青龍です。

"NAKAMOTO Tetsuya" <tetsuzou@pop02.odn.ne.jp> wrote in message news:bo5o8i$7hd$1@nwjp2.odn.ne.jp...
> うーん、たとえば日本が幕末に開国したのは黒船に代表される米国の武力が
> 背景にあったからに他ならないわけですが、だからといって米国が武力を用
> いて日本を開国させたかと問えば答えはNOでしょ?決して戦争に負けたわけ
> でも一方的に軍事制圧されたわけでもなく、日本は自主的に条約にサインし
> たんですから。

 幕末の日本と併合時の朝鮮とは多くの点で異なっているので
単純には比較できないと思います。
 まず、兼松さんも指摘しているように、朝鮮は軍隊を解散させられています。
これに対して、幕末の江戸幕府が同様に武装解除されていたような事実はあ
りません。また、朝鮮には日本軍が駐留していましたが、幕末の日本にアメリ
カの軍隊は駐留していません。
 次に、朝鮮の場合、条約を締結する内閣が日本政府の強制によって、成立
させられた傀儡政権になっていますが、幕末の江戸幕府の人事にアメリカが
介入し、いうがままになる人間を締結の担当者にしたようなことはありません。
 このように、大まかにいえば武力を背景にしたという共通項はありますが、
その程度は併合時の朝鮮と幕末の日本とでは大きく異なります。

# 併合時の朝鮮の条件を幕末に当てはめてみるとしたら次のようになる
 でしょう。
 1.江戸幕府及び諸藩の軍事力は既に解体されており、江戸・京都には
 アメリカ軍が駐留している。
 2.開国に反対していた幕府首脳はアメリカの命令で追放され、替わりに
  開国派の人間を幕府首脳に据えた。
 3.開国に反対していた、将軍・天皇はともに退位させられ、交渉能力の
  ない子供が即位している。
  
   このような状態で、アメリカの言いなりになる幕府首脳との間で開国が
 決定された場合、中本さんは日本が自主的に開国を選択したと考えるで
 しょうか?

 また、中本さんは、併合時に日本が朝鮮政府に対して武力を用いたわけ
ではないとおっしゃるかもしれませんが、朝鮮軍が解体され武装解除され
ている以上、武力を用いずとも朝鮮政府に日本の意思を強制することが可
能だったわけです。確か、クラウゼビッツの「戦争論」にもあったと思います
が、戦争の目的は敵の防御能力を無力化することですから、武装解除され
首都を押さえられている朝鮮は既に防御能力を無力化されている状態であ
るといえるでしょう。このような対象に対して現実の武力行使を行う必要は全
くなく、現実の武力行使がないことを理由に自主的に併合に同意したというの
は、あまりにも日本を正当化しており賛同できません。

> 韓国の場合も全く同じですよね。石原都知事の言う「私たちは決して武力で
> 侵犯したんじゃない」というのはまさに史実の通りだと思います。
> 
> > また、韓国の軍隊と警察を廃止し
> 
> それは寡聞にして初耳です。よろしければソースを教えてもらえますか?
> 手持ちの歴史書や資料に当たったんですけど、それに関して記載されている
> 文書は一件も見つかりませんでした。

 手元にある資料では、姜在彦 「新訂 朝鮮近代史」(平凡社選書)165ペー
ジにその記述があります。
 ここでは、ハーグ密使事件を口実に国王を退位させ、「8月1日には朝鮮軍
の全面的武装解除と解散を強制した。」とあります。