔を見せます。
思い当たる節があった稚空は目を逸らします。
「まろんは性別気にしないみたいだし」
「邪魔でもさせたいのか?」
「気にならないのかよ」
「気にならない。…と言えば嘘になるがな」
稚空は立ち上がり、屋上の端まで歩いて行きました。
その後を小さな光球が追いかけて行きます。
「あいつは…弱い奴だからな」
夜の街を眺めつつ、稚空は呟きました。
「まろんが?」
アクセスの言葉に、稚空は肯きます。
「寂しいから、自分に向けられた好意を決して完全に拒めない。だから、アクセスの依頼
なんか簡単だ。最初はそう思った」
シンドバットの姿をしていた稚空は、口を覆うマスクを外しました。
「なら、何で愚図愚図してたんだよ」
「怖くなった」
「え?」
「一度手に入れた愛情は決して手放さない。そう思えたからさ。それでいて、その愛を心
から信じることが出来ないらしい」
稚空の言葉の意味が判らない。
アクセスの表情を見て、稚空はそう思いました。
「俺のことも信じて貰えないと思ったのさ。だから、一歩引いてみた」
「逆に一歩前に出て、信じさせれば良いだろう」
「お前なら、そうだろうな。だが、俺はアクセスみたいに強気ではいられない。あの親父
の息子だぞ、俺は」
「知ってる。だけど…」
このままじゃまろんを誰かに取られちゃうぜ。
続く言葉をアクセスは飲み込みました。
最後にまろんをモノにするのは自分だ。
そうとでも言いたげに、稚空の表情は自信に満ちていました。
*
「ほほぅ」
「あまりじろじろ見ないでよ」
ベッド脇の照明だけで照らされたホテルの部屋。
上から下まで眺め回す都の視線に耐えきれず、まろんは言いました。
「これ、あの知世って娘がデザインしたのよね」
「無理矢理着せるんだもん」
「こんなのも作る事が出来るんだ」
「こんなのも?」
「ほら、あのクマさんパンツ」
「知世ちゃんも言ってたけど、何よそれ」
「まろん、以前つけてたじゃない。覚えてないの?」
「だから何よ」
「去年の春に、西伊豆で大波が来たじゃない?」
「そうだっけ」
そう言えば、年末に放映していた「今年の百大ニュース」とかいう特番で見たような気
がします。
「何言ってんだか。まろん、その大波を見物に行ったじゃない」
「え?」
「それで波被って濡れちゃって、帰りはピンクの服にミニスカートって恥ずかしい格好
で…。それで、下着もクマ…ぷぷっ」
堪えきれず、思い出し笑いをしてしまう都。
「何よ、それ!」
「あの服、一体どんな店で売ってたんだろうと思ってたけど、知世って娘が作ったんで
しょ?」
まろんの知らない何かを知っている様子の都。
何か思い出せそうな感じはしていたのですが、中々思い出せません。
「ね、私が西伊豆に行ったのって何時?」
「お父さんがジャンヌ特捜班の班長の内示受けた次の日だから…3月×日よ」
3月…私がジャンヌの仕事を始めて間もなくの頃…。
そう言えば、あの時、確か……。
「あーっ!!」
「やっと思い出したわね」
あれは去年の3月。
何故か知らない間に一日が過ぎていたことがありました。
勝手にフィンが自分に都合が悪い記憶を消したのだと思い、暫くの間フィンとは口をき
かなかったような気がします。
フィンは、まろんが記憶を消すように頼んだのだと言っていたのですが…。
「(そうか。恥ずかしい格好を都に笑われたから、私が記憶を消してって頼んだんだ!
