試験の採点なんかしていても、最初つけた点を何巡か見直しているうちに
変更するというのはままあります。これは点を甘くする場合も辛くする場合も
両方あるわけですが、今の場合はもちろん辛くするほうです。

M_SHIRAISHI wrote:
> dy:=f'(x)・△x  と定義しているので、y=f(x)=x という〔特別な場合〕だと、
> f'(x)=(x)'=1であり、かつ(y=x なのだから)dy=dx が成立します。

これはやはりダメですね。
繰り返しになりますが、dx が未定義です。
代数的形式主義の立場をとって(正確には濫用して)、「y=x だから dy=dx」
というのは黙認できないではないですが(それが最初に述べたもの)、
それでも好意的に言って定義が拡張されてしまっています。

ところが一方でご本人は:
In <800c7853.0404070146.734bfe0d@posting.google.com>(7 Apr 2004 02:46:46 -0700)
> 定義は、dy:=f'(x)・△x だけだ。

なんて力んじゃっているからにっちもさっちもいかなくなる。
典型的な自縄自縛ですね。単独ならまだお目こぼしに預かれたかもしれない
ところを、合わせ技で一本というところです。

これも繰り返しですが、上の定義の dy では y は従属変数です。
だから独立変数 x に対する dx は定義されていません。
それをムリヤリ従属変数と見なそうというのが『解析概論』の趣旨で、
それが「x それ自身を x の函数とみる」の意味です。
これが「ムリヤリ」であることは、続く部分にある
 「x が独立変数であるときには、上記の dx=Δx ということは、
  あまりに細工が過ぎるようであるが...」
という高木自身の言葉にも表れています。
 # しかし当然ながら、「ムリヤリ」と「間違っている」は別問題です。

そして M_SHIRAISHI さんは一貫してこれが理解できていませんから、
y = x なんてものを持ち出したりするわけです。
x を独立変数のままにしておいては身動きがとれませんので、
天下りの dy=dx でごまかすことになる。
kounoike さん(鴻池さんでいいのかな?)が疑問に思われるのも当然のことです。

> 従って、この〔特別な場合〕に限り、dx=dy=(x)'・△x =△x となります。
> よって、(この〔特別な場合〕に限り!)dx=△x が成立するってワケです。

したがってこれは議論が完全にひっくり返ってしまっています。
上は y = x のとき:
  dy = Δx (これは定義通り)
  dy = dx (M_SHIRAISHI 流天下り)
から dx=Δx を結論として導いてますが、前提と結論が逆で:
  dy = Δx
  dx = Δx (これも定義から導ける)
から dy=dx が結論されるのです。
もっとも一般の場合の
  dy = f'(x) dx
が直接示せますから、「y=x なら dy=dx」は単にその特別な場合にすぎません。

これを記した私の文:
In <c5h4vc$po2$1@hagi.cc.tsukuba.ac.jp>(Tue, 13 Apr 2004 16:37:00 +0000)
> 「x それ自身をx の函数とみれば」というのは、あえて書けば x=x となるけど、
> これでは恒等式と区別がつかないので補助変数を導入して:
>   x = x(t) = t
>   y = f(x) = f(t)
> と書きましょう。
> するとくだんの定義から
>   dx = x'(t)Δt = Δt
>   dy = f'(t)Δt
> 上を下に代入して
>   dy = f'(t)dx = f'(x)dx
> というだけのことですよ。

に M_SHIRAISHI さんはなぜかひたすら言及を避けていますね。
やはり全然理解できないのか、あるいはよほど都合が悪いんでしょう。

もっともこれについてはもっとひどい話もあります。
「M_SHIRAISHI の断末魔記事」から:
In <800c7853.0404141040.680c528@posting.google.com>(14 Apr 2004 11:40:06 -0700)
> で、ソチたちは、「恒等函数;f(x)=x が、“x=x”という恒等式で表わされる」
> と(愚かにも!)主張して、

ここまで来ると悪質な歪曲・捏造ですね。元をたどって:

In <800c7853.0404132335.bb21c42@posting.google.com>(14 Apr 2004 00:35:57 -0700)
> hiraga@ulis.ac.jp (Yuzuru Hiraga) stupidly wrote in message
news:<c5h4vc$po2$1@hagi.cc.tsukuba.ac.jp>...
>> 「x それ自身をx の函数とみれば」というのは、あえて書けば x=x となるけど
>
> 「定数項が0で“傾き”が1の≪一次函数≫が x=x で表わされる」と言うのか!?!

先ほどの引用と見比べれば一目瞭然で、上の行に続く:
> これでは恒等式と区別がつかないので...

が(あるいは意図的に?)カットされてしまっているため、趣旨が正反対に
なってしまっています。こちらは「恒等式ではない」と言っているのですよ。
もっとも M_SHIRAISHI さんは方程式と(陽形式の)関数表記式の区別さえ
できないようだから説明するだけムダでしょうが。
 # その一方で恒等式を区別するのは首尾一貫性に欠けるね。

で、断末魔の続きを見ると:
> ## んじゃ〜、ここで、ひとつ、“x=x”のグラフでも書いてみせろ!(爆笑+嘲笑

簡単じゃん。
直線1本書いておしまい。
直線上の点で「変数値としての x」と「関数値としての x」が重なっている。
どうしても2次元で書きたいなら、「変数値としての x」を横軸に、
「関数値としての x」を縦軸にとって斜め45度の直線を引いておしまい。
それが x=x の意味でもあるんですがね。

そしてそれではわかりにくかろうと x=t の形にしてあげたのですが、
理解できないんじゃしょうがない。ここが話のキーポイントなんですがね。
「x それ自身を x の函数とみる」について:
  M_SHIRAISHI 流: y = x とおく
  その他世間一般: x = t とおく
変数の役割が逆になっていることが見て取れますね。

> “dy:=f'(x)・△x”なる「定義」は、独立変数を x で表わし、従属変数を y
> で表わすという前提に立脚したものであるということが、ソチたちには、一向に、
> ワカランのか?(爆笑+嘲笑

自分で書いたことの意味もわからないではね。
「従属変数 y」に対しての dy でしょ?
じゃ dx は何?

(平賀)