物理学では座標の回転を表す変換x^μ -> x^μ'に伴ってA^μ' = Σ_ν ∂^μ'/∂x^ν A^νと
変換する量を(反変)ベクトルと呼ぶのでした。(一般座標変換でなく回転にしておきます)

一方、数学の世界では加群Mに体Kの作用 K x M -> Mが定義されていて、a,b∈K, X,Y∈Mに対して
(1) a(X+Y) = aX + aY
(2) (a+b)X = aX +bX
(3) (ab)X = a(bX)
(4) 1_K X = X
を満たすものをベクトルといいますね。この2つの対応関係を見たいと思います。
まずn成分をもつA^μ全体をMとして(A+B)^μ = A^μ + B^μとして和を定義すると
Mは加群です。座標の回転を表す直交行列全体をT、その元tの成分をt^μ'_νとすると
TのMへの作用:
        T x M ∋ (t,X) -> Σ_ν t^μ'_ν X^ν ∈ M
が定義できます。TをKに対応するとみなすと(1)(3)(4)は成り立ちますが(2)はどうでしょう。
そもそもTの積は定義できても整合性ある和はとれないので体ではないですね。3次元空間の
回転だと積についても可換性がありません。
もしかして実数Rに対してスカラー積 R x M -> Mが定義され(1)(2)(3)(4)を満たすので
ベクトルであって、さらに物理学上のベクトルは直交行列群の作用 
T x M -> Mについて(1)(3)(4)をみたすということでしょうか?
つまり
 数学でのベクトル⊃物理学上のベクトル
という含包関係にあるということですか?

柳楽@生物系