小林@那須です。

スピン二価性についての私の解釈を書いてみます。誤りがあったら指摘願います。

Spinor 空間での回転は、我々の三次元空間とは独立しています。Spinor 空間での
 360 度回転は、波動関数の符号を反転させますが、我々が一回転しても波動関数の
符号は反転しません。

では、なぜ spinor 空間での 360 度回転で符号反転(スピンの二価性)が起きるの
かを以下に書いてみます。

スピン自由度は、時空が 3+1 次元を持っていることから導かれます。ディラック方
程式により 4 つの自由度が追加されます。正のエネルギー固有値に対して 2 自由度
が与えられます。この 2 自由度がスピン自由度になります。

ディラック方程式に磁場を加えてやることで、スピン自由度に対するエネルギー固
有値が分離します。即ち、磁場方向に対する Up/Down (180 度) の固有値に違いが
出てきます。この磁場に対する Up/Down(180度) を使って spinor 空間の座標軸 
|up>/|down> 90度での角度を記述することがスピンの二価性の理由です

      3 次元空間                    Spinor 空間

      磁場 H    up                      ↑|up>
      ↑↑↑ ↑                         │90度
      │││180度                 ───┼──→ |down>
      │││ ↓                         │
      │││    dwon                    │

Spinor 空間で波動関数の二自由度の重ね合わせ状態を |up>/|down> ベクタの足し
合わせで表現します。それを spinor 空間での回転角で表現すると |up> ベクタと
 |down> ベクタは 90 度の角度を持ちます。Spinor 空間での 90 度は、磁場 H の
ある三次元空間では 180 度に対応します。スピンの運動方程式を記述するとき、量
子力学でのスピンの回転角θは、Spinor 空間での回転角ではなく、対応する三次元
空間での回転角を使用しています。こうすることで、三次元の 
  <ψ|(σx,σy,σz)h`/2|ψ>
角運動量ベクトルを自然に導けるからです。

このため、スピンを三次元空間の回転角 360 度回転させたとき、Spinor 空間では 
180 度回転させたことになります。その結果波動関数の符号反転が発生します。ス
ピン波動関数の二価性が出てきます。でも、Spnor 空間は 3 次元空間とは独立して
仮想されているものであり、実際に測定できる物理量は<ψ|(σx,σy,σz)h`/2|ψ>
 角運動量ベクトルです。特に矛盾は発生しません。

私はスピンの二価性を上のように理解しています。誤りなどを御指摘願います。

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