河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

「4000億の星の群」の作家の書いた本。1995 年ですか。ハードカ
バーで出てたのね。(ハードカバーで買わなくて良かった気もする)

タイトルから甘い御伽話を想像しますが、全然違うね。戦争ものと
言って良いと思う。

人工的に作られた天才少女ミレーナが、ドールという生体ロボッ
トを知性化してフェアリイをつくり出し、社会を変えてしまう話
です。その少女の道具として使われたアレックスが、ミレーナを
追い求める話でもある。

三部に分かれているし、話が複雑すぎる。その割に説明ないし。
そして、長すぎ。とっても読むのが辛かった。この半分だったら、
名作だったと思った。大作過ぎる。

「エッジ・グラインディング」「愛の爆撃」「夢の図書館」で、200
ページずつかぁ。最初がフェアリイを作り出す話で、次が、占拠
しているフェアリイが占拠しているディズニーランドのなれの果
て(フェアリイ・ランド)に侵入してミレーネを探す話。最後は、
フェアリイ、人間、子供十字軍の三つ巴の戦争の話。

フェアリイ、そして、ミレーナが非人間的に書かれている。ミレ
ーナは人間なんだけど、天才性のずれ方をうまく書いていると思
います。フェアリイの方の非人間性も面白い。

マコーリィは、「4000億の星の群」でも書いたけど、異質なもの
を「ネタバレ」付きで書くのがうまいと思う。

そういう意味で、この本も「レム的」な話だと感じました。こち
らは、「エデン」の話に少し似ている感じがする。どこがとは
説明しにくいけど。フェアリイの中の社会構成とかの記述がある
からかな? もっとも、あまりリアリティは感じないんだけど。

記述が詳細で文学的なんだけど、そのあたりに必然性を感じない
です。僕が読みたいと思っているSF的な部分と、作家が書きたい
と思っている部分とにずれがある感じ。だから、読むのが辛かっ
たのだと思う。

まぁ、でも読む価値はあると思ったから、つき合ったんだと思う
けど... 面白かったかと言われると、エンターティンメント的な
面白さはどうかなぁ。文学的な面白さみたいなものはあるんだろう
けど、そちらに対する僕的な評価は低い感じ。

---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科