Re: スピード違反の時効(大型トラック速度抑制装置)
# もう一つ言いたいことがあるんだけど、書いている時間がないので後日。
At Thu, 09 Oct 2003 19:50:41 +0900,
in the message, <20031009195041cal@nn.iij4u.or.jp>,
cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>例えば1つに
>記録保存というのを文字通りとらえるのではなく
>「人間の手による介入がなされずに全てコンピューター処理されている場合は
> 入力から出力までを一連不可分のものとしてとらえるべきであり
> この点からすればNシステムでは容貌は出力されてこない以上
> 最初から撮影されていないと解するのが相当である
> (そしてこれは確かに「記録保存していない」とも言える)」
>とした上で
人間が視覚的に認識できる可能性が「全く」なければ実質的に「撮影」とは言
えない、という意味であるならば、一つの考え方としてありでしょう
(別投稿でちらと触れた通り。)。
ただ、そう考えるのであればむしろ「撮影」という言葉あるいは概念に拘るの
ではなく、「肖像権の侵害とはどういう場合か」言い換えれば「法的保護に値
する利益として肖像権を観念する趣旨は何か」ということから考えるべきでは
ないのかというのがわたしの意見。
とすれば、肖像権とは判例通説的に「容貌をみだりに撮影されない権利」であ
るところ、「みだりに撮影」されていれば原則的に肖像権侵害となると考え
て、可視性のない撮影は「みだり」でないから権利侵害でないと考えるのが一
手。
あるいは、撮影はその結果を視覚的に認識することが究極の目的であるから、
肖像権の実質的な内容は、容貌を写像として視覚的に認識することを可能にし
ないことを意味すると考えて、それが初めから不可能な場合には、たとい「撮
影」であっても、肖像権侵害となる可能性が原始的に存在せず肖像権侵害とな
らない。
という風に考える方がいいのではないかと。
……もっとも、前者がなぜ「みだり」でないかという理由は実は後者の理屈そ
のものになる。
つまり、
肖像権というのは究極的には写像として容貌を他人に見られるという状態を本
人がコントロールすることを本質とすると考えて、本人の同意なしに写像とし
て容貌を他人に晒される可能性がありかつそれを正当化する理由がない状態を
「みだり」と評価する。
従って、写像として他人に晒される可能性が全くない限り「みだり」とはなら
ない。
と。
だから実のところ言っていることは一緒。
「みだり」を前面に押し出すかどうかだけの違い。
……ちなみに、東京地判が「他人が一切見ることができない」ということを
言ったのは「記録していなくても見ることができればだめ」という趣旨だと思
います。
これは、「例えば生中継は(実際には記録も行っているが、記録していないと
しても)やはり肖像権の問題になる」ということと同質でしょう。
そこで考えると、やはり「自己の容貌を写像として晒されることを自己がコン
トロールすることが肖像権の本質」とするのがいいのではないかと
(ちなみに「写像」でないとさすがに「肖像」でなくなる。)。
>もしくは別の1つに
>撮影が許される場合に捜査対象外の人が写っていても違憲にはならない
>という法理を
>「写すべきナンバーに対象外の容貌が写っていても
> その写された容貌を捜査に利用しない限り違憲ではない」
>という線まで拡張すべきではなかったのか?
これは無理だと思います。
と言うのは、当該法理は、「犯罪の証拠保全のため必要でかつ他の方法による
ことが困難な事情があり当該方法による緊急の必要がある」場合の話であると
ころ、ナンバー撮影・記録自体は一般論として「犯罪の証拠保全の必要性も緊
急性もない行為である」から。
証拠保全の必要性と緊急性があることを前提に、相当な範囲での権利侵害を不
当でないとすることはできても、一般的な権利侵害を同一に扱うことは権利保
障の趣旨を没却すると思います。
--
SUZUKI Wataru
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