nabeta さん;

 >> 「『詩』とか『文藝』とかいったものは
 >>  双方向なものなのでしょうか」
 >> という疑問が私には一番はじめにわいてきます。

読者(あるいは鑑賞者)そして批評家の存在なしに文学や美術あるいは
音楽も成り立たないので,芸術は本来「双方向」の営みだと,わたしは
考えます.

 >>                                             インターネットの
 >> 技術的な機能はメディアとして中立であり、透明にして従属なもの
 >> のはずなのに、そのメディアが表現の方法がおかしいといって批判
 >> するのは本末転倒のような気がします。

わたしは別に批判などはしていません.双方向性を持つメディアが一方
向でしか使われていないのはなぜだろうという疑問を提示しているだけ
です.

 >> 詩を書くことと、こんな具合に詩論を展開することは別な表現手段
 >> ではないでしょうか。

わたしは「詩論を展開」したりなどしていませんが,...

ただ単にメディアとしてのインターネットの機能と,詩を書いたり読ん
だり批評したりといった行為との関係について,いまのインターネット
の使われ方に偏りがあるのでは? という個人的な感想を述べただけに
すぎません.

 >>         詩を書く人たちが、お互いに詩論を戦わせないからといっ
 >> て非難されるべきではないと思います。

おっしゃる通りです.別に「詩論を戦わせる」ことだけが双方向の交流
だなどとは,わたしも考えていません.

 >>                                     (わたし的には、ある人の
 >> 詩の作品が、別の人の詩作の契機となり、それがまた別の人に移る
 >> という(客観的に現れない部分が)『双方向』的だと思っていて、
 >> インターネットでは、雑誌よりも、そのスピードが速いと感じてい
 >> ます。)

そういう考え方もあるでしょうね.雑誌や本のようなメディアでも,
読者が感想や批評を提出する道は閉ざされてはいませんからね.そう
いう意味ではあらゆるメディアは「双方向」だといえる.インターネ
ットの場合には,スピードも含めて,その機能が強化されているとい
うことでしょうか.それをどう使ったらよいかがわたしの問題意識で
す(「使うべきか」ではありません.誤解なさらないように).

 >>  > たままた,わたしはいま,Collaboarative Knowledge Develop-
 >>  > ment のために Internet 上の Socio-Technical Mechanism を
 >>  > どうやって構築するかというプロジェクトに巻き込まれている
 >>  > ので,そんなことを感じたのかも知れません.
 >>
 >> 前述したように、メディア側から表現をどうこうしようという了見
 >> のプロジェクトは余り感心できないというのが、わたしの立場です。
 >> それはなにか、世論を煽動して世の中を自分の思うままに操ろうと
 >> いう邪悪さに隣接しているものが感じられるからです。

このプロジェクトは,いまアメリカにいてオープンソースコミュニティ
の研究をしている若い中国人研究者の発案で,それに賛同した何人かの
日本の研究者の方々が加わって進められているものです.別にメディア
側から表現をどのこうのというものではなく,現在インターネット上に
用意されているメカニズムよりも強力に人びとの知的共同作業(いまプ
ロジェクトが直接に目指しているのはオープンソースソフトウェア開発
ですが,うまくいけば他の知的共同作業にも応用できるでしょう.詩の
創作はしかし???)を支援するような仕掛け(それは技術的なものだ
けではなく,たとえばソーシャルキャピタルといった社会学的な概念も
取りこんだもの)の構築を目指しています.

はたして世の中に感心してもらえるような成果が生まれるかどうかはあ
と2年たって見ないとわかりませんが,1人のサポータとしてのわたし
の目には,かなり有望なように思われます.

 >> ほんとうに詩作で身を立てようとする人だったら、編集者の意見や、
 >> 同好の人の感想はタメになるのでしょうね。

asahi.net の「曲馬団・観客席」におけるやりとりは,作品に対する読
者からのコメント,そして作者からの返事という1ラウンドだけの不完
全なものですが,いまの時代に「詩」がどのようにふつうの新聞読者に
受け取られているかを垣間見るという意味で,わたしには面白く感じら
れました.別に「詩作で身を立て」るつもりなどなく,ただ1人の野次
馬としての興味ですが,.....

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         Kiss cedar, Call witch!