古寺@そうそうと思い出したように引っかかったところフォロー。

Karura Asagami さんwrote:

> (発見2)後述の叡山電鉄もそうですが、自動ブレーキってまだまだ現
>      役なんですね−。停車する度のあのシャカシャカするB弁さ
>      ばきは、何回見ても楽しいです。

えーっと、私も10年くらい前にコトデンでうっかり自動ブレーキって
書いて沢山ツッコまれた事が有る(京急が600形を送り出した時に諸元
を見てたのに)のですけど。あの手の小型電車は「セルフラップでは
ない直通ブレーキ」のケースが結構多いです。嵐電のVVVF車(あれは
全電気指令^^;)が表紙のピクを引っ張り出せば分かりそうなものな
んですけど... googleでは直通制動とかでは引っかからないですが、
SMEでチラホラ引っかかるのでそうではないのかな...
歴史的にざっくりですけど、単車中心の創世記の電車が、手ブレーキ
から空気ブレーキを導入する過程では、SMEとかいう方式などの直通
制動の方が先行してるのですよ。
自動ブレーキの場合、機関車にだけ空気源(コンプレッサ)が持って居
ても配管引き通しは自動ブレーキ管のみで機能し、この管の減圧で各
車の空気ダメからの空気がシリンダーに送られ、増圧で空気ダメの圧
力を補給する、配管損傷時のフェールセーフと単純な引き通し、機関
車長編成向きな仕組みの方が実は凝っていたりするようで。
高性能電車が、ブレーキハンドル角度に比例した効きが得られるセル
フラップ機能を追加したり、ハンドルの弁だけでなく、それに合わせ
て各車で作用を直接促す電磁弁を連動させたりは、直通ブレーキを
高度化させたもんで。素の直通ブレーキが自動ブレーキの上位概念っ
てわけでもないのですよね。
セルフラップというのは結局、直通ブレーキでももともと「込め、
重なり(中立)、緩め」を左右のハンドルの動きでするものですが、
これをハンドル角度で効きが決まるよう、角度ごとの設定圧に近づく
と機械が自動で「重なり」状態を作ってくれるのがセルフ「ラップ」
式です。

SME直通のように操作系が自動ブレーキと似てる場合でも、なんとな
くエア音の「キレ」でどっちかは見当付いたりします。自動ブレーキ
だと、ハンドルで操作している弁は自動ブレーキ管を(掛ける際には)
減圧し、各車の三方弁が作用するように「エアの指令回路」を操作し
てるもので、基本は大気解放だし。その後、各車の弁が動いてシリン
ダーにエアが込められますから、なんとなく全体の反応がゆっくり
しています。

あと「B弁」というのはブレーキ弁の意味で書かれてるのでしょうけ
ど、あんまりそういう略語は聞きませんね。自動ブレーキも直通ブ
レーキも、空気の配管回路として各種弁装置が仕込まれていて、機
関車牽引列車で引き通しの互換は取りつつ性能向上するために追加
された様々な弁など含めて「アルファベット1〜2文字」弁と称する
用語が結構あるようです。ので、パッと見、そっちの話かと思いま
した。

#メカの基礎的文献を読まなくなって長いので、ナントカ弁とか、
#ほとんど忘れましたけど(^^;

> #まさかとは思いますが、釣り掛けじゃないですよね? 音が・・・。

全滅してましたっけ?? 居たと思いますけど。

> (発見5)鞍馬から山を下ってくるときはどうだったか見逃したんです
>      が、ともかく駅で停車するときは、マスコンで電制を操作し

これも意外と見られる光景ですね。
国鉄だと機関車を除き、カルダン時代にいきなり停止用電制として、
ブレーキハンドルの操作で空制と協調するシステムから入り、後(直
後)から空制を使わず電制のみで勾配を降りれるように操作性を上げ
るためにマスコンに電制ノッチが付き、それを抑速などと称すよう
になりました。
国鉄は勾配線自体の電化という発想は有りましたが、それは電気機
関車を使うのが主で。都市電化、電車使用の範疇では勾配線区がほ
とんど無かった(総武線の秋葉原みたいに瞬間最大のような急勾配
は有りますが、短ければブレーキ負荷の問題にはならないんです)
のでそうなってると。

