長島です。

刑法で、難しいなぁと思っていたところを
考えるいい事例だと思ったので、質問させてください。

In article <20030607153650cal@nn.iij4u.or.jp>,
cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote:

>>一 存在しない債権を請求する事は犯罪にならないのか。
>
>自分で存在しないとわかっているのに
>あたかも存在しているように装って
>相手に「存在しているなら払わなきゃいかんな」と信じさせて
>その結果としてお金をgetすれば
>これは立派に詐欺罪になりますし
>仮に相手が払わないとしても
>実行の着手が相手に請求する行為に認められるので
>詐欺未遂罪となります。

これを前提とします。
ここでの前提のポイントは
「請求側に実際に債権は存在しないし、それを請求側が承知している」
こと、ってことで。

その前提で、元の文面を見ると
「支払わなければ法的手段に訴えるぞ」とも書いてあります。
そうなると、恐喝罪の構成要件も満たすように思われます。

# 恐喝罪における脅迫の内容は必ずしも違法なものである必要がない点は
# 判例あり(昭和29年4月6日最高裁判決)

今回のようなケースだと、
(1) 「法的手段に訴えるぞ」は詐欺に相当する行為の一部を
  構成しているので、詐欺罪に吸収され、吸収一罪となるのか
(2) 詐欺行為と恐喝行為が1個の行為となり、観念的競合となるのか
(3) 1つの文面ではあっても両者は別個の行為となり、併合罪となるのか

このあたり、私にとってはなかなか理解の難しいところでして…
…特に観念的競合と併合罪の区別が悩ましいです…

今回の件とは全く別ですが、
・無免許運転と酒酔い運転は観念的競合
・酒酔い運転と業務上過失致死は併合罪
(ともに昭和49年5月29日最高裁判決)
…の区別のポイントが理解できておらず、
それと同様のところにはまっているのだろうと思ったりしています。

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Yasuyuki Nagashima 
yasu-n@horae.dti.ne.jp
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