ITSUKI wrote:

> >比較生産費説のことを言っているのでしょうが、単純化して言えば、「農業国は農
> >産物に特化したほうが有利、工業国は工業製品に特化したほうが有利」ということ
> >で、農業国は農産物を輸出して工業製品を買い、工業国は工業製品を輸出して農産
> >物を買うのが、「価値論」の観点から見て合理的、より低コストで多くの商品を獲
> >得できるということ。
>
> 数値でご説明願いたいのですが。

「経済学辞典」だの国際貿易について書いた本でも読めば必ず書いてあることなので、
別にネット上で説明を求めるようなことではないと思いますが・・・。
リカードが「経済学および課税の原理」において説明した例はつぎのようなもので、ど
のような国際経済の概説書にも載っているようなこと。
(場合によっては、高校の「政治経済」や「現代社会」の教科書にも説明があることが
ある。)

イギリス
ラシャ1単位を生産するのに必要な労働 100人
ぶどう酒1単位を生産するのに必要な労働 120人

ポルトガル
ラシャ1単位を生産するのに必要な労働 90人
ぶどう酒1単位を生産するのに必要な労働 80人

このような場合、ポルトガルにとっては、ラシャと交換にぶどう酒を輸出するのが有利
であり、イギリスにとってはその逆が有利であるということ。
なぜなら、その場合、ポルトガル人は80人の労働で、本来90人の労働が必要とされるラ
シャ1単位を獲得でき、また、イギリス人は本来120人の労働が必要とされるぶどう酒1単
位を100人の労働によって獲得できるから。

> 比較生産費説というのは、比較優位説と同じものなのでしょうか。

「比較優位説」という言葉は私は聞いたことがないが、話の内容から、「比較生産費
説」(theory of comparative cost)のことを言っているのだなと判断した。「比較優
位説」という言葉を、だれがどこでどのように使用していたのか出典の明示がなく、前
後の脈絡もわからないのでなんとも言えないが、多分通常「比較生産費説」と言われて
いるものを、誰かがそのように表現したのではないかと想像したまで。
(そもそもITSUKIさんはそのような言葉をどこで聞いたのか、明示すべきだと思いま
す。)

前回の設問との関連で言えば、この理論でいくと農業国は農業国にとどまるのがよい、
ということになり、農業国から工業国への脱皮をめざす国にとっては都合の悪い理論。
「保護関税」は自国の産業の発展を、外国の商品の流入から守るためのもので、故意に
外国商品の国内での販売価格を引き上げるわけだから、「比較生産費」的な立場とは反
対のもの。工業化をめざす後発の国(たとえばドイツなど)が「保護関税」政策を採用
することになる。