それなのに、私ったら……。フィン、ごめんね〜)」
今は魔界にいるであろうフィンに、心の中でまろんは謝りました。
そして、小さな魔法使いに対してはこう呟きます。
「そうか。前から私達、知り合いだったんだね」
*
胸に手を当て、まろんは何かを呟きました。
そんなまろんの様子をきょとんとした表情で都は見つめます。
するとまろんは突然、ぶるっと身体を震わせました。
「寒い?」
「うん。ちょっとだけ」
「暖めてあげる」
都はまろんの身体に触れました。
掌から、まろんの鼓動と、そして微かな震えを感じ取ることが出来ます。
「怖いの?」
都は聞きました。
その言葉に、不安が混じっているのが自分でも判ります。
「うん。怖いよ」
「嫌?」
「違うの。何と言ったら良いのかな。明日になったら、もうそれまでの幼なじみではいら
れない気がして」
都は、まろんから手を離します。
まろんは、不安そうな目で都を見ました。
それに気づき、都はまろんの頬に。続いて髪に手を触れました。
まろんを安心させるように。
そして言いました。
「明日になっても何も変わらないよ、まろん。変わりたくないから、触れたいの。あたし
は心だけなんて嫌」
まろんは返事の代わりにこくりと肯きます。
それを確認し、都はまろんから手を離しました。
ベッドの上に膝立ちになり、改めてまろんを上から下まで眺めます。
レースたっぷりのブラにショーツ。そしてガーターベルト。
スリップ姿の自分とまろんの姿を見比べ、微かに劣等感を感じます。
都の視線を感じたのか、手を前にやったまろん。
その手を取り、都は自分の方へとまろんを誘うのでした。
●魔界
宰相の報告は結局、フィン達が眺めていたのと同じ内容でした。
とは言え、ただそれだけを言うために彼がここに来た訳では無く、幾つかの報告を魔王
に対して成し、幾つかの書類と荷物を置きました。
それらは宰相では判断が付きかねる微妙な問題で、魔王はそれぞれに指示を出しました。
最後になって、例のお客様が今夜にも到着されますと宰相は告げました。
「何故最初にそれを言わない」
少しだけ、怒気が混じった声で魔王は言うと、宰相は恐縮したという感じで頭を下げ、
そそくさと去って行きました。
「さて、地上はどうなっているかな」
宰相が訪れている間、地上の様子を眺めていなかった魔王は、改めてまろんの様子を伺
います。
「ほぅ」
「(良かったね。都)」
二人の様子を見て、フィンは心の中でそう呟きました。
続けて、映像を消すように魔王に願います。
「浮気の現場を見るのは辛いか、フィン」
願い通り映像を消した魔王は、フィンに聞きました。
「いいえ。ただ、親友同士の二人だけの時間を大切にしてあげたいと」
「そうか」
「一つ、お聞きしたい事があります」
この機会を逃せば二度と聞くことは出来ない。
そう思い、かねてよりの疑問をフィンは聞きました。
「何かな」
「神の御子は乙女で無ければその力を失う。そう魔王様は仰いました」
「そんな事を言ったかな」
「仰いました。女同士とは言え、次々と愛を育むまろんは、それでも力を失うことはあり
ません。むしろ、強まる一方です」
「そうだね」
「仮にこれから乙女で無くなったとして、力を失うことはあるのでしょうか?」
「あのように乱れた生活を送った御子など、記憶に無いな」
また、からかわれているのだろうか。
そう思い、魔王の心を覗き見ようとしたフィン。
もちろん、彼の心の中を覗くことなど出来ません。闇が深すぎて。
突然、突拍子もない考えがフィンに浮かびました。
「魔王様。かつて、神と交わり子を成した御子がいたという話ですが…」
「ああ、いたね」
「まさかとは思うのですが、乙女のまま、彼女が子を成すようなことは…」
「何なら試してみたらどうだ、フィン。ずっと愛し合っていれば、その内天使と神の御子
の間の子が出来るかも知れない」
「ふざけないで下さい!」
フィンは、手を伸ばして魔王の頬を叩きました。
その頬は赤く染まっています。
「本気だったんだがな…」
頬をさすりさすり、魔王はフィンには聞こえないように、ぽつりと呟きました。
それを聞きつけ、更にフィンはむくれてしまい、向こうを向いてしまいます。
「すまない。悪かった。機嫌を直せ、フィン」
魔王はフィンに向けテーブルに頭を擦り付けんばかりに謝罪しました。
最初から本気で怒ってなど居なかったフィン。
魔王が三度目に頭を下げるのを待って、許しの声をかけるのでした。
*
「あの“魔王の御子”のことだがな」
夕食の間は、地上の出来事とは関係無い話をしていた魔王とフィン。
