田母神前空幕長が、肩をいからして29日の政治討論番組に出てきた。見るからに野卑な感じの人物である。
 マスコミは、「日本の侵略戦争は濡れ衣だ」という彼の論文に対して、「政府の公式見解に反する」とか「文民統制を踏みにじるものだ」と非難するが、いまひとつピントが外れている。
 彼の所論には次の三つの誤りがある。
1歴史的事実を捻じ曲げていること
 傀儡の満州国建国、中国侵略をはじめ、植民地争奪競争に遅れを取った日本が焦って、大陸に手を伸ばしたことは明白である。
 これを「濡れ衣」とひん曲げるのはこじつけも甚だしい。
2自衛隊員は、そんな悪い日本を守る
気にならない
 侵略戦争を起こしたのは、軍部と政治家である。国民は、軍の過酷な圧力に屈し、洗脳されて、ひどい苦難に遭わされた被害者なのだ。
 自衛隊は、このような軍国主義者を守るのでなく、被害者である国民を守るためにあるのだ。
 被害者である国民を守ることが、何で、国防の士気を落すことになるのだ。何の関係もないことである。
3「関係ねえ」というひと言は、空幕長の発言としてはあるべからざるものである。
 イラクへの航空自衛隊の派遣に関して高裁が「違憲」の判決を下した際に田母神が発した一言である。
 空幕長としては、極めて不穏当な発言である。
 派遣された自衛隊員は、命令で動いているのだから、「関係ない」が空幕長の言う言葉ではない。まるで、不良少年かならず者の捨て台詞に等しい。
 反論があれば、堂々と反論を展開すべきである。
 こういう場合は、即刻空幕長を更迭して、大臣官房付きとした後、懲戒免職にすべきであったのだ。政府と防衛大臣の大失敗である。
 村上新八