ハリケーン災害地が海水面以下の低位にあるのは、
そのあたり一帯における原油の汲み上げが原因とされる。
その意味で、文明国家を築いた人類の悲鳴が聞こえるようだ。

低地は危険であるから、なるたけ高地に移りたいのは人情。
それが出来るのは金持ちだけ。
時の流れと共に貧困層が低地に住むようになったのであろう。
車を持たない人が10万人もいたんだ。
行政当局は、避難手段を持たない人々に向かって、
ただ口先で避難を呼びかけていただけだった……。

この地帯が危険であることは以前から指摘されていたとか。
しかしながら連邦政府は、危機管理や救難体制の整備には関心がなかった。
世界を支配下に置くための軍事大国を目指す軍産複合国家だから、
国の財政支出は軍需に流れ、従って国民の日常生活を支えるための
インフラの更新や時代に即応した新規の都市基盤構想にも取り組めず、
結果的に、災害に対する無防備地帯のままに放置していたのだった。
災害に見舞われても、何一つ有効なテを打てないのはそのため。

あれやこれや考えて見ると、“民主主義”というものが、
人類の幸福のために本当に役立っているのかどうか、
さらに、“民主主義”というものが人類にとって最も理想的な、
至上の終着点なのかどうか、は甚だ疑問になってきた。これに反し、
例えば“共産党独裁”と言われながら着々と事績を積み上げている中国が
果たして“失敗だ”と断言できるのかどうか。
なんだか新たな政治学的課題が生まれそう。