In article <w6yud.1$xy.1126@newsall.dti.ne.jp> ynaru@jade.dti.ne.jp writes:
>このあたりは過去の大河ドラマでもありましたね。確か「峠の群像」だと思ったけど、
>ドラマ内では大石が山科時代の側使えの女中に手を出さなかった(史実では子供まで
>作っているんですよね)とか。
うーん、記憶に無い……
むしろ、最近の「忠臣蔵」(だっけ)で、紆余曲折の末、
最後の最後で安達祐実に手をつけたのが印象深いんですが^_^;

>> 永倉の訣別も、対立の本質は史実に沿ってるんですが、経緯が全然違っています。
>> まあ、史実通りにやるとストーリーが複雑になってしまうという要素は
>> あるんだと思いますが。
> それ以前というか、「負け戦」はさらっとすっとばしていますね(^^;。
あの「負け戦」は、史実上も「さらっとすっとばす」ようなものだったようです。
圧倒的な兵力差の前で、ひたすら逃げるしか策が無く、
それゆえに死傷者も僅かだったとか。
結果論としては、甲府城を先に確保しなくて助かったことになる
という見解もあるようです。
先に確保していたら、篭城全滅は必至だったようで。

> ただ「流山」のラストのあの元隊士とのシーン、なかなかでしたね。
>近藤にしてみれば元々正体はばればれなのだから、
>あそこで面通しが行われた場合、有馬(でしたっけ)の方がむしろ困るんですよね。
>近藤に対する裏切りになるし、かと言って「近藤じゃない」と言えば
>自分の官軍の中での立場が危うくなる。
>近藤にしてみればそうしたことはわかるが
>かと言って今や自分の命は自分だけのものではない。
>そうした逡巡の後、やはり目の前の男を助けることを優先してしまうあたりが
>(このドラマの中での)近藤勇なんですね。なかなか見ごたえがありました。
別記事で既に訂正されている通り、有馬ではなく加納ですが、
確かに三谷の脚本はこういうあたりが巧いですね。
加納が単なるヒラの一兵卒になっていたことも、
計算づくの設定なのかな?
(これは史実上どうなのか知らないのですが、
 正直なところ「ちょっと落ちぶれ過ぎだろ」と感じました)

一方の有馬との対決も巧く作り上げていると思います。
今日の最終回では史実通りにやるようなのですが、
近藤の処遇について「敗将」として扱うことを主張する薩摩藩と
「罪人」として扱うことを主張する土佐藩との対立になり、
結局、後者が勝って斬首されることになります。
当時、坂本龍馬は新選組が暗殺したというのが通説になっていた他、
土佐藩と新選組との間でトラブルが続いていたこともあり、
土佐藩の中では「新選組憎し」の心情が渦巻いていたようです。
一方の薩摩藩は、成り行きで幕府勢力と対立してしまったようなところがあって、
新選組も「こないだまでの盟友」という感覚で、
ことさら敵視する雰囲気では無かったようです。
そのあたりを有馬の行動で巧く表現したなと思っています。

                                戸田 孝@滋賀県立琵琶湖博物館
                                 toda@lbm.go.jp