#実際国鉄車両でも、戦前勾配線区電化用の電関などは、抑速電制
#そのものな操作だったかと。
##加速用ノッチとまた別レバーとか有ったっけかな? レバー入れ
##てマスコン操作、とか。

電車そのものの真っ直ぐな?発展史を把握するには、軌道などの低
速電車や、私鉄で特殊条件も有って装備されたような機能で、いつ
頃どこまで技術が実現してたかを把握した方が良いのではないかと。
有りがちなのは、逆に国鉄電車の粗い発展ステップの把握で、民間
のそれに当てはめちゃうと、間違いが多々生じるようなので。

話戻しますが、車体更新して冷房積んでも直接制御の大きなコント
ローラーをグリグリ回してる光景が路面では良く見られますが、
よく見ると電制ノッチが刻まれてるコントローラーも有ります。
今ではそういう骨董制御系を使い続けてるところでは、モーター
に負担掛けたくないのか、急勾配が有る豊橋なんかでも使って
なかったですけどね。

#確か電制付きダイレクトなのは見たと思うんですけど。違ったら
#すみません。

昔雑誌で、叡電が鞍電を合併してから戦中までの乗務記が連載され
て居た事が有るんですけど('72頃のRF?)、鞍馬側は電制車限定で、
合併しても運用がどうとか等書かれていました。要するに戦前から
電制は使われており、ブレーキハンドルで空制と協調制御する技術
は無かったですから、マスコン操作でずっとやってたことになりま
す。

システムの中の部分が変わってないのに操作系を途中で変えると
いうのは避ける傾向に有ると思いますが、驚くほど勾配の多い神
戸電鉄の例だと、前後ハンドル方式になるまで電制はマスコン
のみでしてますよね(初期カルダングループでも)。

ちょっと「たとえ」でまた逸らしますけど、ワンハンドルマス
コンにしたら、勾配発進時にブレーキ抜くのをワンテンポ遅ら
せてノッチを入れる、坂道発進の小技が出来なくなったので
「勾配起動スイッチ」を追加するなど対策が必要に...なんて
話も有ります。
昔から勾配故電制の採用が早く、マスコンで操作していた現場
から見ると、ブレーキハンドルで自動的に電制が掛かるのは、
停止だけなら便利でも、下りでバランス速度を取るのに付随車
の空制も掛かってしまって基礎ブレーキの過熱を招きます。
ブレーキハンドルの電制のみ仕様だと、もとの使い方を失いま
すから、停止時の操作が煩雑でももともと慣れていれば変える
必要も無かったのでしょう。

更に余談ですけど、初期カルダン車の有名車の一つ、東急5000
系が、レスポンスの遅い「自動ブレーキ」のまま、自動ブレー
キ管の減圧にM車の制御器が連動して電制を掛けに行く電空協調
を組み込んだ特殊な例でした。空走時間(ハンドル操作してから
意図通りにブレーキ力が立ち上がり切るまで)が、傍目で見て
いても遅い事と言ったら。釣り掛けより停まらない感じで。

実はこれも関西に来た頃、大津線の500形以降のカルダン化改に
乗りまして。停止直前までマスコン操作してから回生失効直前
にブレーキハンドルを動かすものですから、制動系を弄らずに
マスコン電制(回生の)を追加したのかと思いました。これもす
かさずフォローされて気づいたのですけど、マスコン側が速度
指令で制御器側が自動調整する定速制御方式になってたんです
よね。
子供の頃、祖父の赴任の関係で少し滞在し、釣り掛け時代の
260形として乗った際はただのツリカケ電車でしたので(^^;
各社で保守に手こずり放棄されつつ有った定速制御を、あの
時期に更新でわざわざ積んでるとは驚きました。で、定速の
最低指令速度の20?km/hかそこらまで、徐々に速度指令を落と
して回生を効かせ、これが切れそうになるとブレーキハンドル
を動かすと。
事実上、マスコンで電制を作用させて「手動電空協調」して
るのと同じですけどね。