Kenji Kobayashi wrote:
> 数値が無限桁であることも許すものとして、

「無限桁であることを許す」の意味がよくわかりません。
実数は無限小数で表され、任意の無限小数が1つの実数を表す
というのは実数の完備性の1つの表し方です。

> Σa_n が、ある数値 A に収束することを、下のように定義します。
> 
>   Sn ≡ Σ0 to n  a_n としたとき、ある無限桁かもしれない数値に Sn が限りなく近づいていく

記号に少し混乱があります。言いたいのは:
  S_n = Σ{k=0 to n} a_k
ということだと思います。つまり n 項までの部分和ですね。
 # 元の式で Sn の n と a_n の n とは別物でしょう?

「限りなく近づいていく」というのを有限の言葉で言い直すのがεδ論法ですが、
それはいいとして。

> さて RSAbs_n ≡ Σ n to ∞ |a_n| としたとき、

これも RSAbs_n = Σ{k=n to ∞} |a_k| ですね。
RS_n についても同様。

> Σ|a_n|が収束するならば RSAbs_n は限りなく 0 に収束していく。

はい。

> 一方で RS_n ≡ Σ n to ∞ a_n としたとき、 |RSn| <= RSAbs_n であり、

これは確かですか?
これをきちんと示すことが証明の中核になります。

> 以上のことをふまえると、任意に与えられた ε>0 に対して適当な N が存在して

なぜここでεδ論法に戻るんだろう?
というか、なぜそれで最初から統一しないんだろう?

>   Σ a_n == Sn-1 + RS_n、 |RS_n| < ε for ∀n > N
> 
> とできる。すなわち、任意の指定した桁数に対して適当な N があり、任意の n>N 
> に対して Sn の値は指定した桁数まで一致させられる。

この「桁数まで一致」というのが10進小数表記として一致するということなら、
少し注意が必要です。
例えば 0.9, 0.99, 0.999, ... という数列は 1 に収束しますが、
どこまで桁数をとっても小数表記としては1桁も一致しません。
 # もっともこれは小数表記法が(有限小数については)一意でないからで、
 # 1.000... = 0.999... というどちらの表記でもいいとするなら
 # 一致しているとは言えますが。

だから「××という実数の小数第 X 位まで求めよ」という問題は、
出題するにはちょっとアブナイんです。
正確な数値が 1.000±ε であることと、
その小数表記が第3位まで正確に 1.000 であるということは別の話です。
前者の場合は(εがたとえ小さくても)評価が容易にできても、
これだと正確な値が 1 未満である可能性が残るため、
後者を確定するにはとてつもなく精密な評価が必要な場合が生じえます。


(平賀)