再び、地上の話題を魔王が切り出したのは、デザートの頃合いでした。
「ユキですか?」
「そうだ。宰相が、慌てて駆け込んで来ただろう? 宰相は、ユキが地上に行くことに反
対していた。私も反対していたがな」
「何故ですか?」
「人間に神の御子の子供を殺させたと話したな? 彼は、その子供の側にいて、悪魔に取
り憑かれ裏切った者の一人だよ。その後死を図ったので哀れに思い、魔界に連れて来た。
以来、今日まで良く働いてくれている」
「そうなんですか」
魔界で一番昔から住んでいると言われる人間。
その由来を聞いても、フィンにはピンと来ませんでした。
それよりも、気になることがあります。
「ユキは自分のことに気付いたのでしょうか?」
「気付いただろうな。あの子は知恵深い娘だ」
「彼女はこれから…」
「神の御子は自分の正体を知って、何か変わったか?」
「いいえ、何も」
「それが、答えだよ。恐らくな」
そう答えた魔王。
フィンの次の質問が無いと知ると、二つ目のケーキに手を伸ばします。
すると侍女が入って来て、お客様が到着されましたと告げました。
ああそう言えば、そんなことを言っていたとフィンは思い出します。
「私は、失礼した方が良いでしょうか」
「いや。君もいてくれ。と言うより、いてくれないと困る」
「はい」
*
王宮では無いので、一番広いこの部屋で客を迎えることになりました。
テーブルと共に片づけられていくデザートを魔王は名残惜しそうに見送ります。
やがて会見の間と同じように椅子が据えられ、魔王とフィンは次の間に下がりました。
「お客様とは一体?」
「来るべき戦いで、切り札となるべき者」
「切り札?」
ミストに匹敵する正統悪魔族の大物か、龍族の誰か。
きっと、自分の配下につけられる者だろうとフィンは推測しました。
フィンが隣の間を覗き見ると、侍女の案内を受け入って来たのは一組の人間の姿をした
男女でした。
その顔にフィンは見覚えがありました。
「あの、まさか…」
「その、まさかだ」
「どうして」
「退屈だと言うので、遊園地の建設を任せていた。この二人をフィンに預ける」
小声で、魔王は言いました。
「預けるって」
「自由に使って良いということだ。来るべき戦いにおいてな」
「来るべき…戦い…」
「使い潰しても構わない。逆に、使わなくとも良い。もう、魔界での用事はあらかた済ん
でいるからね」
侍女が魔王様のお成りを告げ、魔王とフィンは急遽設えた会見の間に入り、椅子に腰掛
けました。
「魔王様におかれ…」
「挨拶は良い。久しぶりの地上はどうだったか? 娘には会えたのか?」
挨拶を制して、魔王は親しげに話しかけました。
「残念ながら」
「そうか。また、機会もあるだろう」
「ええ」
女の方が答えました。
「二人に紹介しよう。我がクイーンだ」
「お初にお目にかかります。クイーン」
「何時も娘がお世話になってます」
その二人をフィンは見た事がありました。
日下部匠ところん。
写真でしか見たことの無い、まろんの両親。
その二人が、今目の前に立ち頭を下げています。
フィンは二人にどう声をかけて良いか判らず、ただ立ちつくしていました。
(第172話・完)
まさか、1年もかかってしまうとは。^^;;;;
ちょっと色々詰め込みすぎたかも。
藤森さんにさくらちゃんとジャンヌが遊園地で再会という話を書くとメールで送ったの
が2年前の9月、漸く公約通りにその話を書くことが出来ました。
# 当初は対決話にする筈が、直接絡まなくなっちゃいましたが。
ちなみに今回のお話は、以前藤森さんが投稿された番外編以外にも色々と藤森さんのジ
ャンヌ妄想(このスレッドには無くて、某所に格納されていますが^^;;;;)からアイデア
を頂いています。このスレッドを読んでおられるか判りませんが、ありがとうございまし
た。
ちなみに藤森さんからのご指摘によると今回の話の時期は、
67話「さくらと小狼と月峰神社」
68話「さくらと過去とクロウ・リード」
…の間に相当するそうですので、設定もその辺りに合わせている…筈です。
あと、ノインとケロちゃんが再会した時のエピソードも面白かったんですが、取りあえ
ず無断引用は出来ないので。^^;;;;
# そう言えば、フィンとケルベロスとの因縁という話もありましたか。^^;;;;
では、一年振りに佐々木さんにバトン渡しまーす。
では、また。
--
Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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