At Mon, 16 Aug 2004 22:22:20 +0900,
in the message, <cfqc63$1t3$1@newsl.dti.ne.jp>,
Yasuyuki Nagashima <yasu-n@horae.dti.ne.jp> wrote
>In article <41202473.990AB734@ht.sakura.ne.jp>,
>IIJIMA Hiromitsu <delmonta@ht.sakura.ne.jp> wrote:
>>普通の企業だと、「業務委託」という契約形態がこれに近い形になります。
>
>民法で言う請負ですか?

そもそも無名契約だと思うんですけどね
(少なくとも、「仕事の完成を目的としない」点では請負ではない。
 一方、世間一般の「業務委託」は仕事の完成が目的なのが普通。
 その意味では準委任の方が近いのではないか?と思うんだけど、歩合制
 の部分なんかは請負に近いだろう。
 保有権があったりして継続的に同一の球団に所属して首脳陣の指示に従う辺
 り、労働者っぽいしな。)。
出演契約とか講演契約とかいうのが大概無名契約であるのと同様に。

# 請負である面、準委任である面、労働である面、それぞれあると思う。
 ファン感謝デーで愛嬌振りまいているなんてのは、請負とか準委任とかでは
 ないと思うぞ。
 
何にしても、典型契約のいずれであるかあるいはいずれに近いかということは
ここでの問題解決にはあまり役に立たないというのは、以下の通り。

>それは別にしても、労働組合法の問題であれば、
>・選手は労働組合法における「労働者」か?
>・選手会は労働組合法における「労働組合」か?
>・オーナーや球団は労働組合法における「使用者」か?
>を検討すれば足りるんじゃないでしょうか。

ですね。

# ところで、そもそもなんで「オーナー」って言うんだろう?
 アメリカの「オーナー」は文字通り球団の持分権者つまり所有者であるよう
 だけど、日本の「オーナー」ってのは単なる職名。
 実体は単なる取締役の一人
 (広島のオーナーは本当にオーナーらしいが……。)。
 単にアメリカの真似か?

>労働基準法では、委任や請負であっても条件が整えば労働者と扱われる
>(法律学小辞典第三版「労働者」の項)ことから類推すると、
>契約の形態は定義には直接影響しないと思います。

いずれも役務提供型契約であるわけですが、民法における契約の区別と労働法
での労働者となる者とは別個の政策的観点から決めているのだから、ある意味
当然ではあります。

もっとも、実質的な問題として後述。

>年俸を給料、賃金に準ずる収入としない、というのは
>さすがに無理のありすぎる解釈だと思います。
(中略)
>労働者に給料、賃金に準ずるお金を払う立場にあれば
>それは「(労働組合法上の)使用者」だと思うんですが…。

じゃあ、どんな場合が「準ずる」なのかってのは議論のネタとして面白そう
です。

労務供給型契約であることはおそらく必要条件ではないかと思いますが
(きちんと検討はしていません。)、
例えばプロスポーツ選手の年俸とCF出演料は違うだろうと。


以下は、裏をとっていない(=検証をしていない)放談的私見。

思うに、収入が給料賃金に準じるかどうかは、「収入を見ただけで判断するの
は不可能」だと思います。
実際には、金を払う側ともらう側の関係つまり指揮命令とか拘束具合とか当事
者の関係を見てその対価としての当該収入の性質を決めているのであろうと。
言い換えれば、「そのような関係に基づく役務の対価である収入だから給料等
に準ずると言えるだけ。」というのが本当のところのような気がします。
そもそも給料等というもの自体が一定の態様の役務提供である労働契約の対価
であり給料等かどうかの判断自体役務提供の態様によって決るわけで、ならば
給料等に準じるかどうかもまた役務提供の態様が労働契約と同じような態様で
あるかどうかで決るのではないかと。
だから、プロスポーツ選手というのが労働者に当るか否かは、年俸が給料等に
準じるかどうかを直接考えるのではなく、その役務提供の態様が労働者と呼ぶ
にふさわしいからその対価である年俸が給料等に準じると言えるのだ、と。

そして、条文上、使用者に該当するものとの関係でなく収入に注目しているの
は、単に「失業者をも労働者とするため」にすぎないのではないか。
結局のところ労働者と言えるかどうかは、労使の関係を見なければいけないの
ではないか、と。

そう考えると、プロスポーツ選手の収入でも本業でないCF出演によるものなど
は給料等に準じるとは言えないことになるけど、年俸と何が違うのかというこ
とも判るんじゃないかと。
サラリーマンだって、仮に映画かなんかに出演してお金をもらっても給料等に
準じるとは言えないわけで、それはなぜかと言えば、上記のような関係がない
からだ、と。

つまるところ、「役務提供の対価として受ける金員その他の法的性質は、その
役務提供の態様によって決る」と。

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp