戦犯で妖怪男の岸信介を祖父に持つ安倍は、祖父の戦犯扱いに不満を持っているのだ。だから、日本の侵略行為も戦争犯罪も否定したいのである。しかし、時流から「それを認めない」と言うわけにはゆかない。そこで、「歴史の審判に待つ」などという表現で、真意をぼかしているつものなのだ。
 しかし、「歴史云々」の表現は、「反対表明」であることは知れたことなのだ。「村山談話」を継承する、というのも本意ではない。周囲から渋々いわされているだけだ。
 更に、普三が憲法改正、祖父の岸、父の晋太郎と継承している自主憲法制定を主張する限り、その基盤となる歴史認識については、これを明確にしないで、避けて通るわけにはゆかないのだ。
 そこが普三の曖昧さであり、表と裏をぼかす怪しい性格なのだ。
 中韓もこのことはよく分かっているから、主脳会談などはありえないであろう。普三は「問題があるからこそ、会って話合いをすべきなのだ」「お互いに譲らねば何ごとも進まない」と繰り返すだけだが、相手は、何十年もの間主張している「靖国参拝反対」の一点だけは譲るわけがない。その障害があるのに、今更、それを引っ込めろ、という話が普三に変ったからといって通るわけはないのだ。
 安倍は首相になっても短命だと思うが、小泉のアジア外交欠落で失われた5年の上積みは、できるだけ短くしないと、日本の将来が危なくなることは明白なのだ。
 村上新八