政権交代して、60年の膿が次第に露見し始めた。
 その一つが、沖縄の返還をめぐる様々な密約である。
 米側が負担すべき基地返還時の原状回復費用の日本側への肩代わり、円ドル交換時のドル、約6000万ドルをニュ−ヨ−ク連銀に25年間無利子で預け、その利子は米国に贈与する、などの四つもの密約があったことが明るみに出た。
 しかも、これらの密約は、米国の公文書館の公開資料で大分前から分かっていたにも拘わらず、自民党政府は知らぬ顔を決め込んでいたものである。
 民主党政権は、これらの密約を「広義の密約」と称しているが、「広義」とは、密約が存在することは間違いないが、証拠となる文書が破棄あるい隠滅されている、という意味なのである。
 米国は、沖縄返還に当たって日本から取れるだけ取ったのだ。
 立場の弱い日本としては、それに肯んじざるを得なかったのであろうが、その弱い実態を国民に秘密にしておく必要はなかったと思う。
 「臭いものは蓋」と思ったのだろうが、一番臭いのは自民党政府である。
 村上新八