"GON" <gon@mocha.freemail.ne.jp> wrote in message news:br4taq$2lt$1@news511.nifty.com...

> テレ朝に出てたNGO代表の大西氏は、自衛隊がやるようなことは
> 10分の1の経費でできると言ってましたがそれって本当なんでしょうか?
> つまり、自衛隊派兵と同じ経費をNGOに回して10倍仕事をして貰うことは
> 本当に可能なのかってことです。例えば、それだけ多くの民間人が浄水場
> やら病院やらを復興させるのに従事させるとすると彼らはテロリストの標的に
> ならないという保障はあるんでしょうか?

 NGOは、自衛隊のような自己完結した組織や装備をもちません。
ですから、援助のやり方に大きな違いがあります。

 たとえば、カンボジアで道路を補修したケースでは、自衛隊は、建設機械と
アスファルトなどの建設資材、そして作業に当たる自衛隊員の食料まで日本
から持ち込み作業を行ないました。

 それに対し、NGOは自己完結能力を持たないため、現地の政府や団体など
と協力したり、現地のインフラを利用して活動を行ないます。
 具体的には、同じ道路補修の援助の場合、NGOは現地で建築資材を購入
し、現地の建築作業員を雇って作業を行ないます。
作業員は現地の人ですから日当は自衛隊員よりはるかに安く、また食料まで
持ち込む必要はありませんので、自衛隊よりも圧倒的に安価に援助を行なうこ
とができます。
 1/10とは多少オーバーという気もしますが、半額以下になることは確かです。

 問題は、NGOのやり方では現地のインフラが極端に疲弊している場合、十分
な援助を行なうことが出来ないという事です。
 自衛隊が行った当時のカンボジアには、精油所がありませんでした。
そのため、現地では道路を舗装するためのアスファルトの入手は出来ず、大部
分の道路(NGOが補修したものを含む)は、土をならしただけで舗装されていま
せん。
 建設機械と資材と作業員を持ち込んだ自衛隊のような組織だけが、現地で道
路を舗装することが出来たのです。

 現状のイラクでは、現地で人員や物資を手配することは至難の業でしょう。
NGOの手法では、現在のイラクでインフラ整備のような大規模な援助をできるとは
思えません。
「(実施できるのならば)、費用は半分以下。」
というのは正しいのですが、それが実施できそうにないから次善の策として自衛隊
が行くのであって、大西氏の批判はピントがずれています。

 そもそも、現地に十分に受け皿となれる建築業者があり、建築資材が簡単に
買える市場のようなインフラがあるのならば、NGOすら必要ありません。
 お金を渡すだけで十分ですし、現に大部分のODAはその様にして行なわれ
ています。
 カンボジアの援助も、自衛隊が道路を補修したのは最初だけで、現地の治安が
安定した後は、普通の建築業者が仕事として道路補修を請け負って、作業を交代
しました。

 また、自衛隊が行ったからといって、NGOの活動が出来なくなるわけではありま
せん。現地には復興すべき場所は山のようにあるのだし、自衛隊の1/10の費用で
成果が上げられると思うのならば、自衛隊の行かない場所にさっさと行って援助
活動を行い、成果を自慢すればよいだけの話でしょう。

 大西氏が現地に行かず、日本のテレビで自衛隊を批判していると言う行為その
ものが、
「現状のイラクではNGOによる大規模な援助は不可能」
ということを象徴していると思います。