きゃろりんポン wrote:

> > 夢沢那智(仮名)の歩みは速くなっていた、いや、走っていた、な
> > んだか分からない黄色いものめがけて草むらを抜け、人の庭を横切
> > り、垣根をくぐりぬけた。服は乱れ、持っていた風呂敷包みは解け、
> > なかにあった文庫本も、服もどこかにいった。
> 
> 身体の中から正体のしれない熱いものがこみあげてきて、那智(仮名)
> は力の限り走らずにはいられなかった。大地を掴み、蹴り、大きく跳
> 躍し、小高い山の頂をも軽く飛び越える。
> 
> 那智(仮名)は己の力に酔いしれたまま、陶然と山野を駆け続けた。
> 
> -*-*-
> 
> 「次は十二月だなぁ」と独り言をつぶやきつつ、薄暗い草むらを歩いて
> いた March(仮名)の視界が一瞬にして暗黒となった。一匹の猛虎(もうこ)
> が草むらの中から彼の目前へと躍り出たのだ。虎は、あわや March(仮名)
> に躍りかかるかと見えたが、すぐさま身をひるがえしてまた草むらへと
> 隠れた。闇の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返し呟く
> のが聞こえてくる。その声には聞き覚えがあった。

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 どれくらい駆け続けたであろう。那智(仮名)は、虎と
なった我が身を呪いながらも、獣の本能に突き動かされる
かのように荒野を疾走していた。かけがえのない友である
March(仮名)の呼びかけも無視するしかない今の姿……。
涙が、爛々と光る虎の瞳から流れては、風に散っていった。

 やがて那智(仮名)は、大きな湖にたどり着いた。凍て
ついた月が空と湖面から那智(仮名)の運命を嘲笑うかの
ように冷たい光を投げかけてくる。

 ふと、那智(仮名)の肩に一羽のインコがとまった。
虎となった那智(仮名)を恐れる様子もないそのインコは、
二つの月を切り裂くような声で叫んだ。

「おーい、夢沢! 一緒に日本に帰ろう!」

# 誰が仕込んだんだよ。
 

> # すでに虎だってば

 飲み過ぎたんですね?


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 すべては無の見ている夢 ならば良い夢を 素人詩人
         ▲ Nachi Yumesawa --夢沢那智--
  -▲猫-  φ(^^;)   yumesawa@mac.com
 http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Cosmos/9202/
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