量子コンピュータって実用性があるの?
小林@那須と申します。量子コンピュータの実用性に疑問をもっています。皆様の
御意見を伺えますでしょうか。
量子コンピュータが流行っています。超伝導より羽振りが良さそうにさえ見えます。
でも本当に量子コンピュータに実用性があるのでしょうか。私は実用性はないと考
えます。実用化することが難く、また、たとえ実用化されたとしても、その応用範
囲が限られているためです。
--------------------------------------
●実用化することの難しさについて
量子コンピュータは、デジタル電子回路の代わりに波動関数の固有状態を使う、一
種のアナログ・コンピュータです。波動関数の線形な重ねあわせを利用することで
並列処理が可能になることが、オペアンプによるアナログコンピュータと異なりま
す。Shor によって巨大整数の因数分解が可能であると指摘されています。
でも、本当に量子コンピュータで 100 桁を超える巨大整数の因数分解が可能でしょ
うか。確かに波動関数の重ねあわせを利用して並列処理をしてやれば、一見、巨大
整数の因数分解も可能そうです。でも波動関数なんて不安定で扱い難いものです。
プリンのように、全体が影響しあいながら振動しており、外部からの小さな衝撃で
壊れてしまいます。一方で 100 桁の整数を扱うためには、2^330 という途方もなく
多い数の固有状態を、複素係数・縺れ状態も含めて的確に制御しなければなりませ
ん。直感的には、256==2^8 程度なら実現できても、2^330 の重ね合わせを実現する
装置の実現は不可能だろうと感じます。
また、たとえ量子コンピュータで巨大整数の因数分解のシミュレーションがが本当
に可能になったとしても、暗号の安全のためには、別の一方向性を持った数学モデ
ルを持って来れば済みます。Shor のアルゴリズムを実現すること自体については、
その工学的な価値はないと考えます。
●適用範囲の限られることについて
量子コンピュータは、デジタル・コンピュータというよりアナログ・コンピュータ
に近いものです。アナログ・コンピュータの適用範囲は限られます。波動関数の重
ねあわせを利用することで様々のシミュレーションが高速に実現できても、それで
高速に C コンパイラを動かすことはできません。量子コンピュータの応用はデジ
タル・コンピュータとは異なり、シミュレーション的な分野に限られるように思え
ます。
---------------------------------------
量子コンピュータにより、波動関数の巨視的な縺れ状態と、その重ね合わせについ
て原理的な理解が深まることは認めます。でも量子コンピュータが実現すれば、直
ぐに現在のコンピュータよりも何桁も速いコンピュータが実現出るとする通俗的な
話は嘘だと考ます。皆様の御意見を伺わせてください。
======= kVerifier Lab =========
EMAIL NoSpam_kenji@nasuinfo.or.jp
Kenji Kobayashi
===============================
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735