晴天月心さんの<aZXDh.3058$dd.97@newsread1.mlpsca01.us.to.verio.net>から
>やむをえない戦争がある。
>だから再軍備をする。(すでにしているが)
>
>ではやむをえない戦争で核の打ち合いもやむをえないのか。
>そこまでの覚悟があるのか。

日本人の思考能力を、停止する言葉→やむを得ない。

「やむを得ない」という修飾をつければ、脳みそが直ちに「やむを得ない死」
という言葉を受け入れるこの単純ぶりには、開いた口がふさがらない。

それでは、改憲もやむを得ない改憲であり、
やむを得ないイラク派兵であり、
やむを得ない極東大戦争である。

「止むを得る」戦争を、「止むを得ない」戦争に、言葉だけでイメージをさっ
と置き換えて脳みそに拡散させるこの魔術は、情報の扱いにたけたファシズム
の常套手段であり、強硬策である。議論や精査を一足飛びに飛び越えて人間の
脳みそに打ち込むバンカーバスターである。

改憲の議論は、いきなり「止むを得ない」侵略戦争から始る。
「止むを得る」侵略戦争の章は常に目次もページも白紙印刷である。
戦争が、防衛戦争に一足飛びにと飛び、わざわざイラクまで米国のご指示で他
国の防衛に自国の防衛軍が憲法を無視して止むを得ずに海外に軍を派兵するの
である。止むを得ない防衛と止むを得ない戦争のために、止むを得ず米軍に
燃料を補給し、兵站部を戦争から切り離した概念で憲法破りを止むを得ずし
ているのである。
われわれの哲学的思考能力のなさが如実に示されているいい例である。
ファシズムはつねに、ここに、人間の思考能力の停止ポイントに、スイッチオ
ンとなる言葉を、手榴弾のごとく投げ入れてくる。

人間の思考能力の弱点を突いて、改憲話がテレビを通してばら撒かれ、
いまや宗教政党が「加憲」などというこじつけ語まで作って「止むを得ない」
戦争の突破口に加担している。「止むを得ない」事情のために。

われわれは、「止むを得なく」税金を取り立てられ、止むを得なく、戦費に化
かされ、止むを得なく被爆死させられたり、戦死させられるのだが、このよう
な人生は止むを得ない人生なのだろうか。止むを得る戦争と止むを得る民主主
義の獲得と、止むを得る不幸や止むを得る悲惨を、議論し、精査することをし
ないのも止むを得ないことなのか。

マスコミは今日も止むを得ず、ニュース読み上げ屋が「止むを得ない」政府の
姿や「止むを得ない」政党の姿を放送している。新聞も。